【青春18きっぷの旅】大糸線途中下車 中土~南小谷を歩いてみた

大糸線はかつて「北線」と「南線」に分かれていたという経緯などもあって、南小谷駅で完全に運転系統が分断されている珍しい路線。

長野県松本から北上すると、南小谷を境に非電化区間となり、同時にJR東日本から西日本の領域になります。

考えてみれば、北陸本線の金沢~直江津が第三セクターとなったことで、JR西日本にとって、糸魚川~南小谷が宙に浮いてる。

北陸新幹線があるとはいえ管理路線の飛び地みたくなっているわけで、正直JR西日本にとってお荷物でしょう。

近年、廃止のうわさがたってきたのもうなずけます。

そんな大糸線とは、かつては新宿から夜行列車が運転されていたこともあって、私はけっこう付き合ってきました。

2022年9月10日土曜日。青春18きっぷの最終日。

「青海川駅」「親不知駅」「糸魚川駅」と途中下車してきましたが、今度は大糸線の客となり、「中土駅」で降りてみようと思います。

青春18きっぷで賑わっていた大糸線「糸魚川⇒南小谷」

乗るべき列車は13:23発の南小谷行き。

発車直前まで糸魚川の町を歩いていたら、すでにこんなに乗客が。

さすが青春18きっぷ最終日効果だと思いましたが、座るところがなくなりました(^^)

まあいいや。ずっと先頭の窓から外を眺めていよう。

定刻13:23に出発です。

駅ひとつひとつに止まってくれるローカル線の旅は楽しい。

こういうところにも駅があり、人々は生活を営んでいる。

その営みが大変なのか、楽しいのか、想像をめぐらせてみる。

その営みに、この鉄道はどう関わっているのか。

その使命をほぼ果たし終えているのに、寡黙に走り続けているから、鉄道の旅は哀愁が漂うように思う。

山あいに敷かれたレールに忠実に走るワンマンカー。

スノーシェードも多い。冬に来たこともありますが、すごい豪雪だった。

鉄橋も渡ります。

沿っている川は「姫川」。糸魚川の町で見かけた「奴奈川姫」に由来するみたいです。

ヒスイがとれるというけど、簡単に拾えるのかな。

姫川の流れは、電力に換えているようです。

このダムでつくられる電力は50ヘルツ?60ヘルツ?

かつて、大糸線が「北線」と「南線」に分かれていた頃の「北線」の終着駅。

ここから先の工事が、あまりにも難工事だったからと聞きます。

一級河川の水質現況において、なんどもランキング一位に輝いている姫川。

上り勾配が急になってきました。

速度は30キロも出てない区間もあります。

平岩駅。

そして「中土駅」に到着です。

「大糸南線」時代の終着駅「中土駅」で途中下車してみる

中土駅を出発していくワンマンカー。

満員の車内から降りたのは私だけ。

運転手兼車掌さんも、降車客がいるとは思ってなかったようで、私が差し出した「青春18きっぷ」に首をかしげていたのがほほえましい。

なにしろ、糸魚川からここまで、地元の客はほぼゼロ。乗降はほとんどありませんでした。

さて、なんだって私はこんな駅に降りたんだろうね(^^)

途中下車に意味を求めてはいけない。

どうでもよい駅に降りてみるからこそ、旅の発見があったりする。

私が「中土駅」で降りたのは2つの理由。

ひとつには、次の南小谷まで姫川沿いに歩ける距離だったから。

もうひとつは、この「中土駅」は、「大糸南線」時代の終着駅だったから。

この「中土駅」が終着駅だったのは1935年からの22年間。

22年間も終着駅だったなら、なにか面影があるかなと期待しての途中下車です。

うん、面影があるといえばあるし、ないといえばない(^^)

駅舎も古いな。

開業当時から変わってないのかもしれない。すると、築60年以上?

ガランとした待合室。

北アルプスが近いため、それなりに観光地はあるようです。

しかし、みんな南小谷を拠点にするでしょう。

21時台まで列車がある。人乗ってるのかな。

信じられないかもしれませんが、かつてはこの大糸線には登山客やキャンパーのために夜行列車が多数乗り入れてました。

鉄道の時代は終わってしまったのか。

JR西日本が廃止を検討しているのもうなずける話。

駅前には、どんと構える観光タクシー。

旅館も兼ねてるのかな。すごくいい雰囲気で、終着駅の駅前という感じがしてきました。

北陸新幹線もそうだとおもうけど、交通機関は延伸すると、光と影が生まれるんですね。

22年間終着駅だった「中土駅」の駅前でした。

「中土駅」から「南小谷駅」まで歩いてみる

現在14:20。

この後の予定は、南小谷を15:16に出る「リゾートビューふるさと」号に乗って松本に出ます。

中土と南小谷の距離は約4km。

時間も1時間弱あるわけで、十分歩いていけるという判断でした。

せっかく優美な「姫川」に沿って旅しているのだから、車窓から眺めるだけではもったいない。

でも、この「姫川」。雪解けの時期などは、姫どころか、とてつもないヒスを起こすらしい。

雪崩や崖崩れから守るスノーシェードの中を歩きます。

姫川の川面を眺められたのは、最初の10分くらいでした。

あとはひたすら南小谷駅に向かって歩きます。

少々急がないと乗り遅れるレベルになってしまいました。

さっき私が乗ったワンマンカーが南小谷で折り返していく姿。

たった1両でかわいいけど、これではバスにはかなわないだろうなと思う。

大急ぎで歩いたので大汗をかきます。

そして南小谷駅に到着。

発車5分前でした。

「リゾートビューふるさと」で「南小谷」から「松本」へ

臨時運転の「リゾートビューふるさと」号。

たまたま運転日が重なったので、松本までお世話になります。

車両は素敵だけど快速列車。530円の指定席券を買えば、「青春18きっぷ」でも乗れます。

冷房の効いた車内は快適そのもの。

席と席の間隔も広い。さすがリゾート列車です。

あまりの快適さに居眠り。夜行バスを降りたのが早朝5時過ぎだったからね(^^) 

目を覚ますと、列車は湖のほとりに。

はて、青木湖か木崎湖か、寝ぼけた目で考えます。

結局、どっちかわからなかったけど槍ヶ岳連邦から降り注ぐ太陽光線が美しい。

光の芸術です。

館山黒部アルペンルートの拠点地、信濃大町駅を発車。

西日と並走し続ける「リゾートビューふるさと」。

そして松本駅に到着。

私はここで降りますが、列車は向きを変えて長野まで行くようです。

さて、松本まで来れば、「あずさ」に乗って簡単に東京に帰れます。

しかし、今日は土曜日で明日も休み。

松本といえば松本城。

私はまだ見たこともないし、松本の町を歩くのもはじめて。

手近なところに「美ケ原温泉」というのもあるみたいで、温泉旅館で週末のプチ贅沢を楽しむ予定。

旅は楽しい(^^)

今回の「青春18きっぷ」週末旅の全行程はこちらです。