旅人にとって、憧れの地というのがある。
私の場合、そのひとつが中米だった。
なぜ好きなのかわからないけど、太平洋と大西洋という地球上の大洋を分離する壁が、ワンピースでいうところの「赤い土の大陸(レッドライン)」に重なるからだと思う^ ^
地図で見ると、細長い地峡なんだけど、そこには富士山よりも高い火山帯が存在する。
そして、長きにわたり、人類の歴史や文化を隔てていた中米大陸。
へんな話だけど、地図として認識されたのが、ごく最近という不思議。
さらに、自然的にも、民族的にも、治安的にも秘めたる地域というか、なんとなくミステリアスな雰囲気を醸し出す中米。
ずっと行ってみたいと思ってました。
いつものように、ANAの特典ビジネスクラスをおさえてから取り掛かるスケジュール。
旅立ちの1年前にメキシコシティ往復チケットを手に入れた段階から、この中米をどのように旅するか、まるで猫が捕まえたネズミをなぶるような楽しい1年間でした。
そんな5泊10日の弾丸紀行をまとめてみましたのでご覧ください。
中南米5泊10日 弾丸ひとり旅 全行程
日付 | 午前 | 午後 |
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8/4(日) |
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8/5(月) | ||
8/6(火) | ||
8/7(水) |
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8/8(木) | ||
8/9(金) | ||
8/10(土) | ||
8/11(日) | ||
8/12(月) |
スケジュール表からは感じとれないかもしれないけど、10日間というか正味7日間で、よく4カ国7都市を回れたと思う。
往きは、自宅を出てからパナマシティのホテルのベッドにありつくまで54時間。
その間、フライトかバスか観光。
帰りは、ボゴタのホテルをチェックアウトしてからトータル66時間の行動。
そして、成田に朝6時に着いたら、そのまま出社して仕事。
身体がふつうに動くうちは、私にはこんな旅が似合ってる。
ところで、この旅の感想をひと言、あるいはふた言で言うと、
「心穏やかに過ごせた」:いつまでも、こんな気分で過ごしたい。
長年の憧れの土地を歩いているという胸があつくなる思いと、東洋人をまったく見かけないという孤立感。
私が旅人としてもっとも感じていたいエモーションが、つねに身体にシャワーのようにあびせられ、浮き立つような毎日。
そして、
「涼しかった」:8月で赤道付近なのに
今回の旅、相当歩き回ったのに、汗をぬぐう動作は一度もしなかったように思います。
さすが、レッドラインですね(^ ^)
フライトスケジュール
航空会社 | 便名 | フライト | |
---|---|---|---|
8/4(日) |
ANA | NH180 | 成田16:25 ⇒ メキシコシティ14:15 |
8/4(日) |
アエロメヒコ | AM656 | メキシコシティ20:25 ⇒ サンホセ23:43 |
8/9(金) |
コパ航空 | CM243 | パナマシティ7:49 ⇒ ボゴタ9:29 |
8/11(日) |
アエロメヒコ | AM709 | ボゴタ1:10 ⇒ メキシコシティ4:55 |
8/12(月) |
ANA | NH179 | メキシコシティ1:05 ⇒ 成田6:20 |
ANAでのメキシコ往復はマイルの特典ビジネスクラス。
90,000マイルかかりましたが、ハワイや北米などとともに必要マイルが上がり、今では110,000マイル必要です(ハイシーズンの場合)。
それでも、原価で買ったら110万円のチケット。
1マイルあたり10円になるので、まだまだお得感あり。
なんといっても、成田〜メキシコシティの距離は11,186kmもあり、ANA最長路線。
こんなラグジュアリーな空間に、往きは12時間半、帰りは14時間も乗っていられるんですから。
フルフラットに倒れるスタッガードシートは、いわば個室寝台のよう。
そして、空の上で、この食事ですよ。
お酒も飲み放題です^ ^
帰国便のうなぎ蒲焼定食も美味しかったな。
そして、ANAのCAさんのおもてなしはいつもながら素晴らしく、気持ちが穏やかになります。
旅費・ホテル代など
さて、旅費はいくらでしょうか。計算してみました。(2024年8月のレートで計算)
用途 |
利用区間など |
費用 |
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飛行機 |
成田 ⇔ メキシコシティ(ビジネスクラス) |
90,000マイル |
飛行機 | アエロメヒコ航空:メキシコシティ ⇒ サンホセ | 49,760円 |
飛行機 | コパ航空:パナマシティ ⇒ ボゴタ | 17,260円 |
飛行機 | アエロメヒコ航空:ボゴタ ⇒ メキシコシティ | 46,650円 |
バス | サンホセ ⇒ パナマシティ | 8,700円 |
ホテル | サンホセ:ホテル・カルチュラプラザ | 10,500円 |
ホテル | パナマシティ:インフィニティホテル&スイーツ(3泊) | 30,300円 |
ホテル | ボゴタ:ホテル・デラオペラ | 16,170円 |
ツアー | サンホセ:イラス火山&カルタゴ | 14,000円 |
ツアー | パナマシティ:パナマ運河ガトゥン閘門&サンロレンソ要塞 | 20,800円 |
ツアー | ボゴタ:エルパライソ半日観光 | 7,500円 |
しめて、合計221,640円です。
ドルベースで円安になっているのが、かなり効きました。
パナマは特に自国通貨がドルなので、たとえば70ドルの部屋が1ドル110円なら7,700円。
150円なら10,500円となるわけです。
でも、10日で割れば、1日あたり22,100円。
これで、色あせない記憶が買えるのであれば、安いもんです。
今回泊まったホテルで思い出に残ったのが、ボゴタの「ホテル・デラオペラ」。
部屋からの眺めも最高。
眺めといえば、パナマシティで泊まったホテルのルーフトップからの夜景も素敵だった。
いろんな顔を見せてくれる、中南米のホテルでした。
幸福度ナンバーワンの国コスタリカ
さて、訪れた国を、簡単に紹介、というか歩いた感想を。
まずは、最初に訪れたコスタリカ。
かつて、幸福度ナンバーワンとされたこともあるコスタリカ。
人間の幸福度ほど、秤にかけるのが難しいと思うけど、でも、街中を歩く人々の穏やかな表情を見れば推してしるべし。
サンホセの街は小さく、盆地のように、周囲は高い山に囲まれています。
その高い山のうち、イラス火山は登りましたが(冒頭の画像)、ほかにも様々なツアーが画策されてました。
幸福度ナンバーワンのコスタリカは、自然も豊かな国のようでした。
食べたコスタリカ料理は「カサド」。
1枚の皿にすべてが乗っかってる、コスタリカの郷土料理です。
運河と摩天楼の国パナマ
コスタリカから、バスで17時間かけてたどり着いたパナマ。
パナマという国の名前は、パナマ運河のおかげで子供の頃から知ってましたが、夕暮れの太平洋岸に立って、パナマシティ新市街の摩天楼を目にしたときは驚きました。
近代的なパナマシティ新市街に対して、こちらは旧市街歴史地区。
しかし、パナマといえば、やっぱりパナマ運河でしょう。
大西洋側と太平洋側の両方を見学しましたが、ひっきりなしに通過する貨物船を目の当たりにして、地球の大動脈をみる思いでした。
食べたパナマ料理は「アロス・コン・ポーヨ」。
中米料理は、「1枚の皿」が定番のようです。
アートとスラムを眺めたコロンビア
今回の旅で訪れた国で、もっとも治安に気をつかったのがコロンビア。
実際、政情も安定しない時期が多く、外務省が示す渡航危険度もレベル2をさすことが多かったコロンビア。
それが治安当局の努力で、レベル1となったことで、すかさず訪問したわけです。
その印象は、アートな国。
それは、典型的なコロニアル都市で、街が整然と区画されているからだけではない。
街の至るところに壁画が。
どのくらいのスプレー缶を使ったのか、途方もないグラフィックアートです。
そして、スラム街。
内戦が長く続いてしまった国情や、隣国ベネズエラから押し寄せる難民などが影響している、コロンビアのスラム街事情。
私は、興味本位で、そんな場所に顔を出すべきではない、とわかっていても、自分の目で体験したくて訪れた街がエルパライソ。
ただ、エルパライソは、政府の支援でケーブルカーが設置され、住民が首都ボゴタと交流を図りやすくし、観光にも力をいれる特化区域でした。
なので、いくつもツアーが組まれ、私は安全にエルパライソを歩くことができました。
日中であれば、ひとりで訪れても大丈夫な印象。
エルパライソ(楽園)とは、よい命名をしたものだと思います。
そして、食べたコロンビア料理は「アヒアコ」という穀物を使ったスープ。
肉料理も食べましたが、高地なので、お酒はほどほどにしておいた方が賢明です^ ^
治安など
今回の旅で、もっとも注意したことといえば、まさに治安です。
治安というのは、政治的要因と、日常的要因に分けられますが、中南米は「日常的要因」に注意。
すなわち、殺人、強盗、恐喝など。
実際に私は、過去にブエノスアイレスではケチャップ強盗(未遂)に、
メキシコシティでは警官から恐喝にあっています(18,000ペソ奪われました)
メキシコでは、バスジャックなども頻繁に(本当です)起きているし、コロンビアのメデジンという街では、世界一周中の学生さんが殺害されたことも。
今回の訪問地ではなかったですが、エルサルバドルやホンジュラスは、10万人あたりの殺人件数が最も高い国の常連です。
そして、私が帰国した8/12(月)の朝、グアテマラの首都の通りでは、拳銃による殺人事件が実際に発生しています。
出典:外務省HPより
だから、今回訪れたのは、比較的治安の良いコスタリカにパナマ、そしてコロンビア・ボゴタの中心部だけ。
弾丸トラベラーというより、会社員トラベラーは、安全に帰国するのも義務です。
街を歩く時もつねに警戒し、不用意にスマホなど取り出さず、人通りの少ない道は避けて歩きました。
だからなんですが、治安に関しては、今回の旅、まったく問題なかったです。
夜でも、こんなところ(ボゴタのラ・カンデラリア地区)なら、まず大丈夫です。
唯一、危なそうなところに踏み込んだのが、パナマのコロン。
これは、プライベートツアーの帰りに寄ってもらったもの。
そして、ボゴタ郊外のエルパライソ。
ただ、エルパライソは、前述のように、政府が支援し観光地化されていく途上のようでした。
正直、コロンもエルパライソも、日中に大通りを歩くくらいなら、大丈夫な気がしました。
ただね、いわゆる、常識が通用しないのが中南米。
そこがミステリアスな魅力を醸し出しているわけですが、本当に細心の注意を心がけて歩くことに越したことはありません。
まとめ
コスタリカのサンホセから、バスで17時間かけてたどりついたパナマシティ。
日本を出てから、ようやくホテルにありつき、ベッドでぐっすり眠って、目を覚ました朝。
マックでコーヒーを仕入れて、ルーフトップからパナマシティの街を見下ろしているのが上の写真です。
いつも、ぎすぎすしている職場生活が忘却の彼方に消え、心穏やかな自分を取り戻せ、いつまでも、そのときの気持ちよさを思い出せる。
そりゃ、世界一周とかしている人にはかなわないけど、中米大陸をバスで縦断し、陸路で国境も越えた。
自分が描いてる旅のスタイルを貫徹でき、ほっとしている瞬間だ。
今回の旅を、数字で表すと
- 総移動距離:30,285km
- 歩いた歩数:13万8千歩
- 街の標高:サンホセ1,172m、ボゴタ2,640m、プエブラ2,135m
- 登った山の標高:イラス火山3,432m、モンセラーテの丘3,160m
- 気温:8℃〜28℃
- 撮った写真の枚数:11,200枚
- 新たな渡航国:+3カ国 累計51カ国
けっこう、高いところを歩いてたんだね。
そして、高地では酒が回りやすいというのは本当だった。
それにしても、これだけ移動して、歩き回っても、この旅、私は終始おだやかな気持ちだった。
ANAのCAさん、ツアーガイド、ホテルスタッフ、レストランのウエイター・・・
だからだと思うけど、接した人すべてがおだやかだった。
おだやかな気持ちでいれば、おだやかな人と引き合う。
旅に限らず、生きるということはそういうことだと思う。
旅がおだやかに終われば、次の旅までもおだやかに過ごせる。
「まとめ」になってないけど、10日間の旅から帰っての実感。
休み明け、出社してきた短気なキチガイ上司からメチャクチャに怒られた^ ^
でも不思議。
充実した旅の後なのであまりにも平気だった。
旅の前だったら相当ヘコんでたと思う。
スーパーマリオが、スターを食った状態というのはこのことをいうのだろう(^ ^)
そしてスターは、旅でたくさん撮ってきた思い出深き写真や記憶だから、いつでも食える。
私は、そういう旅をし続けたい。