それにしても、新疆ウイグル自治区、最後に訪れた町ホータン(和田)。
こんな、とんでもない町だとは思いませんでした。
2017年11月発行の「地球の歩き方」には、一切触れられていないので、ここ1、2年で、ホータンという町をめぐる環境が大きく変わったのだと言わざるえません。
旧市街を取り壊して、「カシュガル老城」のホータン版を造るんだ、などといった単純な動機ならばどうでもいいんですが、あの執拗なまでの撮影に対する警戒。
ホータン発で、アジアの覇権を握ることを本気で考えている、といっても過言ではないくらい、すごいものを、この目に見せてくれました。
※ちなみに、2019年7月2日のNew York Timesなどでは、新疆ウイグル自治区に入る旅行者のスマホに、強制的に監視用のアプリをインストールしはじめた、と報道されています。
脱出! 新疆ウイグル自治区
昨夜はどこも行かずに、お酒を飲みながら、ipadで読書。日が沈む前に寝ました。
そして朝7時。夜が明ける前に目が覚めます。
部屋の窓のカーテンを開けると、真下の北京西路を4WDのパトカーが赤灯を光らせながら、ゆっくりとしたスピードで巡回に当たっています。
本日は移動日。
飛行機でウルムチに飛び、乗り継いで、一気に上海まで出てしまいます。
いわば、新疆ウイグル自治区からの脱出、です。
ホータン発のフライトは12:10。
当初は、今日の午前中もギリギリまで観光しようと考えていましたが、とても観光できる町ではないので、もう空港に行ってしまいます。
それにしても、ホータンという町から去るときに、こんな気分になっているなんて夢にも思わなかったな。
フロントでチェックアウト手続き。
100元のデポジットを返してもらい、タクシーを呼んでもらいます。すると、9時になれば運転手が来るので、空港までお送りしますとのこと。
ただいま8時半。それでは、お言葉に甘えてとロビーのソファに腰掛けます。
目の前には、怠惰な感じの男女の警官一組。
新疆ウイグルは、ここホータンに限らず、すべての建物の入り口に警官が派遣され、出入りする人間と持ち物をチェックしています。
しかし、この男女の警官のだらしないこと。
ずっとうたた寝してて、別の客が入ってきても気づかず。
それどころか、私の手の伸びる範囲に自動小銃。
私が奪って発砲したら、何が起きただろうか(笑)
ホータンは、確かにベールに包まれた秘密都市。
でも警官たちは、1枚岩ではなく、戦って勝てるのは無力な一般市民だけと、確信しました。
私が所在なげにしていると、フロント嬢がやって来て、スマホを見せて「食事いかがですか?」。一般市民は親切です。
たいしたメニューではありませんでしたが、昨夜はパンしか食べてないので、美味しくいただきます。
そして9時に運転手が現れました。この運転手も好青年。私の荷物を車に運んでくれます。
ホータンの空港は、町からそんなに離れていません。
しかし、空港へ通じる道ですよ。途中に、2、3ヶ所の検問は覚悟していましたが、なんと1つもなく空港に到着です。
もちろん、空港前のゲートは、今にも戦争がはじまらんばかりの数の軍服姿の兵士。
その兵士たちの前で、運転手は、丁寧に荷物を降ろし、保安検査前まで運んでくれました。
本日の移動スケジュール
日付 | 航空会社等 | 便名 | スケジュール | 移動距離 | 料金 |
---|---|---|---|---|---|
5/5 (日) |
ウルムチ エア |
UQ2502 |
ホータン12:10 ⇒ ウルムチ蘭州14:00 |
982km ※直線距離 |
9,540円 |
〃 |
中国東方 航空 |
MU5634 |
ウルムチ19:00 ⇒ 上海虹橋 23:25 |
3,272km ※直線距離 |
13,500円 |
今日は、完全に移動日。総距離4000キロ以上を飛んで、上海まで行ってしまいます。
事実上、昨日でシルクロードの旅は、終わってしまっていたんですね。
空港の中に入るのも一苦労。探知機だけでなく、荷物を一つ一つ検査します。
ワイヤーロックが見慣れないらしく、これはなんだ?とウイグル女性の警官。使い方を説明してあげます。
そして、チェックイン。この間、とても、まわりを撮影できる雰囲気ではありません。
ようやくボーディングエリアへ。
ここまで1時間以上かかりました。まあ、空港の警備は厳しくやってもらったほうがいいけど。
ウルムチ行きです。ウルムチは新疆ウイグル自治区の首府。
シルクロードの主要な要衝でもあり、訪れたい町でもありましたが、今回は涙をのんで割愛。乗り継ぎで空港に降り立つのみです。
しかし、新疆ウイグル自治区、次に来れる日はあるんだろうか・・ 数年後には、一切の外国人が立ち入り禁止だったりして。
ウルムチエアの機体。LCCです。
ボーディングブリッジ。
機内は、ほどほどの賑わいです。労働節は昨日で終わり、中国の今日は平日です。
ウルムチエアで、新疆ウイグル自治区にお別れ
感慨を持って和田空港の文字を眺めます。
フライト開始。
緑が多い、砂漠の中のオアシスですね。ホータンは。旧市街らしき跡も見えます。
これから向かうウルムチも新疆ウイグル自治区だけど、実質的には、これがウイグルの最後。
7日間付き合った、新疆ウイグル自治区とも、とうとうお別れ。
最後はバタバタしたけど、心に残る、ほんとに楽しい旅でした。
あのような路地に入ることもできたのだろうか。だとすると、少し心残り。
タクラマカン砂漠の上空に出ると、完全に雲に覆われました。
おや、なにか食事でも配られるのかな、と思いきや、飲み物のオーダー取りです。LCCですから。
せっかくなので、コーラを1本。値段は忘れてしまった。
機は、天山山脈上空を飛んでいます。
列車からも見えた天山山脈の万年雪。これが、トルファンやカシュガルの町を潤すんですね。
それにしても、下から見上げたり、上から見下ろしたり、シルクロード立体紀行でした。
10連休も、明日で終わりです。