正直言って、現役サラリーマンのうちに、シベリア鉄道全線を乗り通せるなんて、思ってもみませんでした。
サラリーマンというのは、本当に、時間的視野が狭まるんです。
というか、時間的制約が多すぎるんですよね~。
もちろん、サラリーマンにも、手に入るいいこと、いっぱいあります。
しっかりと、思考力をもって、ビジネスにのぞめば、収入、人脈、スキル、固定給がもたらす心の安らぎなど・・・
でも、欧米の社会でもない限り、長期の休暇は難しい。
ここが改善されれば、疲れ切った日本社会も、劇的に改善すると思うんですが、いかがでしょうか。
ハナシがそれましたが、そんな日本の平均的サラリーマンが、シベリア鉄道を全線完乗。
空に舞い上がることなく、日本から1万キロ離れたモスクワまで行ってきましたので、参考にしてみてください。
ちなみに、この旅を敢行したのは2004年の9月。
役職的には、係長レベル。
部下よりも上司の数のほうがはるかに多い立ち位置で、会社に内緒で行って来たストーリーです(笑)
シベリア鉄道全線乗車 12日間の旅 全行程
今回の旅の全行程がこちらです。
時系列にリンクを貼ってありますので、読みたいところからどうぞ。
日付 |
午前 |
午後 |
---|---|---|
9/17(金) |
スケジュール作成など | |
9/18(土) |
船中 | |
9/19(日) |
ホテルに軟禁 | |
9/20(月) |
ウラジオストク街歩き | |
9/21(火) |
ハバロフスクを過ぎシベリアの奥地へ | 車中 |
9/22(水) |
タイガ&ステップ&シルカ川を眺めて | 車中 |
9/23(木) |
バイカル湖畔&食堂車のランチ | 車中 |
9/24(金) |
9月の雪!? クラスノヤルスク~ | 車中 |
9/25(土) |
荒涼とした平原 ~ ウラル山脈 | 車中 |
9/26(日) |
車中 | 終点モスクワ17:42到着 |
9/27(月) |
モスクワ19:55発 (飛行機) |
|
9/28(火) |
成田10:00着 |
12日間の旅は、私がサラリーマンになってから、初めてのこと。
一生懸命仕事をしていれば、こんなご褒美が空から降ってくるんだな、と感傷モノの旅でした。
シベリア鉄道全線乗車 旅の手配&旅費
日本初のロシア専門旅行会社として知られる「ユーラスツアーズ」に依頼しました。
ロシアの旅は、当時、すべての旅程を予約し、その料金を払い込むことでクーポン(バウチャー)が発行される仕組みだったので。
ビザの発行までやっていただき、本当にお世話になりました。
ちなみに、旅費は以下の通りです。
用途 |
利用区間など |
費用 |
---|---|---|
船 |
伏木 ⇒ ウラジオストク(カテゴリー2) |
23,600円 |
宿泊費 |
ウラジオストク:ビジットウラジオストクホテル |
8,000円 |
鉄道 |
ウラジオストク ⇒ モスクワ(2等) |
40,000円 |
宿泊費 |
モスクワ:ホテルロシア |
6,700円 |
飛行機 |
モスクワ ⇒ 成田(アエロフロート航空) |
115,000円 |
手配料 |
旅行の全手配&ビザ発行代行など |
17,100円 |
しめて、210,400円でした。
当時、サラリーマンとして、中堅以下だった私にとって、この出費は、とてつもなく痛い。
だからこそ、この旅は、一時も忘れることなく、私の記憶に刻まれ続けています。
大げさな言い方をすれば、私の、その後の人生を変えてしまうほど、大きな影響があった。
ビジネスにも力が入り、この旅以降の15年間で年収は倍増。
と考えると、21万円の投資。
投資額として、ものすごいパフォーマンスがあったと認識しています。
シベリア鉄道に乗る楽しみ
シベリア鉄道に全線乗車。
それも、7日間乗りっぱなし、と言うと、たいていの人に呆れられます!(^^)!
人の楽しみなんて、概してそんなもので、楽しいことを、他の人にわからせるのは、本当に難しい。
何が楽しいのか、私にも具体的に示すことが難しいんですが、できるだけ具体的に書いてみます。
大自然の中を移動している感覚
寝ても起きても、レールの音が聞こえてくる、そんな列車の窓から見える景色は、文字通りの大自然。
しかも、いろんなタイプの自然を満喫させてくれるんです。
大自然の中を、地に足をつけて、移動していく。飛行機では味わえない、列車ならではの旅ですね。
でもまあ7日間というのが長すぎるというのであれば、ハバロフスク~イルクーツクでもいいんじゃないでしょうか。
3日間、シベリアの様々な自然を鑑賞できますよ。
楽しい駅頭風景の観察
ロシア号は、ちょっとした駅では、20分、30分と停車します。
ホームのみならず、駅前などを歩く余裕もあるので、人々の生活風景を観察することができます。
7日間シベリア鉄道乗り通しても、まったく退屈しないのは、この停車駅の散歩があるからじゃないでしょうか。
それこそ、町から町へ旅している気分です。
それこそ深夜も。冷えてはいませんが、アルコールにも困りません。
楽しい同室者とのコミュニケーション
数日間も、密室の中で過ごすんです。
いくら、ロシア語がちゃらんぽらんな私でも、親近感がわき、語り合うようになります。
人見知りは強いほうの私ですが、不思議なもんですね。
この女性はハバロフスクから。男性のお二人はイルクーツク付近の小さな駅から乗ってきたのですが、モスクワまで一緒でした。
なので、女性とは6日間。男性とは3日間一緒だったことになります。
お酒を飲みながら、いろんなことを語り合いましたよ。
素晴らしい、日露親善になったと思います。
これは、兵隊の卵たちが闖入してきた初日の夜。そのときは、びっくりした・・・
ハプニングも、あとでみかえせば、楽しい思い出になるものです。
物価・気候など
そんなに買い物しなかったので、意識しませんでしたが、日本の物価の8割くらい、そんな感じでした。
しかし、当時のルーブルレートは、1ルーブル≒4.8円。
それが、2020年1月現在1.7円までルーブル安が進んでいます。
ロシア国民にとっては、生活が厳しいかもしれませんね。
9月のロシアは穴場? と思ったら
旅の前半、すなわち、ウラジオストクからイルクーツク付近までは、日中の気温は20度前後。
とても爽やかで、9月のロシアは穴場なんじゃないか、なんて思ってました。
ところが、イルクーツクを過ぎて、シベリア西部に入ったら、いきなり雪が降りはじめたのには驚き。
乗客も車掌さんも驚いていたから、珍しいことだったのかな。
ロシアの治安 警官のドキュメントチェック
ロシアの旅で、気をつけなくてはならないのが、ビザの滞在登録。
その町に着いて、72時間以内にホテルなどを通して登録しなくてはなりません。
そのチェックが、車内で1度、モスクワで2度ありましたが、そのとき、パスポート不携帯だったら、どんなことになっていたんだろう?
当時の情報だと、ほぼ間違いなく賄賂を請求されていたと思います。
外務省のHPにも、そんな事例がいくつも紹介されていましたから。
でも、ちゃんと滞在登録をして、その間、つまりパスポートを預けている間は、外出しなければいいこと。
ルールを守れば、警官だって、手出しはできません。
一般的な治安は、残念ながら感じとることはできませんでした。
なんせ、町を歩いたのが、ウラジオストクとモスクワだけ。
それも、日中の人通りが多い時間帯だけでしたから。
でも、道行く人たちの表情は明るく、平和な雰囲気でした。
まとめ
一世一代の休暇を得て、敢行した12日間のシベリア鉄道一人旅。
こんな旅が好きな方なら、ぜひとも実行されるべき!
12日間という時間を超越して、ほんとにかけがえのない記憶財産が手に入りました。
ブログをはじめたのも、この旅がきっかけです。
サラリーマンという、非常に制約の多い生活。
だからって、好きなことに手を出さずにいるのは、本当にもったいない。
小林一三さんの名言に、
という感動する言葉がありますが、私が少しアレンジしました。
サラリーマンや、OLの皆さん。
皆さんは、日々のビジネスで、様々なスキルを身につけているはずです。
そんなスキルをもってすれば、時間やお金をやりくりして、自分の夢を達成させることなんか造作もない。
そんなことを確信した、シベリア鉄道一人旅の思い出でした。