いままであえて触れなかったけど、日本からはるばるとパナマに来た目的のひとつは、何をおいてもパナマ運河。
パナマという国の位置がどこにあるかわからない人でも、「パナマ運河」という名前くらいは知ってるでしょう。
そのくらい、日本人には私を含めて「パナマ国=運河」というイメージが強い。
私は、小学校に入学してまもなく、図書室の本でパナマ運河の存在を知り「なんと、パナマには船を行ったり来たりさせる水の階段があるのか!」と純粋に驚いたものでした。
出典:学研「コロ助の科学質問箱」より
本日は、そのパナマ運河を拝める日。
興奮して眠れないかというとそんなことはなく、連日の移動の疲れで、21時過ぎには疲労困憊。
9時間の大熟睡となりました^ ^
プライベートツアー パナマシティから大西洋岸へ
朝8時にホテルに迎えに来てくれたトリップアドバイザーのプライベートツアー。
黒人のドライバー兼ガイドさんが、快適なヒョンダイのクルマを大西洋岸に向かって走らせます。
パナマシティの市街を抜け、さっそくハイウエイに乗ります。
パナマは、まさに地峡。
太平洋岸から大西洋岸まで、直線距離でたった60キロほど。
そして、この間をパナマ運河は結んでいるのですが、パナマ運河の見どころの「閘門(こうもん)」は太平洋入り口の「ミラ・フローレス閘門」と、大西洋とつなぐ「ガトゥン閘門」があり、「ミラ・フローレス閘門」は、パナマシティからバスで簡単に行けます。
なので、いまは大西洋岸の「ガトゥン閘門」に向かってます。
ちなみに、「ガトゥン閘門」もバスで行けなくはないですが、中継点のコロンという街の治安があまりよろしくないとの情報がある。
そこで「ガトゥン閘門」だけでなく、世界遺産の「サン・ロレンソ砦」とコロンの街の見学まで含めた2万円のオプショナルツアーが見つかったので、手っ取り早く参加した次第です。
はやく、少々の治安など気にしなくても済む立場になりたい・・・
治安を茶化してるワケじゃないですが、サラリーマントラベラーは、なにをおいても無事に帰国し上司や同僚の信頼を得ることが、次の旅への架け橋。
その立場から解放されれば、なにも外務省が行ってはいけない場所としているワケじゃないので、公共の乗り物で自己責任で行くことができるのに。
そういう意味です。
渋滞する反対車線を眺めながら、会社員という立場から解放された旅ができるのはいつになるかな・・・
そんなことを思います。
パナマ地方の天気は晴れ。8月なのに気温は25度。
クルマは、コロン方面へと舵を切ります。
2016年開通の新アグアクララ閘門と対面
ヒョンダイは快調に飛ばし、パナマシティから1時間ほどでガトゥン閘門の観光客用のエントランスに到着です。
この10ドルの入場料は、ツアー代に含まれています。
パナマ運河は1914年に開通した老舗の大動脈。
そして、この「アグアクララ」とは、輸送能力拡大のため2016年に落成された、いわば新ルートです。
ガイドさんが、そんな話を聞かせてくれながら、展望台を案内してくれます。
パナマ人らしいけど、英語で杓子定規に話してくれるので、かえって理解しやすい。
今まさに、大西洋側のカリブ海から運河に入ってきて、ガトゥン湖へ抜けようとしている大型の貨物船。
ガイドさんに「どこの船?」と聞くと、スマホで調べてくれて「ポルトガル」。
ポルトガルのワインでも積んでるのだろうか。
この船は現在停泊中。
というより、前後の閘門を閉じて、水かさを増している最中。
写真だと分かりにくいけど、最初の船の画像と比べてサイドの「MSC」という文字の吃水線で、船が上昇しているのがわかると思う。
この船は、すでに2ヶ所の閘門をくぐってここまできたんだね。
そして、ブリッジの向こうはカリブ海。
久しぶりに出会う大西洋に感動するも、パナマ運河通過を待つ船の多さに驚き^ ^
水位が満たされたみたいです。船をひっぱるタグボートが動き出しました。
そして、門が開いていきます。
この拡張工事の工費は52.5億ドル。1ドル150円換算で約7,900億円。
この7,900億円という数字を、建設背景や時代は違うけど、主な日本国内の建造物工費と比較してみよう。
- 新国立競技場:1,600億円
- 明石海峡大橋:5,000億円
- 青函トンネル:9,000億円
- 東京湾アクアライン:1兆4,000億円
- 番外編:リニア新幹線9兆円・・・
(個人的に、一番上と一番下はいらないな^ ^ 関係者の方すいません・・)
そして、2014年当時のパナマ国のGDPは約500億ドル。
GDPの1割以上を占める、パナマ国にとっての一大事業だったようです。
そんなパナマにとっての誇りともいえるパナマ運河。
1日に通行する船は30〜40隻。
日本はアメリカ、中国、チリについで、世界で4番目に多い利用。
そして、世界の全海上輸送量の4%を担ってます。
巨大な渦巻きが、タグボートが必死に引っ張ってることを物語ってます。
あのジャングルの中には、ナマケモノとかアライグマといった、熱帯の野生動物が生息してるんでしょうね。
そんな大自然を背景に、毎日繰り広げられる通行劇。
ふとカリブ海方面を見やると、次の船の通行に備えてか、水位が下がってました。
ポルトガル貨物船。無事にガトゥン閘門を通過です。
さっそく閉まる閘門。
大自然の中のアグアクララ閘門
新アグアクララ閘門は観光地になっていて、カフェやスーベニアショップがあります。
本来なら、軍事施設並みに扱うべき建造物であるはずなのに、ふつうに写真撮影も可。
パナマ運河の歴史を語るフィルムもありました。
ポルトガル船が、ガトゥン湖の中に飲み込まれていきます。
ガイドさんによれば、ここは元は川。
海抜26mの人造湖だそうです。
カリブ海の海とつながったとき、どんな光景になったのか見てみたくなる。
いずれにしろ、あの船は、パナマ運河の閘門のおかげで、26mも高い湖に着水できたんだよね。
そして、これが、地球上の物流を支えている。
そんなスケールで眺めていると、どこかの国の某元大統領が「通行料が高い!」「返還せよ!」と言ってるみたいだけど、ジャイアンじゃあるまいしどこのガキ大将のセリフだwww
と、鼻で笑いたくなる(^ ^)
10時を過ぎて、観光客も増えてきました。
間髪いれずに、今度はギリシアの船が運河に入ります。
大型船だと、旧運河は通れないんでしょうね。規格って大事なんだな。
大自然をバックに繰り広げられる、世界の物流を垣間見ることができた気分で大満足です。