旅の楽しさはいくつかあれど、その要素のひとつに「宿泊」があります。
これは、どんな宿でもいい。
自分がふだん寝泊まりしている部屋でない場所に住む。
これが、どれだけ人生の感性を豊かにしてくれるかはかり知れません。
「青春18きっぷ」で日本海側から大糸線で長野県・松本まで来た私は、松本駅からそう遠くない温泉「美ケ原温泉」の「旬彩 月の静香」という宿に投宿しました。
「美ケ原高原」は日本百名山にも選ばれる標高2000mの高原にありますが、「美ケ原温泉」は、松本駅からバスで30分かからない住宅街にあります。
バスの時間まで30分ほどあったので、早く宿に対面したく、タクシーを奮発しました。
「旬彩 月の静香」現代数寄屋作りの新館で旅装を解く
住宅街の中にある「美ケ原温泉」。「旬彩 月の静香」はその一角にあります。
これで2022年3度目となる高級旅館への宿泊。
さて、玄関から中に入りましょう。
私の予約したプランは、「12.5畳ヒノキ内風呂付 1泊2食秋のグルメプラン」。
26,500円です。そして、一人旅の贅沢「部屋食」です。
さすがに高級旅館で、立ったまま宿泊帳に書かせるようなことはしません。
バーもあるようです。これは夜が楽しみだ。
二十歳くらいの青年に案内されてエレベータへ。
なんと、私だけを乗せて、青年は階段で4階へ。そんなに気を使わなくていいのに。
私の部屋は「茜雲」でした。扉はふつうですね。
ところが中は・・・、こちらは玄関。
うわ、素敵な部屋です。
これが、現代数寄屋作りの新館「九曜亭」の「茜雲」です。
和室12.5畳+洋間4畳+温泉風呂付で、一人旅にはもったいない。
「月の静香」には別館とされる「本館」もあり、250年の歴史をもつ古民家を移築したそうです。
大きな梁のある天井が特徴で、そちらを予約しようとも思ったのですが、「本館」だとなぜか料理が「部屋食」にならない。
高級旅館は「部屋食」派の私は、そんな理由で「新館」にしました。
夕食は19時からとのこと。
さて、まだまだ部屋の中の探検。
これがすごい。ヒノキ造りの浴槽。
しかも、温泉をためられるそうです。
なにもかもそろってる洗面所。
お手洗いも清潔です。
冷蔵庫には、温泉水でつくった特製麦茶が冷えてました。温泉に行く前に、一杯いただきます。
天然温泉「美ケ原温泉・白糸の湯」 潤い保つ美肌の湯
さて、夕食の前に、温泉に身をゆだねましょう。
部屋の温泉にも入りますが、大浴場と露天風呂も味わってみたい。
何気に今日は歩いた。たぶんトータル10kmくらい。疲れてます(^^)
さて、どんなお風呂でしょうか。
立派な大浴場でした。
本日は満室と聞いていたのですが、誰もいません。一人で湯舟を独占。
露天風呂も素敵です。女性のほうにもあるみたいです。
宿のHPによると、日本書紀に登場するほど歴史のある温泉で、歴代の松本城主の保養地だったそうです。
こんな素敵な露天風呂を独り占めできるなんて、なんて運のいいヤツ。
今日は、「青海川駅」にはじまって「親不知駅」も「中土駅」も、すべて一人で独占だったな。
私のやってることって、そんなにマイナーなのかな・・
温泉で疲れた身体を癒しながら、本日の旅を回想します。
風呂上がりのスイーツ。
日帰り温泉としても活用できるようです。
さて、夕食の時間になります。部屋に戻りましょう。
信州吟醸豚メインのヘルシー部屋食
待ちに待った夕食。
本日は、糸魚川で食べた寿司しか口にしてません。お腹すいた。
地酒は、さきほどのバーで飲みたいので、かるく梅酒にしておきましょう。
運ばれてきた前菜。
食前酒は「山辺産ナイヤガラワイン」。水のように軽い白ワイン。
先付の焼き茄子。口にふくむととけるような舌ざわり。
先付の「信州大王岩魚」の南蛮漬け。
ほとんどの食材が信州産とのこと。
先付だけでもとても美味しく、幸せを感じます。
梅酒がきました。
人間働くばかりが能じゃない。たまの贅沢に乾杯(^^)
これが、メインの信州吟醸豚陶板焼き。
ふたを開けてみるとこんな感じ。野菜の色も美しい。
これが信州吟醸豚ですね。酒粕を食べて育った豚なので柔らかいそうです。
美しい仲居さんがお造りを運んできてくれます。
私の食べる速度を勘案して、ピッタリのタイミングで用意される、まさに至れり尽くせりです。
ちなみに、このサーモンも信州産。養殖だそうです。
湯葉の吸い物。
野菜がほんとに美味しいんです。高原野菜の本場の信州といったとこでしょうか。
さて、豚が焼けたようです。
味噌をつけて一口。ほんとにとろけるようで、歯がなくても食べられそう(^^)
手打ちそばが運ばれてきました。
信州手打ちそば。この細麺が自慢だそうです。
揚げ物です。ほんとに絶妙のタイミング運び入れてくれる仲居さんに感謝です。
ご飯が炊けました。
安曇野産のコシヒカリを使った釜めし。
抜群の炊き加減で、ご飯が進む進む。
見えるようによそれなかったんですが、椎茸と鶏もはいってます。最高の釜めしです。
酢のものも釜めしによく合いました。
小一時間にわたる本格懐石料理で満腹。
ほんとに美味しい信州産の食材でした。「月の静香」の料理長と運んでくれた仲居さんに感謝です。
そして、デザート。安曇野産の桃のプリンは絶品でした。
料理も素晴らしかったけど、部屋で食べるというところが、満足感を増幅させるんですよね。
ヒノキ風呂の温泉に入ってみる
では、身体の血糖値もあがったところで、今度は部屋の中にあるヒノキ風呂に浸かりましょう。
仲居さんが「本日は満室なので、早めにお湯を足したほうがよろしいですよ。」とアドバイスしてくれたので、料理の中ほどからお湯をためはじめました。
湯をはるのに、1時間から2時間はかかるようです。
その間に、青年が布団を敷いてくれます。まったく殿さまになった気分です。
でも、私は殿さまではない。掛け軸をアタマに眠れるだろうか(^^)
さて、そろそろたまったかな。
運の良いことに40分ほどでいっぱいに。
仲居さんの、「熱めにはったほうがいいですよ。あとでいくらでもぬるめられますから。」というアドバイスも役に立ちました。
適温にして、湯につかります。
気持ちいい・・ほんとに気持ちいい。風呂は日本の文化ですね。
外国を40回ほど旅して、風呂に入った経験はないなあ・・・
コロナで気づいた日本の旅。まさに灯台下暗しだった。
バーラウンジでおすすめ地酒を飲みくらべてみる
さて、湯上りにお酒をいただきましょう。
フロント近くのバーラウンジです。
まずは、「おすすめ地酒3種飲み比べ」を。
すべて信州で醸造されてる銘柄
これは150年の歴史をもつ「岩波」。
美寿々(みすず)に大信州。
大信州はフランスの外国酒部門コンクールで金賞をとったほどの逸品。
とてもフルーティーな香りでした。
明日はどこを歩こうか、地図を眺めながらの一献。幸せです(^^)
酒好きの私が、地酒3杯程度で終わるわけがないw
「おすすめワイン3種飲み比べ」も追加。
とてもいい色です。見てるだけで幸せになれる。
「善光寺竜眼」「コンコード」「シャルドネ」の3種。
「善光寺竜眼」なんて、とても有名な長野のブドウ品種「竜眼」からつくられた日本酒風の白ワインです。
私は、普段はボルドーの赤か、チリやアルゼンチンの赤を楽しみますが、白もいいもんです。
ほどよく酔って、部屋に戻りました。
数日前に、会社でとてもアタマにくる出来事があったのですが、それをすべて吹き飛ばしてくれる「月の静香」のおもてなし。
明日も旅は続きます。
自分の世界を持つって、大事なことなんだな。
そんなことを考えながら、天井を見つめ、眠りに落ちます。
美ケ原温泉 早朝の散歩
昨夜は疲れから早く寝落ち。
なので早く目を覚まします。現在6時。朝食は7時からです。
昨夜ためたお湯はまだ温かく、十分に入れます。
ヒノキの浴槽に身をあずけると、少しづつ目が覚めていく感覚が気持ちいい。
朝食まで、散歩でもしますか。今日も天気は良さそうです。
いきなり売地があった(笑)
このへんは坪いくらくらいなんだろう?
朝日に照らされる北アルプス連峰。
ここにも「文学の小径」が。尾道だけではないのか。
バスの時間も調べておきましょう。
朝食が7時なら、8:36のでいいかな。まずは松本城に行くつもりです。
高原から舞い降りてくる霧。
でも美ケ原温泉は、ほんとに住宅街にあるんです。
親切にしてくれた宿の青年や仲居さんもこの近くに住んでらっしゃるのかな。
コシヒカリの美味しい朝食
これは、中庭と本館に通じる通路。機会があったら、古民家を移築した本館にも泊まってみたい。
さて、朝食です。旅館に泊まると、なにもかもが楽しいw
朝食は「部屋食」ではありませんが、見事な装飾が施された大広間。
美味しそうな小鉢がたくさん並んでいます。
しかし、あの松の木に見つめられてる気がするのは気のせいでしょうか。
では、いただきましょう。
光ってるコシヒカリは、お替り自由です。
一杯目は卵かけごはんでサクッと。
どれもこれも美味しそうで、逆に食べてしまうのがもったいない。
朝食も地産地消なんですね。
信州みそを使ったサバの味噌煮。
ほねが抜いてあるので、皮ごと丸ごといけました。
どの小鉢も美味しくて、なにもいうことなし。
あっという間に完食。ご飯は3杯おかわり。
旅館に泊まって出された食事は、全部食べ切る主義です。
おっと、デザートが残ってたw
最後にジュースでもいただきますか。
満腹して部屋に戻り、チェックアウトまでしばし休憩。
26,500円なら、お釣りがくるほどのおもてなし度。
設備・接客・温泉・料理、すべて満点の「旬彩 月の静香」でした。
美ケ原温泉で泊まるならおススメです。
「旬彩 月の静香」の公式HPはこちらです。