昨夜は兵隊野郎もいなかったので、静かな夜でした。
おかげで、ぐっすり眠れて、気持ちのいい朝です。
通路に出て、外を眺めます。
明らかに景色が変わりました。北緯54度付近の風景です。
平原ではなく、樹木が現れました。
ロシア号時刻表 3日目の行程
モスクワまでの距離 | 駅 | 到着 | 出発 | 時差 |
---|---|---|---|---|
7,493km | マグダガチ | 0:56 | 1:11 | +6 |
7,305km | スコヴォロヂノ | 4:11 | 4:13 | +6 |
7,146km | ウルシャ | 6:02 | 6:04 | +6 |
7,111km | エロフェイ・パブロヴィチ | 7:48 | 8:09 | +6 |
7,004km | アマザル | 10:05 | 10:25 | +6 |
6,908km | モゴチャ | 11:54 | 12:09 | +6 |
6,798km | クセニエフスカヤ | 14:03 | 14:04 | +6 |
6,668km | ジロヴォ | 16:12 | 16:14 | +6 |
6,585km | チェルヌイシェフスク・ザバイカルスキー | 17:37 | 18:02 | +6 |
6,524km | クエンガ | 19:03 | 19:04 | +6 |
6,488km | プリイスコヴァヤ | 19:41 | 19:42 | +6 |
6,443km | シルカ | 20:29 | 20:31 | +6 |
6,292km | カルイムスカヤ | 23:01 | 23:21 | +6 |
2日目に続いて、まめに止まりますね。
1~2時間くらいの間隔で、停車するようです。
タイガの中を走るロシア号
草原ではなく、マツなどの針葉樹林が林立した山肌を列車は走っています。
ステップからタイガに入ったようです。
列車が大きく湾曲するときは、長い列車の最後尾まで拝めます。
この樹木は、冬はクリスマスツリーのようになるのかな。
それが、今は太陽光で黄色く光る不思議な光景。
車両の端にある給湯器。みなさん、朝食の準備ですね。
私も朝食にしましょう。
朝食は、昨夕ベロゴルスク駅で買っておいたピロシキ。ジャガイモ入りの揚げパンです。
それと、日本から持ってきたコーヒーとポタージュスープ。
給湯器があるので、ほんとに便利。
列車は、乗り心地が良く、ほとんど揺れません。だから、コーヒーもスープもこぼれません。
黄色いタイガの間に現れる小川。
釣り人発見。なにが釣れるのかな。
同室者のエディが眠っているので、ずっと、通路に立って、外を眺めます。
カメラを持って、外ばかり見てる日本人ということで、幼い子たちにも有名になったかな(笑)
けっこう、子供が乗っています。しかし、退屈だろうな。
子供にとっては、早く着くけど席に縛られっぱなしの飛行機と、移動の道中自由に動き回れる鉄道で、どちらに軍配があがるのでしょう?
アマザル駅に停車
川のほとりの小さな街、というより集落が現れました。
10:05、アマザルという駅に到着です。
20分の停車なので、朝寝坊の乗客たちも、ほとんど降りてきて、体操をはじめます。
各車両一人ずつ配置されている女性車掌。
駅のすぐ近くを川が流れ、かすかに水流の音が聞こえます。
それほど静かな町。
北緯54度の大陸の町。おそらく冬は極寒の地でしょう。
みなさんどんな生活を送っているのかな。
子供連れは、コンパートメントの列車の旅のほうが、親にとってもいいのかも。
ダックスフントにも散歩させます。鉄道の旅は運動不足になりません。
シベリアの真ん中にポツンとたたずむ集落です。
アマザル駅を発車。すぐに、7,000キロの表示が通り過ぎました。
列車は、ふたたび黄色い針葉樹林の中を縫うように走り続けます。
また町が現れました。
川沿いの町モゴチャです。
暖かい9月のシベリア
列車はモゴチャ駅に到着。ここでも15分ほど停車。
乗客は、駅に着くたび、シベリアの空気を吸いに、ホームを歩きます。
上半身裸の男と、コートを着込んだ男が歩く不思議な光景。
この辺りは北緯も標高も高いので、世界でも有数の低温地帯。
マイナス60度を記録することもあるそうです。
今の20度以上の、さわやかな気候からは、信じられませんが。
ペット同伴の旅行者も多い。
駅に着くたび、ホームを散策し、買い物をする。
なかなか、飛行機などでは味わえない列車の旅です。
ほんとに、列車に乗って、のんびり旅するのって、最高ですね。
時は9月。暖かい陽気がふりそそぎ、風は無風。
しかし、冬は大丈夫なんでしょうか。
住まいがなんか粗末なつくりに見えます。
ぱっと見ると、雪で簡単に覆われてしまいそうな、モゴチャの町。
軍用車でしょうか。それとも物資の供給?
ロシア号は、定刻12:09にモゴチャ駅を発車。
列車は、低い分水界を越えます。黄金のような針葉樹林がどこまでも広がります。
それにしても、いい天気。
シベリアの9月って、実は旅のベストシーズンなのではないでしょうか。
通路側の窓を開けて、シベリアの風をいっぱいにうけます。
学生のころ、こうやって窓のあく列車に揺られながら、北海道の大地を楽しんだよな・・
ふと、そんな大昔の記憶がよみがえってきました。
シルカ川に沿って走る
列車は、川に沿いはじめました。地図によると、シルカ川のようです。
本日の行程は、これからはほぼシルカ川沿いの旅になります。
絵葉書にでもありそうな景色。
このシルカ川。冬は結氷するのでしょう。
シルカ川は、もっと下流においては、中国との国境をなす、両国にとって重要な川。
ずっと外を眺めていたら、話しかけてきたロシア女性。
なんか、吹雪でもきたら埋まってしまいそうな、砂漠のオアシスのような集落です。
17:37に到着したチェルヌイシェフスク・ザバイカルスキーという、とても長い名前の駅のホームで、6,587のキロポストを見つけました。
ウラジオストクから約3,000キロも大陸に入り込んだことになります。
シベリアの真っ只中にいるという実感がわいてきますね。
でも、まだ全行程の3分の1にしかなりません。
ここに住んでいる人たちが海を見たいと思ったら、大変なんだろうな。
ところで、どんな小さな駅でも、それなりに売店があります。
シベリアの奥地でも、物資には困っていないように、少なくとも私の目には、そう映ります。
でも、集落の小屋は、風が吹いたら吹き飛んでしまうような造り。
これで、極寒の冬を過ごせるんでしょうか。
木の根元が白いのはなぜ?
チェルヌイシェフスク・ザバイカルスキー駅の駅舎。
シベリアの大平原を走るロシア号
夕方、針葉樹林が一切消えて、見渡す限りの草原になりました。
また、ステップに入ったようです。
いつの間にか、機関車の色が変わってます。
たとえようのない絶景です!
通路側の窓を開けてこの絶景を眺め続けました。
まるで、緑色の絨毯の上を走っているかのようです。(^-^)
天気も良くて最高。窓から入ってくる風もさわやか、感極まるなり、です。
生きててよかった~ と、叫びたい(笑)
シベリア鉄道の建設は、軍事的意味合いもあって、突貫工事ですすめられたと聞きます。
工事に携わった人たちは主に流刑者だそうですが、彼らはこの景色をどんな気持ちで眺めながら、レールを敷いていたのでしょうか。
毛足の短い草原は、かぎりなく原色の緑に近い。
そこへ太陽光があたり、黄色く輝いたり、青に近い色になったりします。
こんなところにレールが敷かれて、列車が走っているのが非現実的に思えてきました。
で、たまに集落が現れる。
シベリア鉄道の東部はそれの繰り返し。
これが、大陸横断鉄道の旅。
エディとは、2日間いっしょに過ごしました。あっという間の2日間でした。
考えてみれば、外国の人と、2日間も同室だったって、人生で初めて。
彼は、明日の朝9:31に着くウランウデで降ります。お別れ会です。
酒盛りをしていると、列車は、ヤブロノイ山脈のふもとの駅、カルイムスカヤに到着。
時刻は23:01。
宴会を中断し、エディと一緒に、アルコールで火照った身体を冷やしにホームに降ります。
陽が落ちても、ちょっとした町のホームは物売りで賑やかです。
深夜なのに、寝付けない乗客が、次々とホームに降りて、ビールなど買っていきます。
日中、あれだけ温かかった空気も、深夜となれば、標高の高さも手伝って、心地よい冷たさ。
見上げれば、満天の星空。プラネタリウムにいるみたいだ・・・