苔寺で親しまれる【世界遺産 西芳寺】Web予約で写経体験

京都寺院の境内を覆いつくす緑豊かな苔。

京都の初夏の風物詩のひとつといってもいいでしょう。

苔で有名な寺院として、「祇王寺」「三千院」などがあげられますが、まだ訪れたことがなかったのが「西芳寺」。

苔寺の愛称で親しまれるこの寺院は、世界遺産の古都京都をつかさどる17か所のうちのひとつです。

ところで、この苔寺。京都散策の折、ふらっと立ち寄ることはできません。

事前申し込みによる予約が必要なんです。

でも、近年はwebでの予約も可能になったので、拝観のハードルはそんなに高くはありません。

本日は6月12日、日曜日。

前夜、先斗町の旅館「三福」に泊まった私は、翌朝、京都河原町駅から阪急電車で苔寺の最寄り駅上桂へ向かいました。

予約が必要な「西芳寺」拝観

西芳寺の予約拝観の歴史は古く、拝観者が増え「観光公害」を誘発したことから1977年から予約制をしいています。

この予約方法は、長らく「往復はがき」にて申し込む方法に限定されていたのですが、近年になって、直前の予約に限り、webでの申し込みが可能になりました。

Webで申し込むと、上の写真のような返信メールが来て、そこに記載の予約番号が申し込み完了の証になります。

ところで、「往復はがき」での事前申し込みを、ネット社会においても続けている理由を「西芳寺HP」では、次のように説明しています。

この数十年で、あらゆることが素早く簡単にできるようになりました。その分、時間が生まれるはずなのに、不思議と時間ができません。むしろ、先へ先へと追い立てられて毎日が窮屈に感じませんか。

西芳寺では、便利さや効率の良さから少し距離を置いて、たまには手間をかける時間があってもいいのではないかと考えています。そんな機会にしていただけたらという思いで、今でも葉書での申し込みを主として続けています。ですから、手間がかかる・面倒だなぁと思わず、「今時珍しいね」「何か面白そうだ」と前向きに捉えていただけたら幸いです。

西芳寺HPより

共感できるところがあったので、「往復はがき」をコンビニに買いに行って、そして売ってなくて挫折しました(^^)

平日の日中に、わざわざ郵便局まで足を運べるほど時間のない、つまり、私は現代社会に侵されている人間だということです。

ちなみに、拝観料は、「往復はがき」の場合は3,000円、web予約は4,000円とのことです。

人生初の写経体験

さて、阪急電車上桂駅から、徒歩20分ほどで着いた「西芳寺」。

私の予約時間は10:30の部。受付で、予約完了メールを見せて、4,000円を払います。

ありがたいことに、キャリーバッグを預かってくれました。これで身軽に拝観できます。

境内の様子は、こんな感じです。

パンフレット裏面には、西芳寺が育んできた歴史が。

スティーブジョブズが訪問していたのには、驚きでした。

ちゃんと「往復はがき」書けたのかな(^^)

境内に入ると、さっそく写経体験に入ります。この本堂が写経体験会場。

遠巻きに見ていると、みなさん一生懸命書いてます。

写経の様子は撮影禁止です。

ていうか、みなさん、本当に熱心に書いているので、そんな気になれません。

私も一生懸命筆ペンで書き写しました。

書き写したお経は、願いを込めて、本堂の箱に入れるので、現物や画像はありませんが、こちらが写経用紙です。

西芳寺HPより

そして、筆ペンは記念にいただけます。

写経というのは、気持ちを落ち着かせるといいますが、たしかに厳粛な思いになります。

日本語、漢字、文化としては一流だと思います。

120種の苔で覆いつくされた庭園

では、写経で心を落ち着かせたところで、庭園に参りましょう。

苔もさることながら、初夏に訪れると、どこをみても緑満載の庭園。

ここは、まだ庭園に入ってませんが、素晴らしい演出に足を止めます。

瑠璃光院にも負けてない青もみじ。

ここからが、黄金地を一周する庭園です。

西芳寺の庭園は、上下二段に分かれています。

いま、私がいる場所は、下段の黄金池を取り囲む池泉廻遊式庭園。

上段は枯山水式庭園とのことですが非公開。

しかし、下段の庭園も、見事な苔の広がりです。

岩倉具視の隠れ家「湘南亭」

明治維新の際に、岩倉具視が隠れていたといわれる「湘南亭」。

安土桃山時代には、千利休の次男、千少庵により建立されたお茶室でした。

日向は6月の太陽が降り注ぎ、汗ばむほどですが、茶室の中は涼しく感じる。

なぜだろう。観念だけではないと思うんですが。

こんな茶室に、1か月くらいこもってみたい。

湘南亭をすぎても、苔の庭園は続きます。

歩いていくと、別の茶室が。

丸窓が特徴的な「潭北亭(たんほくてい)」です。

苔というのは、ほっといても、ふつうに育っていくものなんだろうか。

手入れは必要でしょう。庭園が広いので、苦行を察します。

この上が、拝観禁止となっている枯山水ですね。

緑にばかり目を奪われましたが、苔寺の歴史観も古く、聖徳太子がこの地に別荘をもったのがはじまりとされています。

そして、あの芸術家将軍「足利義政」は、この西芳寺を模して、銀閣寺を建てたと言われます。

昨日の雨がウソのような晴れ上がった空。

緑がいっそう輝いて見えた苔寺でした。

実は、雨を期待していたんですが、昨日の雨を吸っていたので、鮮やかに見えたのかもしれません。

予約できるかわかりませんが、紅葉の季節にも訪れてみたいです。

せわしない帰途

先へ先へと追い立てられる現代社会からの逃避を説いていた「西芳寺」ですが、現実の社会人はそうはいきません。

これから東京へとんぼ返りして、明日の仕事へ備えなくてはなりません。

なので、参道に店が出ていた名物の「とろろそば」もお預け。

あらかじめ、時刻を読んでいた京都駅行きのバスに飛び乗ります。

途中、渡月橋を渡りました。だいぶ観光客も出てきているみたいですね。

いいことです。

京都駅に着いたら、駅弁を買い込み、

東京行きの「のぞみ22号」に乗り込みます。

あわただしかった、6月の京都週末旅も終わりです。

買った駅弁は「うなぎと鹿児島の黒毛和牛弁当」。

京都らしくない駅弁ですが、昨夜の「三福」に、先斗町と、京料理は存分に楽しみました。

インバウンドが本格的に稼働する前に、あと数回京都を訪れたい。

あらためて、そう感じた京都週末旅でした。

今回の京都週末旅の全行程

今回の京都週末一人旅の全行程です。

写真で、6月の京都週末旅を楽しんでください。

最後までお読みいただきありがとうございました。