【シルクロード】4日目(その3) 新疆ウイグル自治区  驚きのトルファン北駅での拘束

さて、タイトル通りなんですが、その1時間前は、そんなこと、思いもよりません。新幹線も快調に砂漠の中を飛ばします。

新幹線から眺める黒砂の砂漠

しばらくは、日本で見ることのない、黒砂の砂漠をご覧ください。 

  

現在19時。西の空は、まだ明るいです。

 

水が流れたあと?

 

この先に、幻のオアシス都市 楼蘭がありました。

それにしても、雄大な眺めです。

   

久しぶりに見ました。高速道路。

 

道路が現れるってことは、町が近いってことね。まもなく鄯善北に到着です。

鄯善とはピチャンと読みます。シャンシャンという読み方もあるようですが。 

しかし、鄯善北というだけに新しくできた駅。駅の真裏は砂丘が広がってます。

 

鄯善北駅を出ると、トルファン北までは30分ほど。古代の旅人が数十日かけてたどり着いた道のりを、わずか3時間半で走り抜けました。新幹線、おそるべし。

 

トルファンが近づき、北側にはボグダ山脈の山影が。ふもとには、2台のトラックが愛らしい。

 

トルファンは、実はものすごい低地にあります。列車は、海抜マイナスの盆地に向かって駆け下りています。そもそも、トルファンって、ウイグル語で低地を意味します。

あと数分で、トルファン北に到着ですが、気配は感じません。

トルファン北駅に到着。そして・・

形的に火焔山かなと思ったけど、方角が違うね。トルファンも北駅だと、周囲に町はないようです。

町の気配を感じぬまま、列車はトルファン北駅に到着。20:04の定刻です。

トルファンは西域の大観光地です。かなりの乗客を降ろして、列車は、ウルムチに向かって発車。

さすが西域の夕刻。まだ、全然明るいです。この時点で、私は何も警戒していません。

トルファン北駅出口の検問 1時間かかった尋問

ホームから、エスカレータのない階段で地下道に降ります。トルファンも敦煌と並んで訪れたかった町の一つ。

このときの私の気分は、(やった、念願のトルファンに着いたぞ。明日は郊外の1日ツアー。こりゃ、楽しみだぁ・・)、という感じ。

違和感を感じたのは、地下道を通って、駅の外に出ようとしたとき。警察がいっぱいいるな、とは思いましたが、中国では見慣れた光景。

ところが、大声で「****!!」と叫ばれ、わけもわからず立ち尽くしていると、「お前はこっちだ!」とばかりに、私は、駅出口の片隅にあった検問所のような場所に引っ張っていかれました。警官が10人近く、立ち尽くし、私を見つめています。

 

そのとき思ったのは、(ありゃ、駅のホームでカメラをパチパチやってたのがまずかったかな。ヤバいな、こりゃ・・)、しかし、次の瞬間、「パスポート!」。

パスポートを出すと、その警官はそのまま詰所に消えてしまいます。そして、10分以上たっても出てきません。

いったい、何が起こったんだろう・・

正直、このときは、自分の身に何が起こったのか、まったく理解不能でした。

なんとか、心を落ち着けて、警官の姿を注意深く見ると、顔つきが明らかに漢民族ではない。私は今まで、ウイグル人を見たことなかったけど、ロシア人のようなハーフっぽい顔をしている。

さらに、よく見れば、粗末な格好の警官も何人かいて、そいつらは、何かを囲むようにしゃがんでる。鍋にはいった麺のようなものを、みんなでつまんでいるのでした。

私は、少し怖くなった。本当に、ここは中国か? 列車が早すぎて、一気に中央アジアに抜けてしまったんじゃないのか。そうでなければ、こんなに西洋の顔つきの警官がたくさんいるわけない・・・

それに、検問所で飯を炊くか、ふつう・・

 

待つこと20分。ようやく、私のパスポートを持った警官が帰ってきたかと思うと、私にスマホの画面を見せます。その翻訳アプリには、「滞在登録をしなくてはなりません。協力してください。」と表示されていました。

意図がわかって、少し安心しましたが、今度は、駅を出て広い駅前広場を突っ切り、派出所のようなところに連れて行かれ、荷物を全部そこに置いて、中に入れと言ってます。

カメラバッグがすごく心配だったけど、仕方なく言われたとおりに、中に入ると、そこからが大変でした。

「今回の旅行の目的は?」「昨日はどこにいた?」「今夜の宿泊ホテルは?」「日本にはいつ帰る?」「新疆ウイグルに友達はいるか?」

さらには、過去の渡航記録を見て、「大連には、何をしに行った?」

そして、私のパスポートは、あらゆるページのコピーをとられ、そのコピーに、携帯の電話番号とメールアドレスを書けと。

あげくの果てには、パスポートの顔写真のページをかかげながら、私の全身を写真撮影。いったい、これは、なんの拷問だ・・・

トルファン北駅の出口は、新疆ウイグル自治区の入り口

途中からは、気持ちがめげそうになりました。

私は、この警官たちに、けっして乱暴に扱われているわけではない。しかし、日本の常識からしたら、考えられない職務質問。

その後も、翻訳アプリを使って、執拗に尋問。いつ終わるんだろう・・

たぶん翻訳ミスだと思うけど「あなたはロバの味方ですか?」なんて、質問がきたから、もう腰が抜けるほど驚いたり。だって、昨日、ロバ肉食べてるし・・・

へんな回答したら、大変なことになると思い、わけがわからない、といった顔をして、なんとかスルーできました。私は今、新疆ウイグル自治区にいる、イスラム圏にいる・・・

精も根も尽き果てるころ、ようやく、尋問が終わり、解放されました。

 

時計を見ると、21時。列車の到着から1時間が過ぎています。警官たちは、もう自分たちの持ち場に戻ったのか、だだっ広い駅前広場は、何事もなかったかのように静まり返っています。

いったい、あれは、現実だったんだろうか。

新疆ウイグル自治区が、さまざまな面でベールに包まれているとは聞いてましたが、この洗礼。ショックで、しばらく、呆然と立ち尽くしていました。

ようやく気持ちが落ち着いてきて、さっきの出来事を反芻してみます。

  • 新疆ウイグル自治区を旅する者は、滞在者登録が必要。
  • 私の場合、トルファン北駅が新疆ウイグル自治区へのゲートとなった。
  • 私1人に1時間? ほかに、外国人旅行者がいっぱいいたら、どうなっていた?
  • 警官は、全員ウイグル人だったように思う。新疆ウイグルを仕切ってるのは漢民族のはず。
  • でも、その警官たちは、みんな中国語で、私に話しかけてきた。ウイグル人なのに。
  • 私の行動は、これから新疆ウイグルを巡る数日間は筒抜け・・・ まあいいや。

以上のようなことは、「地球の歩き方」にまったく書いてなかったので、最近施行された条例なんでしょうが、不可思議なことがいっぱい。

あらためて、新疆ウイグル自治区に来たという事実を、自分に言い聞かせます。同じシルクロードのオアシス都市でも、甘粛省の敦煌とは、まったくもってわけが違う。

ウイグル女性のタクシーでトルファン市街へ

放心状態で、キャリーに寄りかかるように立っていると、今度は女性に声をかけられました。今度は色仕掛け?  もう、警戒モード120%ですが、そんなことより、相手にする気力もなく、あっちへ行け、と手で追い払います。

ところが、この女性、「タクシー、タクシー」と話しかけてくる。自分がタクシー運転手だよ、と言ってるのか、タクシーを案内するよと言ってるのかわかりませんが、勝手に、私のキャリーを引っ張っていこうとするので、あわてて止めます。

ここ、トルファン北駅は、市街からはかなり離れている。いずれにしろ、タクシーを拾うしかないのかと、疲れ切った頭で考え、いちおう「ハウマッチ?」と聞いてみると、見事に通じません。ほんと疲れるな・・・

さっき、警官に、今夜の滞在場所はと聞かれたときに書いたホテル名のメモを見せ、10元札を見せながら、いくらなのか書いてくれ、とペンを渡します。ようやく理解したみたいで、書かれた金額は30元。

ぼったくりな金額ではなかったので、お願いすることにしました。私のキャリーを我が物顔で引っ張っていくウイグル人女性。話す言葉は、まったく聞き取れず。生まれてはじめて聞いたウイグル語でした。

(さっきの警官は、ウイグル人なのに、話す言葉も、翻訳も全部中国語。わけわからん・・)

彼女は、タクシーの運転手でした。手馴れた手つきで、バッグをトランクに押し込むと、クルマを発信させます。

不思議な世界だった、トルファン北駅。

 

少しづつ、心が落ち着いてきて、窓の外を見る余裕が生まれます。

夜21時過ぎで、この明るさ。

在来線のトルファン駅は、市街から大きく離れてますが、高速鉄道のトルファン北駅は、市の中心まで15キロほど。

市内に向かってくれてるし、メーターもちゃんと動いてる。なんとか、さっきの得体の知れない緊張感からは解放されました。しかし、あんな尋問初めてだよ。ほとんど丸裸にされたって感じ。

中国政府に、どういう意図があるのかはわかりませんが、これから6日間、新疆ウイグル自治区内にいるんです。行動には気をつけないと・・

そんなことを考えながら、ぼんやりと前方を眺めていると、運転席の女性が、しきりにウイグル語で話しかけてきます。その姿が、あまりにいじらしかったので、「地球の歩き方」の「旅のウイグル語会話」のページを開いてみせました。

おいおい、走りながら読んでくれなんて、言ってないよ・・・

女性は、かまわずに、ページを指で押さえながら、いろんなことをウイグル語で話しかけてきます。なんか、今朝は、爽やかな空気の中、敦煌の町を歩いていたことが、忘却のかなたに霞みそうだ(笑)

目指すホテルについた後も、「食事に行こう。」とか、いろんなことを誘ってきて、さすがに疲れた。もういいから、一人にしてくれ。

おまけに、このホテル、私が予約したホテルじゃなかった。「高昌大酒店」、予約したホテルは「吐魯番高昌路店」。さあ、どこよ・・・

この、間違えたホテルに入るためにも、荷物を全部あけて検査されています。

1時間におよぶ尋問をくらったうえ、タクシー運転手からは色仕掛け、そして、違う場所でおろされる。一人旅は、精神を強くさせる、と思う。

「吐魯番高昌路店」にチェックイン

今いる通りが「高昌中路」だから、この通り沿いだろうと、何度も往復。30分近く、このホテルが予約したホテルとわからず。

だって、名前が違うじゃん。頼むよ・・・

どこに「吐魯番高昌路店」って、書いてあるんだよ、まったく、trip.comさん。

「吐魯番高昌路店」。今夜を含めて2泊します。ちなみに、ここでもパスポート登録。どんどん登録してください(笑)

フロント女性は、漢民族の顔立ち。英語も通じました。トルファンに来て、はじめて中国系の顔を見ました。

このホテル、トルファン中心街の交差点の一角。もっともよい立地と言っていいでしょう。

それでいて、2泊で7,400円。日本人の感覚からしたら、激安です。

ま、欲をいえば、部屋の広さ半分で、料金も半分が・・

初めて食べたラグメンに癒される

シャワーを浴びて、すっきりしたところで、町に繰り出しました。町を歩くというより、腹ごしらえです。新幹線の中で食べたパンが最後の食事。

時刻は23時近く。さすがに日は暮れてます。ウイグル文字に、また警戒心が高まります。

食べられれば、何でもいいや、と、通り沿いのイスラム料理屋さん。

  

「メニュー?」と言っても通じず。もう面倒くさくなって、日本語で「何でもいいから持ってきて」。少年は、きょとんとしながら、なにやら言うので、ぜんぶうなずいてオーダーしました。

さて、何が出てくるやら・・・

トルファンの空気は乾いてます。お茶がうまい。ほんとにうまい。

調理場を見てると、ものすごい炎を天井付近まであげながら、料理を作っています。

みんな、食べているのは麺だね。

さあ、出てきました。なかなか、おいしそうです。

 

見てると、みんなぶっかけて食べてるので、私もマネします。熱々の具が、冷えた麺でうまく中和します。

ニンジンかと思った赤い食材はトマトでした。いや、しかし、なんと、すごくおいしい!

2時間前の、とんでもない出来事で落ち込んだ気持ちが吹き晴れるほど、癒される料理でした。

いやあ、おいしかった! ところで、この料理は、なんていうのだろう??

少年に聞くと、メニューの左上を指差し「ラグメン」。これがウイグルの定番料理ラグメンでした。

少年とマスターにお礼を言って店を出ます。

 

おいしい料理で、心が満たされて、ホテルに戻りました。警官の皆さん、警備ご苦労様です(笑)

長かった1日が終わりました。無事であった本日に、日本から持ってきたワインで乾杯です。

今日は、ほんとにいろんなことあったけど、気持ちを切り替えましょう。明日は、楽しい旅程ですよ。チャーターしたクルマで、高昌古城やベゼクリク千仏洞、火焔山などを回るんです。

ワインもほどほどにして、就寝です。しかし、今日は疲れた・・

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