生粋のイスラム国家サウジアラビア&オマーン 5泊8日弾丸ひとり旅 旅費・治安・街の様子などのまとめ

人類にとって、肉体がハードであれば精神はソフト。

そのソフトに大きくかかわるのが宗教の存在です。

このソフトの部分は、人によって「思想」「人生観」「座右の銘」という言葉に置き換えられると思うが、宗教の存在が、この地球上の人類の営みに与える影響はとてつもなく大きい。

大雑把な数字だけど、地球上全人類のうち23億人(32%)がキリスト教徒。

そして、イスラム教徒が18億人(25%)、ヒンズー教徒が11億人(15%)といった具合。

この3つだけで52億人(72%)。

つまり、この地球上、なにかしらの宗教を重んじる民族の方が、そうでない民族よりも圧倒的に多い。

だからこそ、各々の宗教の先入観にとらわれることなく、客観的に行動できる民族の一つが日本人だと、私は勝手に思っています。

(日本人にノンレリジョンが多いことが、妙な霊感商法にひっかかる人が後を絶えない理由の一つではないかとも・・・)

いきなり話がそれましたが、全人類の4人に1人がイスラム教徒であり、そのイスラム教を国教として、イスラム教徒の聖地メッカとメディナがあるのがサウジアラビア。

 

ずっと行ってみたいと思ってました。

 

ところで、メッカやメディナがなぜ聖地なのかというと、イスラム教創始者ムハンマドゆかりの地であるから。

イスラム教には、一生のうちに一度はメッカを巡礼すべきというコーランの教えがあるという。

そのような国サウジアラビアは、実は貿易において日本にとって切っても切れない国。

日本はサウジアラビアから、直近で原油の約4割を輸入している。

民族の思想や構成が大きく異なるにもかかわらず、経済面では日本の生命線となるほど重要な国。

しかも、ついこの間まで、サウジアラビアは観光では訪れることができず「我々日本人の日常を支えてくれているにもかかわらずベールに包まれた国」というのが、旅人にとっての感想でした。

 

そのサウジアラビアが観光ビザの発給を開始した。

イスラム教の聖地メディナを観光客が訪れることも解禁された。

このタイミングを逃してなるか、と敢行した5泊8日の弾丸紀行です。

サウジアラビア&オマーン 弾丸ひとり旅 全行程

日付 午前 午後

8/1(火)

1.出発前準備

2.羽田 ⇒ クアラルンプール(ビジネス搭乗記)

8/2(水)

3.クアラルンプール空港・トランジット

4.クアラルンプール ⇒ ドバイ(ビジネス搭乗記)

5.ドバイ国際空港トランジット

6.ドバイ ⇒ ジェッダ(ビジネス搭乗記)

7.サウジアラビア入国

8.ジェッダのホテルにチェックイン

8/3(木)

9.ホテルのルーフトップレストラン

10.早朝の世界遺産ジェッダ歴史地区

11.ジェッダ紅海沿岸の散歩

12.サウジのお婆さんとの会話

13.ファハド王の噴水&アブドゥル・ラウフ・ハリル博物館

14.ジェッダ旧市街&夜のスーク

8/4(金)

15.ハラマイン高速鉄道へ

16.ジェッダ ⇒ メディナ列車旅

17.「預言者のモスク」到着

18.イスラム教への勧誘を受けた話

19.気温43度のメディナの街

20.メディナの循環観光バス

21.夕暮れの「預言者のモスク」

22.新幹線でジェッダへ

8/5(土)

23.ジェッダのフィッシュマーケット

24.キング・アブドゥルアズィーズ国際空港でのひととき

25.ジェッダ ⇒ マスカット

26.マスカットの夜

8/6(日)

27.スルタン・カブース・グランドモスク

28.オマーンのバス旅

29.マスカットのホテルで迷子になる

30.マスカット・ルイの街歩き

31.マトラ・フォートからの眺め

32.夜のマトラ・スーク

8/7(月)

33.マスカット朝の散歩&お土産物色

34.ゴーストタウンのようなオールドマスカット

35.マスカット国際空港でのひととき

8/8(火)

36.ピンクモスク弾丸観光

37.KLIAゴールデンラウンジ

38.クアラルンプール ⇒ 羽田(ビジネス搭乗記)

サウジアラビア渡航が主目的なのに、クアラルンプール経由のフライト。

これは、羽田⇔KLのマイル特典ビジネスをおさえたのが旅の1年前の2022年8月。

そのときは、まだ海外をどう旅ができるのかわからなかったから。

つまり、ビジネスのフライトをおさえておいて、クアラルンプールから先は旅行開始までの1年の間に考えよう、というものでした。

 

でも、2022年10月に、日本入国の水際措置が緩和され、諸外国との往来も続々と緩和。

そこで、このフライトを照準にサウジアラビアへの旅を画策したというわけです。

 

旅の感想を、ひと言(あるいはふた言)で言うならば、

「暑かった」:連日の気温40度超えです

「すごかった」:イスラム教徒の皆様の敬虔な姿に、本当に感動しました。

フライトスケジュール

  航空会社 便名 クラス フライト

8/1火

ANA NH885 特典ビジネス 羽田23:30 ⇒ クアラルンプール6:00

8/2水

エミレーツ EK345 有償ビジネス クアラルンプール10:15 ⇒ ドバイ13:10

8/2水

エミレーツ EK803 有償ビジネス ドバイ15:40 ⇒ ジェッダ18:00

8/5土

オマーンエア WY690 エコノミー ジェッダ14:35 ⇒ マスカット18:50

8/7月

サラムエア

OV457

エコノミー マスカット19:05 ⇒ クアラルンプール6:00

8/8火

ANA NH886 特典ビジネス クアラルンプール14:15 ⇒ 羽田22:15

今回の旅は、ひさしぶりに飛行機6本に乗る大旅行。

それも6本中4本がビジネスクラスという、私の旅歴でもかつてない豪華絢爛旅になりました。

ANAは63,000マイルを投じての特典ビジネス。

フルフラットに倒れるスタッガードシートは疲れ知らず。

そして、食事もまた美味しい。

今回の旅フライトの極めつけは、人生ではじめて自腹切ったビジネスではないでしょうか。

エミレーツ航空のドバイ⇒ジェッダは、なんと2階建て。これもはじめて。

いただいた中東料理の機内食も素晴らしかった。

詳しくは、記事に記述していますが、エミレーツの評判の高さを裏付けできたフライトだったと思います。

旅費・ホテル代など

さて、旅費はいくらでしょうか。計算してみました。(2023年8月のレートで計算)

用途

利用区間など

費用

飛行機

羽田 ⇔ クアラルンプール(ビジネス)

63,000マイル

飛行機 エミレーツ航空:クアラルンプール ⇒ ジェッダ(ビジネス) 190,000円
飛行機 オマーン航空:ジェッダ ⇒ マスカット 47,100円
飛行機 サラムエア:マスカット ⇒ クアラルンプール 50,200円
列車 ジェッダ ⇔ メディナ(ビジネス) 25,000円
ホテル ジェッダ:アルアザール・ホテル(3泊) 30,042円
ホテル マスカット:シタディーンズ・アル・グュブラ 6,945円
ホテル マスカット:フォートゲストハウス 11,170円
チケット メディナ:循環観光バス 3,150円
ビザ サウジアラビア観光ビザ(保険付き) 20,800円

しめて、合計384,407円です。

海外一人旅49回目にして、過去最高の旅費をたたきだしましたw

8日で割って、1日あたり4.8万円。

と、1日あたりに換算しても、なかなか受け入れ難い数字・・・

やはり、エミレーツの実費払いビジネス搭乗(19万円)がひびいてますね^ ^

このエミレーツのビジネスで、JALのマイルを3,149マイルほどもらえましたが、私はANAマイラーなので・・・

それよりもホテル。

ホテルは、基本的に立地で選びましたが、円安と燃料高、それに急激な需給の変化で、ホテル代が高騰している感をうけました。

これは、ジェッダ旧市街入り口の「アルアザール・ホテル」ですが、そもそも、巡礼者の街なので、お金のことを言ってはいけないのかな。

驚きの国サウジアラビア

なにが「驚き」なのかというと、とにかく街ゆく人々が堂々としている。

石油という資源を持ち、イスラム教を信じて生活している人たち。

堂々としているのも当然です。

歩いた街としては、まずサウジアラビアの歴史ある街ジェッダ

サウジアラビアの首都はリヤドですが、あちらは砂漠に作られた人工都市。

ジェッダは、紀元前から栄えた町で、ムハンマドがイスラム教を広めた後はメッカ・メディナへの玄関口として、世界中から人々が往来する歴史都市です。

夜のスークは、歩くのが楽しかった。

ジェッダからメディナへの移動は「ハラマイン高速鉄道」

砂漠の中を、時速300kmで走り抜けます。

ビジネスクラスの車内はこの通り。

機内食ならぬ車内食も配られます。

車窓は、もちろん砂漠一色w

サウジアラビアの新幹線というと珍しいのか、下の写真を教科書に使わせて欲しいと連絡があり、喜んで提供させていただきました(^ ^)

そして、その砂漠新幹線でたどりついた街がイスラム教の聖地メディナ

イスラム教の創始者ムハンマドが生涯を終えた場所「預言者のモスク」。

この美しい景色は、ついこの間まで、非ムスリムは拝むことができませんでした。

イスラム教徒の方々が、胸張って歩く中、ノンレリジョンの私は、ひたすら失礼がないように見学したつもり。

声をかけられた時は、ドキッとしました・・・が、イスラム教への勧誘でしたw

聖地なんだから、勧誘くらいあって当たり前。

でも、その瞬間は、さすがにビビった^ ^

不思議の国オマーン

サウジアラビアが「驚きの国」なら、オマーンは「不思議の国」。

なにが不思議なのかというと、街じゅうが岩に囲まれている。

とにかく、どこをみても岩、岩、岩・・・

そして、日中は見事なほど、誰も歩いてない。

ほんとに無人なんです。

ところが夜になればこの通り。

日中は暑すぎるのか、モスクにだって人がいません。ほんとに不思議の国だったw

量の多いサウジアラビア料理

イスラム圏の料理と聞いて、アタマに浮かぶのは「豚は食べない」「アルコール禁止」でしょう。

でも基本的にそれだけで、街の食堂では、ほんとに美味しい料理を提供してくれます。

これは、ジェッダの街で食べた「マンディ」。

とてつもなく、量が多い・・・

こちらはメディナで食べた「カブサ」。

この炊き込みご飯が、めちゃくちゃ美味しいんです^ ^

暑くても、ビールはない。必然的に水を飲み続けることになる。

そして、街中にゴミ箱がない。

すると、ホテルの部屋に空のペットボトルが並ぶことになりますw

治安など

治安というのは、政治的要因と、日常的要因に分けられます。

すなわち、内外の政治的対立が多いことが原因となるテロ。

そして、 国民性や貧富の差などが誘発する強盗や恐喝など。

正直、後者はまったく感じませんでした。

ただし、日中は暑くて誰も歩いてないので、ひとりでいると若干コワイ・・

街中も、日中はこの通り。

夜になって賑やかになっても、治安の悪さは感じません。

これはジェッダの街で会ったお婆さんがおっしゃってたのですが、

「サウジアラビアには浮浪者がいない」

国の財政を原油で賄えて、所得税はゼロ。

貧富の差はあるんでしょうけど、基本的に生活に困ってないのであれば、争いは起きないということでしょうか。

正直、うらやましくなりました^ ^

 

一方で、いわゆる、政治的要因による治安。

これは、中東情勢のきな臭さとともに、色も濃くなってきちゃいました。

出典:外務省HPより

オマーンは白でも、サウジアラビアは黄色。

イスラエルとハマスの争いの行方によっては、この危険度地図も、さらに濃くなってしまうのか。

そうならないことを願ってやみません。

まとめ

マスカットのマトラ・フォートの上から、白い街並みを見下ろしながら、流れるアザーン。

旅の間、何回アザーンを耳にしたんだろう。

このお祈りを呼びかけるアザーン。

自分の部屋に持ち込みたいほど、気持ちを落ち着かせてくれます。

 

今回の旅は

  • 総移動距離:25,844km
  • 歩いた歩数:11万7千歩
  • 撮った写真の枚数:8200枚
  • 飲んだペットボトル:無数

数字で表すと以上のようになるんだけど、数字や言葉で言い表すことができない「宗教」というものを目で見ることができた旅だったと思う。

つまり、街のどこかにモスクや教会があって、信者がお祈りしているという切り取ったような風景ではない。

国民の全てがイスラム教徒であり、その教えに従って生活している。

たった8日間とはいえその中を歩いたので、すごいものを目にした。

うまく言葉をつくれないのがもどかしいけど、素直に感動した、そんな気分です。

私は「預言者のモスク」の日傘の下で、イスラム教の勧誘を受けた。

もちろん、即答はできなかったけど、預言者や神を信じて生きるって素晴らしいことなんだろうなと、信者の方々を正直羨ましくも思いました。

 

私はノンレリジョン。

たぶん、これからもノンレリジョンのままだろう。

ずるいような気もするけど、特定の宗派に固定されることなく、各々の思想をリスペクトしたうえで、その世界をのぞいてみたい。

そういう旅をし続けたい。

そう考えると、私は日本人の旅人として生まれてよかった、と思う。

 

若干気になるのが、聖地が一般開放されると、不純物が入り込んで(私を含めてだけど)不協和音を引き起こさないかということ。

一般開放されたメディナは、とても美しかった。

生意気を言うようだけど、この美しさが不純物が入ることで汚れるようなら、メッカは永遠にムスリムだけのものとし、解放しないほうがよい。

そんな気がします。