【京のお宿 三福】鴨川沿いの静かな旅館で先斗町での宿泊を味わってみる

京都の楽しみ方はさまざま。

寺院仏閣巡り、京野菜、お祭り、長らく日本の歴史を育んできた土地だけに楽しみは尽きません。

そして、「京都らしい旅館に泊まる」というのも、楽しみに含まれるでしょう。

2年ほど前から、つまりコロナ禍になってから京都の旅を楽しみはじめ、今回で5回目の訪問となる京都。

しかし、宿泊は、ほとんど駅前のドーミーインでした(^^)

便利だし、大浴場もあるので、これはこれでコスパがよかったわけですが、京都らしい老舗旅館に泊まってみたい、とずっと思ってました。

でも、京都初心者にとって、京都らしい旅館をさがすのは、とても難しい。

そもそも「京都らしい」ということに定義があるわけでもない。

楽天などで探せば、とてつもなく高級な旅館がラインナップされている。

要するに、

  • 京都らしい雰囲気を醸し出している
  • それでいて、極端に敷居が高いわけではなく親しみやすい

と、こんな感じの旅館に泊まりたいんです。

そんな中、2年ほど前、初めて本格的に京都の町を散策した折、先斗町で雰囲気のよさそうな旅館を見つけました。

それが「京のお宿 三福」です。

先斗町 鴨川べりの旅館「三福」

京都・先斗町の通りに面した旅館「三福」。

外観からして、「京都らしい」雰囲気満点です。

とても、品格のある旅館。少々気後れしながら、扉を開いて中に入ります。

玄関まで進むと、小さくチャイムが鳴って、女将さんが「お待ちしておりました」と出迎えてくれました。

その女将さんに案内されながら、私の部屋へ向かいます。

廊下のようすまで、なにからなにまで新鮮な体験。

そして、通されたお部屋がこちら。

京都というか、純和風の和室を期待していた私は、大満足です。

私の荷物を運びこんでくれた女将さんが、「ようこそ、おこしやす」と、京言葉であらためてご挨拶いただいたあと、軽く雑談をさせていただきました。

やはり、私のような一人旅は少ないのか、なぜ「三福」に興味をもってもらったのかなど、会話を楽しみます。

ちなみに、女将さんはとても美人です。

素敵な笑顔で、「三福」の名前の由来や、かつては五山送り火が部屋から見えたこと、夕食の後のお酒は美味しいお店を紹介いただけるなど、話してくれます。

ゆっくりくつろげる鴨川べりの「鴨の間」

さて、一人に戻り、あらためて宿を体感。

「三福」は、先斗町と鴨川の間に建っている小さな旅館。

70年からの歴史をもつ老舗旅館です。

部屋の数はわずか3つですが、私は1階の鴨川がのぞめる「鴨の間」に泊まることができました。

5人以上の予約の場合、貸し切りができるようです。

部屋は、この2階に、同じく鴨川沿いの「千鳥の間」。

そして、帳場から横に入った鴨川は見えない「扇の間」の3つです。

したがって、けっこう予約を取るのが大変。

私は、3か月前に運よく確保できましたが、週末は軒並み予約いっぱいのようでした。

鴨川の流れが手に取るようです。こんな旅館に泊まってみたかった。

柱や壁、ひとつひとつにぬくもりが感じられます。

縁側から居間に戻り、茶菓をいただきましょう。

宿が素晴らしいと、茶菓も輝いて見える。

もう一度、縁側に座って、京都にいる気分を楽しみます。

鴨川の河岸を歩く人々を無遠慮に眺められる距離。

京都の人々の生活風景。旅の臨場感がこみあげるとき。

6月ですが、水量がそんなに多くない鴨川です。

「三福」の館内探検

夕食の時間は18時とのことなので、まだ時間があります。少々館内を散歩します。

こちらは、帳場の小部屋。

京都に関する書籍が並んでますね。

こちらは、2階へあがる階段。宿泊客がいるそうなので、さすがにあがるのは遠慮しておきます。

お手洗いは部屋の外にあります。

そして、こちらがお風呂場。

入ってもいいとのことなので、ひとっ風呂浴びてしまうことにしました。

タイルの模様が懐かしい感じです。

浴槽はヒノキとのことで、これも初めての体験。

木張りの浴槽って、肌にやさしい。

瑠璃光院から比叡山まで登ってきた(ロープウェイだけど)疲れがとれ、さっぱりです。

実は、予約の際、とんだ迷惑をおかけしてしまってました。

「三福」は、基本的に「片泊まり」。

つまり、朝食のみの提供で、夕食の希望がある場合は、2名から近くのお店から用意できるというもの。

それを知らずに、1泊2食でオーダーをしてしまったものですから、私のために、京料理を扱うお弁当屋さんをいくつかラインアップし、私のメールに送っていただいたのです。

私としても、せっかくの鴨川べりの部屋なので、部屋で夕食をいただきたく、ご厚意に甘えお弁当を注文させていただきました。

伝統の京料理「半月弁当 季節のお椀付」の夕食

というわけで、特別に取りよせていただいた夕食です。

「菱岩」さんという、創業が天保元年、つまり200年近く京料理を作り続けている老舗中の老舗の仕出し屋です。

菱岩 - 天保初年創業 仕出し料理専門店
菱岩は天保初年(1829年)創業の仕出し料理専門店です。お祭りやお祝い・旅の思い出などお客様の特別なひとときに、京文化とともに歩んできた伝統の味をご賞味ください...

女将さんのおすすめで、いくつか選べたんですが、カタチが可愛かったので「半月弁当」を、そして一番グレードの高いメニューを選びました。

京料理って、食べるの初めてです。

お造りが光ってます。

食材ひとつひとつが、とても丁寧にさばかれてます。

こちらが、季節のお椀。

盛り付けが、あまりに美しいので、食べてしまうのがもったいないくらい。

鴨川べりの旅館で、京料理をいただくなんて、数年前の自分からしたら想像できなかったな。

こんな旅の楽しみ方もあるんだな・・・

少しは大人になった証拠かな(^^)

冷酒もいただきました。

おすすめをお願いすると、伏見の蒼空(そうくう)という銘柄をもってきてくれました。

「白菊水」と呼ばれる地下水を使用するブランドだそうです。

食事が終わると、ちょうど長い6月の日が暮れていく頃でした。

ところで、時刻は19時。このまま寝てしまうのはもったいない。

女将さんのすすめもあって、夜の先斗町に繰りだしました。

 

そして、一杯やって、まだ夜はふけてませんが夜の「三福」。

門限はありますので、時間厳守で帰ってきています。

この特徴的な渡り廊下が、純和風な旅館を引き立てます。

なんという名称なのだろうか。

部屋に戻ると、布団が敷いてありました。

至れり尽くせりの「三福」です。

私の他には、宿泊客はもう一組。つまり泊まっているのは3人だけ。

鴨川べりの宿の静かな夜でした。

湯豆腐に京野菜の朝食

静かな部屋で、ぐっすり眠って快適な朝。

今日は晴れました。苔寺の苔も太陽の光に映えるかな。

旅とはお腹がすくもの。旅館の朝ごはんはほんとに楽しみです。

朝食は8時からなんですが、私が「苔寺」の拝観を10時半に予約している旨を告げると、早めにしていただきました。

給仕してくれたのは、おばあさん。女将さんのお母さまかな。

湯豆腐なんて、まさに京都です。

その他の食材も色鮮やか。

これ、なんだっけな? かなり美味しい吸い物でした。

そしてご飯。

4膳分くらい入ってましたが、すべてきれいにいただきました。

昨日から、どこか哲学的になってますが、子供のころから洋食や中華一辺倒だった私が、好んで和食を食べるとは。

人間って、変わるものだなと、つくづく思います。

美味しい湯豆腐。

だし巻き卵も光ってました。

あっさりと完食。

旅館での食事、それも部屋の食事って、なぜこんなに美味しいのかと思う。

デザートです。

今日これからの予定は、苔寺の愛称で知られる西芳寺を、10時半拝観の予約を取っています。

新聞を読みながら、京都の宿の余韻を楽しみます。

泊った雰囲気、部屋からの眺め、食事、そして「三福」の皆さんの心遣い。

すべてが、気持ちよく印象に残った一夜でした。

また泊りに来たいと思います。

チェックアウトです。

1泊朝食付きで16,500円。これで、これだけのホスピタリティをいただけるなら安いものです。

昨日は雨が降ってました。

それで、チェックインの際傘を預けたのですが、なんと新品のようにたたまれてます。

私のような一元の客まで、丁寧に扱ってくれた「三福」の皆さんに感謝です。

昨日とはうってかわって晴れ上がった先斗町。

河原町の駅に向かって歩いていく私を、「三福」のおばあさんがずっと見送ってくれました。

「三福」は、作家柏木圭一郎氏の「日本名百宿」にも紹介されているそうです。

軽い気持ちで、「京都らしい旅館」を選んで宿泊させていただきましたが、こんなに親切で親しみやすかった旅館は、生涯通して初めてだと思います。

「京都のお家にお帰りいただいたつもりで、どうぞごゆっくり。」というくだりがしっくりくる、旅館に泊まることの楽しさを教えてくれた「三福」でした。

 

「三福」の公式HPはこちらです。

京のお宿 三福|京都先斗町
舞妓さん芸姑さんが行き交う花街(先斗町)で宿を初めて70年。鴨川を望むお部屋が人気のお宿です。

今回の京都週末旅の全行程はこちらです。