ベイルートのラフィク・ハリーリ国際空港にランディングです。
煌びやかな街の夜景とはうってかわって、空港には派手さがありません。管制を敷かれた空港のようにも見えます。
緊張のイミグレーション&レバノンポンドの両替
デモが収束したとの情報で安心はしてましたが、また緊張が高まってきました。入国審査が厳しいと聞いていたからです。
気を引き締めて、機を降ります。
アライバルホールを進み、この先で、外国人だけの簡易な審査がありました。
迷彩服を身にまとい、自動小銃をぶらさげた大柄な警官が、パスポートをチェックしては、なにやら質問しています。
私は、日本人だったからか、パスポートをチラッと見ただけで「ハウロング ステイ?」と滞在日数を聞かれただけでした。
その先に、イミグレーションカウンターがありましたが、もうとても写真を撮れる状況ではありません。
外国人だけのイミグレでは、一人一人にすごく時間がかかっています。
30分以上待って、私の番がやってくると、審査官は緊張が緩んでしまいそうな美人審査官でした。
愛想もよく、「レバノンははじめてか?」「滞在日数は?」「宿泊先は?」「どこを観光するつもりか?」などの質問をしてきます。
ところが、パスポートをペラペラめくり、私の渡航履歴をチェックしはじめると、表情が険しくなります。
ちなみに、イスラエルと敵対関係にあるレバノンでは、パスポートにイスラエルの渡航記録があると入国することができません。
私はそれを知っていましたから、イスラエルを訪れたときも、スタンプをパスポートに押していません。(入国カードで対応)
ところが、彼女の目がパスポートのあるページを凝視している。
それが、ヨルダン入出国のスタンプだと気づいたとき、しまった! と、全身が固まりました。
アラビア文字なので私には読めませんでしたが、スタンプには、入出国をした場所「アカバ」が記されていたのかもしれません。
いうまでもなく「アカバ」は、ヨルダンとイスラエルの国境。
つまり、パスポートにイスラエル渡航の痕跡はなくても、間接的にイスラエル渡航を証明してしまっているのかもしれないと考えたとき、私は神にも祈る気分でした。
今だから言えるけど、ほんとに、このときの美人審査官の目つきは見ものでした。
パスポートの全ページのスタンプの確認が終わり、ようやくレバノンのスタンプを押してくれたときは、ノドがカラカラでした。
とにかくこれで無事にレバノンに入国。海外渡航40カ国目がレバノンということになりました。
G7(先進国首脳会議)に数えられる国(アメリカ・カナダ・イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・日本)への渡航経験がないのに、渡航国が40ヶ国になったのは、ちょっとした達成感です!(^^)!
もちろん、日本は除きますよ(笑)
さて、次は両替です。
両替所のないアライバルホール
ところが、いくらさがしても、両替所が見当たりません。
レバノンでは、自国通貨レバノン・ポンドのほかに、米ドルもふつうに流通しているので、両替所なんかいらないということなんでしょうか。
でも、これからタクシーでホテルに向かうわけだし、小額でもレバノン・ポンドを持っていたい。
そこで、開いていたレンタカーのカウンターに顔を出し、「両替できるところはないだろうか?」と相談すると、「ここで両替してやるよ。いくらだ?」との答え。
「200USドル」というと、300,000レバノン・ポンドになって返ってきました。
レバノン国内では、基本的にどこでも1USドル=1,500レバノン・ポンドだそうなので、計算はあっています。
私は、レンタカーのカウンターにいたおじさんに礼を言って、300,000LPを受け取りました。
異国情緒満天なレバノン・ポンド紙幣
これが受け取った、レバノン・ポンド紙幣。数字の大きいインフレ気味の紙幣は久しぶりです。
ちなみに、10,000LPが720円くらいでした。(2019年10月現在)
こちらは、旅の道中で細かくなった後の紙幣。どの紙幣にも、国旗にもなっているレバノン杉が描かれています。
左側が10,000LPで約700円。右側が約70円。さて、レバノンの物価はどんな感じでしょうか。
警官を味方にするぼったくりタクシー
入国に時間がかかり、両替などしていたので、到着客はほとんどいない中アライバルホールを出ると、「タクシー!タクシー!」と群がってきました。
その中の親分のような兄さんが、「タクシー?カモン!」と言って、勝手に荷物を持って歩き出しました。
あわてて追いついて、「いくらだ?」と聞くと、「100,000LP」。
冗談でしょ、100,000LPは約7,000円。「地球の歩き方」にも、相場は10~20USドル(つまり15,000~30,000LP)とあるし、3倍以上のぼったくり価格。
それは、おかしいだろ、と思いながら、念のため、USドルでと聞くと「100USドル」。100USドルは150,000LPになります。
レバノン入国のしょっぱなからつまづきです。100,000LPもするわけないだろ、と言ってもまったく取り合ってもらえません。
そのうちに警官が近づいて来て、この兄さんと二言三言話した後、警官が私の肩を押さえて、このタクシーに乗るように指示。そして「100,000LP」と一言。
もうまったく! 警官まで味方につけやがった・・・
巨漢な警官に肩を押さえられては、私としては従うほかありません。
デモは収束したんでしょうけど、そのデモの根源は貧富の格差。警官の賄賂攻撃なんかもあるのかな。
私はしぶしぶ、こいつのタクシーに乗りました。
それにしても空港から市街までの30分程度で100,000LP(7,000円)。さっき両替したおカネの3分の1が早くも消えました。
ま、郷に入らば郷に従えです。気を取り直して、すっかり日の落ちたベイルート郊外の景色を眺めます。
運転手は、飛ばす飛ばす・・・
市街に入ると大渋滞。デモは収束したといっても、まだ所々路上を占拠している連中がいるようです。
しかも、そういう場所では、自動小銃を抱える警官がズラリ。
空港に着いてから緊張が途切れることがなく、心臓がバクバク状態です。
こういう緊張感というか興奮を味わうの、すごく久しぶりのような気がします。
レバノンに来た、という実感が、ものすごく高まってきました!(^^)!
ハムラ地区の「メイフラワー・ホテル」にチェックイン
そして、タクシーは、ベイルート旧市街の西側に当たるハムラ地区の「メイフラワー・ホテル」に横付けになりました。
ほんとは旧市街のどこかに泊まりたかったんですが、旧市街はデモの激戦区だったので。
ここハムラ地区は、繁華街には近いですが、デモの様子はまったくなく落ち着いています。
チェックインは簡単に終わり、2階の部屋へ。エレベータは、久しぶりに手動タイプでした。
1泊6,000円の部屋。治安のことを考えると、このレベル以下のホテルに泊まるのはリスクがあるでしょう。
トランジットが長かったとはいえ、日本から27時間以上かけて、ベイルートに到着です。
くつろぎたいところですが、高揚した気分がさめないうちに、ホテルの周りを散歩してきたくなりました。物価がどのくらいかも知りたいし。
ホテル周辺の散歩
その街に着いて、最初の街歩きはゾクゾクするものです。
特に今回は、ずっと訪れたかったレバノン・ベイルート。日本人皆無なアウェイな状況も、気分を高揚させます。
おしゃれな街並み。人の姿もおしゃれ。治安も心配する必要ないかな。
かと思うと、急に暗い路地になったりするから、油断はできません。
あのスーパーで買い物をして、物価を確認してみましょうか。
いろんなモノを売っています。もちろんお酒も。
ハイネケン2本にレバノンワイン1本。そしてパン生地。これで19,450LP(約1,400円)でした。
パンは250円。物価は、日本とそう変わらない感じですかね。
これは、スーパーからホテルに帰る途中の路地。
夜8時を回ってますが、子供たちがサッカーをやって遊んでいます。
明日は、さっそく、今回の旅で最大の懸案であった危険度レベル2の「バールベック」にアプローチします。
身体は疲れてるんですが、興奮して、なかなか寝付けません。ちょっと酸味の強いレバノンワインを飲んで、無理やり目を閉じます。
とにかく、レバノンに来ました。明日からの旅がたのしみです。