トルファンの街 はじめて食べたラグメンで動揺した気持ちを回復【シルクロード旅行記 #17】

新疆ウイグル自治区に入るなり、いきなりの拘束尋問。

解放されたと思ったら、今度は、ウイグル女性が、勝手に私のキャリーを引っ張っていく。

正直、放心状態であった、自分の精神を立ち直らせるだけで精一杯です。

なんとか、気持ちとアタマの中を落ち着かせ、「ハウマッチ?」と聞いてみると、今度は見事なほどに言葉が通じません。

ほんと疲れるな・・・

さっき、警官に、今夜の滞在場所はと聞かれたときに書いたホテル名のメモを見せ、10元札を見せながら、いくらなのか書いてくれ、とペンを渡します。

ようやく理解したみたいで、書かれた金額は30元。

ウイグル女性のタクシーでトルファン市街へ

ぼったくりな金額ではなかったので、お願いすることにしました。

私のキャリーを我が物顔で引っ張っていくウイグル人女性。

話す言葉は、まったく聞き取れず。生まれてはじめて聞いたウイグル語でした。

(さっきの警官は、ウイグル人なのに、話す言葉も、翻訳も全部中国語。わけわからん・・)

彼女は、タクシーの運転手でした。手馴れた手つきで、バッグをトランクに押し込むと、クルマを発信させます。

不思議な世界だった、トルファン北駅。

 

少しづつ、心が落ち着いてきて、窓の外を見る余裕が生まれます。

夜21時過ぎで、この明るさ。

在来線のトルファン駅は、市街から大きく離れてますが、高速鉄道のトルファン北駅は、市の中心まで15キロほど。

市内に向かってくれてるし、メーターもちゃんと動いてる。

なんとか、さっきの得体の知れない緊張感からは解放されました。

しかし、あんな尋問初めてだよ。ほとんど丸裸にされたって感じ。

中国政府に、どういう意図があるのかはわかりませんが、これから6日間、新疆ウイグル自治区内にいるんです。

行動には気をつけないと・・

そんなことを考えながら、ぼんやりと前方を眺めていると、運転席の女性が、しきりにウイグル語で話しかけてきます。

その姿が、あまりにいじらしかったので、「地球の歩き方」の「旅のウイグル語会話」のページを開いてみせました。

おいおい、走りながら読んでくれなんて、言ってないよ・・・

女性は、かまわずに、ページを指で押さえながら、いろんなことをウイグル語で話しかけてきます。

なんか、今朝は、爽やかな空気の中、敦煌の町を歩いていたことが、忘却のかなたに霞みそうだ(笑)

目指すホテルについた後も、「食事に行こう。」とか、いろんなことを誘ってきて、さすがに疲れた。

もういいから、一人にしてくれ。

おまけに、このホテル、私が予約したホテルじゃなかった。

「高昌大酒店」、予約したホテルは「吐魯番高昌路店」。さあ、どこよ・・・

この、間違えたホテルに入るためにも、荷物を全部あけて検査されています。

1時間におよぶ尋問をくらったうえ、タクシー運転手からは色仕掛け、そして、違う場所でおろされる。

一人旅は、精神を強くさせる、と思う。

「吐魯番高昌路店」にチェックイン

今いる通りが「高昌中路」だから、この通り沿いだろうと、何度も往復。30分近く、このホテルが予約したホテルとわからず。

だって、名前が違うじゃん。頼むよ・・・

どこに「吐魯番高昌路店」って、書いてあるんだよ、まったく、trip.comさん。

「吐魯番高昌路店」。今夜を含めて2泊します。

ちなみに、ここでもパスポート登録。どんどん登録してください(笑)

フロント女性は、漢民族の顔立ち。英語も通じました。トルファンに来て、はじめて中国系の顔を見ました。

このホテル、トルファン中心街の交差点の一角。もっともよい立地と言っていいでしょう。

それでいて、2泊で7,400円。

2泊ですよ。日本人の感覚からしたら、激安です。

ま、欲をいえば、部屋の広さ半分で、料金も半分が・・

初めて食べたラグメンに癒される

シャワーを浴びて、すっきりしたところで、町に繰り出しました。町を歩くというより、腹ごしらえです。新幹線の中で食べたパンが最後の食事。

時刻は23時近く。さすがに日は暮れてます。ウイグル文字に、また警戒心が高まります。

食べられれば、何でもいいや、と、通り沿いのイスラム料理屋さん。

  

「メニュー?」と言っても通じず。もう面倒くさくなって、日本語で「何でもいいから持ってきて」。少年は、きょとんとしながら、なにやら言うので、ぜんぶうなずいてオーダーしました。

さて、何が出てくるやら・・・

トルファンの空気は乾いてます。お茶がうまい。ほんとにうまい。

調理場を見てると、ものすごい炎を天井付近まであげながら、料理を作っています。

みんな、食べているのは麺だね。

さあ、出てきました。なかなか、おいしそうです。

 

見てると、みんなぶっかけて食べてるので、私もマネします。熱々の具が、冷えた麺でうまく中和します。

ニンジンかと思った赤い食材はトマトでした。いや、しかし、なんと、すごくおいしい!

2時間前の、とんでもない出来事で落ち込んだ気持ちが吹き晴れるほど、癒される料理でした。

いやあ、おいしかった! ところで、この料理は、なんていうのだろう??

少年に聞くと、メニューの左上を指差し「ラグメン」。これがウイグルの定番料理ラグメンでした。

少年とマスターにお礼を言って店を出ます。

 

おいしい料理で、心が満たされて、ホテルに戻りました。警官の皆さん、警備ご苦労様です(笑)

長かった1日が終わりました。無事であった本日に、日本から持ってきたワインで乾杯です。

今日は、ほんとにいろんなことあったけど、気持ちを切り替えましょう。明日は、楽しい旅程ですよ。チャーターしたクルマで、高昌古城やベゼクリク千仏洞、火焔山などを回るんです。

ワインもほどほどにして、就寝です。しかし、今日は疲れた・・

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