レバノンと聞くと、どうしても、危険な国というイメージがつきまといがち。
実際に、1975年から15年にわたって繰り広げられた内戦をはじめ、21世紀に入ってからでもイスラエルの侵攻を受けたり、近年では2015年に、ベイルート南部で200人以上が死傷する自爆テロが発生しています。
それを受け、本邦外務省は、レバノン共和国の危険レベルを長らく「レベル2」、つまり不要不急の旅の中止を勧告し、シリア国境付近に至っては、現在でも「レベル3」となる渡航中止勧告を出しています。
しかし、外務省は、レバノン治安当局の努力もあって、首都ベイルートやその周囲に至っては、注意しながら旅をするべきという「レベル1」に、危険度レベルを引き下げました。(2017年)
「レベル1」であれば、ミャンマーやラオス、カンボジアなどの東南アジア諸国と同じ。
そもそも、海外を旅する以上、注意するのは当たり前であって、それからレバノンの情報を散々調べた結果、一人旅可能と判断し、今回の旅に至りました。
レバノンを調べた結果としては、やはりローマ帝国時代、いやそれ以上の紀元前の時代からの遺跡を多く残している国。
また、中東のパリと称される首都ベイルートは、美しい街並みで旅人を迎えてくれるそうです。
たしかにテロとかはコワいけど、それを気にしていたら旅などできない。
そんな思いで、ビビリながらも旅した3泊6日弾丸紀行をまとめてみましたので、レバノンへの旅を企画されている方がいらっしゃいましたら、ぜひ参考にしてみてください。
レバノン・カタール弾丸旅行 全行程
時系列にリンクを貼ってあるので、読みたいところからどうぞ。
全23話の物語です(^^)
日付 |
午前 |
午後 |
---|---|---|
10/30(水) |
(出発まで) |
羽田23:50 ⇒ ドーハ |
10/31(木) |
ドーハ観光 |
ドーハ ⇒ ベイルート |
11/1(金) |
現地ツアーに参加 |
現地ツアーに参加 |
11/2(土) |
ベイルート郊外観光 |
ベイルート観光 |
11/3(日) |
ベイルート郊外観光 |
ベイルート郊外観光 |
11/4(月) |
ベイルート ⇒ ドーハ |
羽田到着 |
会社から2日の休暇をもらって出た旅。それで、レバノンに丸3日いられて、ドーハのトランジットも観光できたんですから、スケジュールとしては、傑作だと思ってます。
レバノン往復のフライトスケジュール
航空会社 | 便名 | フライト |
乗継ぎ時間 |
|
---|---|---|---|---|
往き |
カタール航空 |
QR813 |
羽田23:50 ⇒ ドーハ6:10 |
8時間30分 |
QR420 |
ドーハ14:40 ⇒ ベイルート18:15 |
|||
帰り |
カタール航空 |
QR419 |
ベイルート0:45 ⇒ ドーハ4:50 |
2時間10分 |
QR812 |
ドーハ7:00 ⇒ 羽田22:30 |
カタール航空は通算3度目の搭乗。それにしても、上のフライトスケジュールを見てください。
ほんとに、カタール航空は、弾丸旅行に行ってきなさい、とばかりの現役世代サラリーマン向けのフライトになっています。
こういうフライトプランがあるから、短い休暇で弾丸旅行が可能になるんです。
ドーハ・ハマド国際空港のトランジットツアー
カタール航空と言えば、ドーハのトランジットツアーが有名でしたが、無料ではなく有料になってました。
それでも、2,200円くらいだし、自力で行ってもいくらかかかるし、WEBで予約もできるようになったので、使い勝手は良くなったと言えます。
個人的な感想としては、スーク・ワキーフ以外は、あんまり響かなかったかな(笑)
乗継時間は8時間半もあったし、先日のドバイのように、自力で出かけて、時間ギリギリまで楽しむ方法もあったんでしょうが、個人的にはツアーで十分。
夜だったら、イルミネーションの乱発で、違う楽しみ方ができたんでしょうけど、ドーハの観光は、2,200円で何も考える必要のない、トランジットツアーで十分だと思います。
ドーハのトランジットツアーの様子は、こちらをご覧ください。
旅費・ホテル代など
さて、旅費はいくらでしょうか。計算してみました。(2019年11月のレートで計算)
用途 |
利用区間など |
費用 |
---|---|---|
飛行機 (カタール航空) |
羽田 ⇒ ドーハ ⇒ ベイルート(往復) |
142,000円 |
ホテル |
ベイルート:メイフラワーホテル(3泊) |
17,000円 |
ツアー代 |
ドーハ・トランジットツアー |
2,200円 |
ツアー代 |
バールベック・ワイナリー・アンジャル遺跡 |
10,000円 |
チャーター |
ジェイタ洞窟 ~ ビブロス |
4,900円 |
チャーター |
ダイル・エル・カマルなど |
5,200円 |
しめて、合計181,300円。航空券代の142,000円がひびきましたね。カタール航空は、本来もっとリーズナブルなんですが、レバノンの事情でしょうか。
これに、ベイルート空港のぼったくりタクシー100,000LP(7,000円)が加わります(笑)
その後のツアーや、チャーター代をみても、ぼったくりであるのは明らか。
ただ、ホテルに送迎をお願いしても「35USドル」なので、なにか事情があるのかも知れませんが。
今回は利用できなかったですが、レバノンには「セルビス」という乗り合いタクシーがあり、これを使えば、ビブロスにしろ、ダイル・エル・カマルにしろ、もっと安くあがったことでしょう。
でも、いつ出発するかわからない乗り物は、弾丸旅行者は利用できません。
弾丸旅行者は、時間をおカネで買うんです。
訪れた世界遺産について
レバノンには、世界遺産に登録されている場所が5箇所。
そのうち、今回は、3箇所を見学できました。
バールベック
中東の三大遺跡のひとつバールベック遺跡。
その壮大さには、ただただ感嘆するばかりです。
シリア国境に近く、外務省の危険度レベル2に指定されていますが、ベイルートから、しっかりとしたツアーに参加してアプローチするぶんには大丈夫でしょう。(詳細は後述)
アンジャル
世界遺産アンジャルは、8世紀ごろに栄えたウマイア朝時代の遺跡。
ウマイア朝の遺跡が残されているのはこの場所だけなので貴重です。
バールベックと合わせて、ツアーで参加されるのが効率がいいです。
ビブロス
世界遺産ビブロスは、聖書(バイブル)の語源でもある都市。
地中海の海上交易で繁栄したフェニキア人の発祥の地でもあります。
ベイルートからは、バスでも行けますが、政情不安なうちは、タクシーをチャーターするのもありです。
ビブロスのほかに、ジェイタ洞窟なども回って、5,000円くらいです。
気候・食べ物など
11月のレバノンは、日本の秋のよう。空は晴れ渡り、吹く風は気もちいい。そして、しとしと雨も降る。すべて体験できてよかったです。
最近の渡航国の中では、もっともふつうの格好でいられました。そういえば、いつも携行していた折りたたみ傘をレバノンで失くしました(笑)
カタール・ドーハは、さすがに砂漠の国で暑かったですが、トランジットツアーであれば、すぐに冷房のバスの中に逃げ込むことができますから、あまり気にすることないです。
レバノン料理。これは、おいしかった!(^^)!
若干、酸味が強い点を除けば、野菜中心だし、日本人の口に合うんじゃないかな。
治安について
観光客がふつうに歩けるかどうか、という点での治安については、3日間ベイルートを中心に歩いた感じでは、悪い感じはまったく受けませんでした。
出会った人は、ホテルスタッフ、ツアーガイド、タクシー運転手、レストランの主人など、みな親切。
唯一、空港のぼったくりタクシーの運転手と、ベイルート旧市街で賄賂を仕掛けてきた警官には舌を巻きましたが、逆にいえばそれだけ。
ただし、歩いていると、タクシードライバーに頻繁に声をかけられます。交渉せずに乗ったら、大変なことになること間違いなしでしょう。
デモについては、その現場に行かなければいいだけ。旅行期間中に、大規模なデモが発生しなかったのは、ほんとに運がよかったです。
※帰国してから、レバノンは、また大規模なデモが発生しました。本当に運のよさに感謝です。
危険度「レベル2」バールベック遺跡へのツアー
今回の旅では、生まれて初めて、危険度「レベル2」のエリアに踏み込みました。
一介の旅人がエラそうなことは言えませんが、たぶん「レベル2」といっても、色々あるんだと思います。
今回のように、国土全土でなく部分的に「レベル2」なのであれば、信頼のおけるツアーに参加するというアプローチ方法であれば、大丈夫です。
走るクルマの中から、「レベル2」の町の風景をのぞきましたが、人々の生活風景は、平常そのもの。装甲車や自動小銃で武装した警官が目に入る物々しさはありますが、それだけ安全を管理しているという見方もできます。
ただし、道中でたびたび目にしたパレスチナ難民キャンプは、軽々しく大丈夫と言えない雰囲気が漂ってました。
パレスチナ難民キャンプは、バールベックだけでなく、ベイルート周辺にもあるので、これはほんとに注意が必要です。
世界一周とかしているバックパッカーの方などからみたら、レベル2 程度で何を大袈裟な、ということになるんでしょうが、私のようなサラリーマン旅行者からすると、よくぞ無事に帰還できた、というのが正直な思いです。
まとめ
旅行モノのメディアより、ニュースで目にすることの多かったレバノン。
ついに行って来れたという達成感で、帰国して数日間は、幽体離脱の脱力状態でした(笑)
帰ってきてからも、バールベックの遺跡の壮大さ、地中海の青い色、が目に焼きついて離れません。
遺跡と美しい街並みが融合したレバノン。
政情が安定しないと、なかなか訪れるのは難しいかもしれませんが、中東という地域や遺跡に興味のある方なら、行かない手はないと思います。
願わくば、デモ抗議活動が、これ以上大きくなりませんように。