「日本の生命線」というワードを聞いて、何を思い浮かべますか?
戦前生まれのシニアな方なら、満州国をイメージすると思うし、
歴史好きの方なら古くは「白村江の戦い」、中世においては秀吉の「朝鮮出兵」などを思い浮かべるかも。
島国日本の生命線は、古代から大陸の資源にあったということに、歴史が物語ってますね。
それは現代でもかわらず、半世紀以上の間日本の原油輸入の70%以上を頼ってきた「中東諸国」との外交こそ「日本の生命線」と言っても、さほど間違ってはいないでしょう。
※経産省の発表では、2023年1月から5月の総原油輸入量の96%が中東諸国から。
とりわけサウジアラビアは、2015年に日本との国交樹立60周年を迎え、2016年8月にはムハンマド副皇太子殿下が来日し、当時の天皇や安倍総理と会談されるなど、中東においても際立った親日国です。
50年以上も日本経済に必要不可欠な石油を供給し続けてくれたサウジアラビアには感謝しかない。
いつか行きたいと、ずっと思ってました。
ところが、サウジアラビアという国を別の視点から見ると、ベールに包まれている国というイメージがあるのは否めません。
近年では、対イランに対する外交を理由に隣国カタールと国交断交。
同じく隣国のイエメンの内戦は、アラブの春をきっかけとしたイランとサウジの代理戦争の様相を呈している。
またイスラム数を国教とし、その崇高度は非常に高い。
最近まで、女性は車の運転が禁止されていたり、後見人の男性の許可がないと外国旅行にいけなかったなど、日本とは大きく異なる慣習が多いことなどが、日本人にとって理解が深まらない理由かもしれません。
旅人としての目線からも、サウジアラビアは非常にハードルが高かった。
ていうか、ふつうに観光できませんでした。
石油という資源で国家財政は賄えるうえ、非ムスリムが観光で入国したところでデメリットの方が大きいという判断だったのでしょう。
それが、石油依存からの脱却を図るという国策転換により、2019年に観光ビザが解禁。
2030年までに現在3%のGDPに占める観光分野のシェアを10%に引き上げようと、けっこう本格的です。
私はビザ解禁後すぐにでも訪れるつもりでしたが、直後に忌まわしいコロナが発生。
現在に至るというわけです。
サウジアラビア訪問微妙な?ルール&ビザの取得
時がたてば歴史は変わるもので、サウジアラビアへ行ける日が来るなんて夢のよう。
しかし、いくら観光客に門戸が開かれても、サウジアラビアが国教としてのイスラム教を厳格に遵守している国であることは変わらず、訪問にあたってはいくつかルールがあります。
上記は、サウジアラビア観光省のHPですが、観光においての行動規範が網羅されています。
それによると、「わいせつな行動」や「人種差別の助長」など、同国に限らないごく当たり前な禁止事項のほかに、
- 公共の場での不適切な衣類の着用
- 祈りの時間中に音楽を演奏、再生すること
- 人々、事故、犯罪等を許可なく撮影すること
このような禁止事項が、罰則金額とともに掲示されてました。
「不適切な衣類」とは、すなわち、女性だけでなく、男性も肌を出してはいけないということでしょう。
これは「郷に入らば郷に従え」で、当然守るべき事柄です。
そして「アザーン」が鳴り響いている間は、ウオークマンで音楽を聴くのは控えた方がよいのかもしれませんね。
問題は「人々の撮影」。
さあ、困った・・・
事故や犯罪はわかるとしても、「人々」まで撮ってはいけないというのはどう解釈すればいいのか。
もちろん、肖像権に問題が出るような撮り方をするつもりはないけど、街の日常風景の撮影も咎められるのだろうか?
顔が写ってなければいいのだろうか?
許可をいただいてから撮ればいいのだろうか?
答えが浮かばぬまま、同サイトでは「EVISA」の申請ができるので、指示に従って、必要事項を入力していくと、
メッカとメディナの2つの聖地への非イスラム教徒の立ち入りは禁止されています
こんな注意文言が現れびっくり・・
メッカがイスラム教最大の聖地であること、そしてカーバ神殿はムスリムしか入れないことも知っていた。
しかし、サウジアラビアが観光を解禁するにあたって、メディナの街は観光客にも解放されたと聞いていたけど違うのだろうか?
メディナの街には、イスラム教創始者ムハンマドの霊廟「預言者のモスク」がある。
「預言者のモスク」の中には、さすがに入れないとしても、訪れてみることくらいはできないのだろうか。
これが、サウジアラビア観光省公式HPのどこにも書いてない。
2023年3月発行の『地球の歩き方「ドバイとアラビア半島の国々」』では、
メディナは街の周辺部に限って入ることが可能。ただし、どこからが立ち入り禁止なのかはっきりしないため注意が必要。
と、若干筆が鈍るような言い回しで、街を訪れることぐらいはできると案内してくれている。
サウジアラビアも、長らく鎖国していた観光を解禁したばかりなので、情報が錯綜している面もあるのかもしれない。
こういうときは、市民の中にも自警団的な組織があったり、警官なんかも賄賂を要求してきたりすることがある。
とにかく、「人々の撮影」と「メディナ訪問」は要注意ということ。
頭に叩きこみます。
ところで、「EVISA」の申請については、
534.98リアル(約20,800円)をカードで支払って、取得することができました。
これです。申請は簡単だし、翌日にはメールで送られてきました。
懐かしいアラビア文字。
しかし、2万円とは高い・・(自動的に保険も加入させるんだ・・・)
ちなみに、サウジの空港に着いた時に、アライバルビザを取ることもできるみたいだけど、とても並ぶみたいな情報があったので、あらかじめ確保しておくことをお勧めします。
サウジアラビア&オマーン 旅のルート&日程
日付 |
午前 |
午後 |
宿泊地 |
---|---|---|---|
8/1(火) |
羽田23:30発 |
機内 |
|
8/2(水) |
クアラルンプール6:00着 クアラルンプール10:15発 |
ドバイ13:10着 ドバイ15:40発 ⇒ジェッダ18:00着 |
ジェッダ |
8/3(木) |
ジェッダ観光 |
ジェッダ観光 |
ジェッダ |
8/4(金) |
ジェッダ ⇒ メディナ(鉄道) |
メディナ観光 メディナ ⇒ ジェッダ(鉄道) |
ジェッダ |
8/5(土) |
ジェッダ観光 |
ジェッダ14:35発 ⇒ マスカット18:50着 |
マスカット |
8/6(日) |
マスカット観光 |
マスカット観光 |
マスカット |
8/7(月) |
マスカット観光 |
マスカット19:05発 |
機内 |
8/8(火) |
クアラルンプール6:00着 |
クアラルンプール14:15発 羽田22:15着 |
今回の旅の概ねのスケジュール。
サウジアラビアへ行くのに、なぜわざわざクアラルンプールを経由していくのか。
これは、1年前にANAマイルの特典ビジネスをクアラルンプール行きで押さえておいたから。
そして、クアラルンプールに理由はなく、そこしか取れなかったからw
しかしクアラルンプールは、東南アジアのハブ空港であり、ここにいると色々なところに行ける。
さらに、サウジアラビアと共にマレーシアもイスラム教国家であることから、直行便なども就航していて、実はけっこう便利なんです。
そしてクアラルンプールから先はエミレーツ航空。
ここは、積年の思いであったサウジアラビアへのフライトということで、思い切ってビジネスクラスを奮発しました。
マイルでの交換ではなく、実費を払ってのビジネスクラス搭乗は、もちろん初めての体験。
エミレーツ航空のビジネスクラスは、変更手数料、獲得マイル、ラウンジ利用の可否などでランクが分かれている。
1番リーズナブルなスペシャルというグレードを選ぶと6,127リンギット。
エコノミーとの差額は約4,000リンギット(12万円)だったので、この際自分へのご褒美と考えました。
それらのフライトスケジュールだけ書き出すとこんな感じです。
航空会社 | 便名 | クラス | フライト | |
---|---|---|---|---|
8/1火 |
ANA | NH885 | 特典ビジネス | 羽田23:30 ⇒ クアラルンプール6:00 |
8/2水 |
エミレーツ | EK345 | 有償ビジネス | クアラルンプール10:15 ⇒ ドバイ13:10 |
8/2水 |
エミレーツ | EK803 | 有償ビジネス | ドバイ15:40 ⇒ ジェッダ18:00 |
8/5土 |
オマーンエア | WY690 | エコノミー | ジェッダ14:35 ⇒ マスカット18:50 |
8/7月 |
サラムエア |
OV457 |
エコノミー | マスカット19:05 ⇒ クアラルンプール6:00 |
8/8火 |
ANA | NH886 | 特典ビジネス | クアラルンプール14:15 ⇒ 羽田22:15 |
飛行機6本に乗る大旅行。
そのうち、4本がビジネスクラスなんて、もちろん生まれて初めての大名旅行。
期待が膨らみます^ ^
ちなみに、ANAの羽田⇔クアラルンプール特典ビジネスに要したマイル数は63,000マイルでした。
サウジ旅 最後の準備
スケジュールをご覧いただければわかるように、今回の訪問地はサウジアラビア内はジェッダにメディナ。
そして、帰途にオマーン・マスカットに寄るルートです。
サウジアラビアの首都は、アラビア半島ほぼ真ん中のリヤド。
ただこれは、砂漠に作られた政治都市で、旧市街の香りがする場所ではないと考え、訪問地候補から外しました。
やはりサウジアラビアといえば、2大聖地であるメッカとメディナの玄関口であったジェッダでしょう。
ここに狭いながらもバラドという旧市街があり、紅海を利用した港町の面影を感じ取れるそうです。
「ジェッダ」「メディナ」「マスカット」の位置関係は、こんな感じです。
前述のように、メッカの町は入ることはできなくても、メディナは条件付きで訪れることができる。
ジェッダとメディナを結ぶ2018年に開業した真新しい新幹線「ハラマイン高速鉄道」。
Webあるいはアプリで簡単に予約できるので、チケットを押さえておきました。
座席も選べるすぐれものです。
数えきれないイスラム教徒が巡礼で歩いたであろうジェッダとメディナの間を、非ムスリムが新幹線に乗って移動する日がこようとは、ムハンマドも驚きの歴史的転換期なのかも。
さて、出発前の準備は概ね整いました。
とにかく今回の旅は、かってないほど宗教崇拝純度の高い国を歩きます。
それも日本人として歩くので、絶対に失礼があってはなりません。
肌を隠す服装というものがどういうものかわからなかったので、ムスリムに倣って白装束を手に入れました。
この格好ならば、オールムスリムの中を歩いていても失礼にはならないかな?
ところで、エミレーツの機内ではお酒は出ないだろうけど、
せっかくのビジネスクラス・・・ANAの中ではワインをたらふく飲みたいw
白装束にこぼさないように注意。
そして、アラビア語で「ありがとう」は「シュクラン」。
では出発です(^ ^)