先日まで金融危機でデモが発生していたレバノン。
それに加えて、今度は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、多くの国民が食料を購入できない状態に陥りかねないらしい。
出典:2020年5月21日ロイターより
同国首相によると、食品の輸入価格は年明けから2倍以上に上昇。
各国の食料安全保障政策に警鐘を鳴らし、新型コロナを理由に食料輸出を制限すべきではないと呼びかけているとのこと。
私が訪れたのは、約半年前の2019年10月。
そのときは、大量に振舞われるレバノン料理に、大いにとまどったものだった。
レバノン料理というのは、とにかく前菜が大量に盛られる。
しかし、全部食べないといけないというわけではないらしい。
金融危機に端を発するデモは行われていたが、庶民の生活は安定していたようには見えた。
たしかに、シリアとの国境付近のパレスチナ難民キャンプなどでは、貧困な光景も目にしたが、少なくともベイルート、およびその近郊では、レバノン国民の表情に困窮は見られなかった。
わずか半年で、そんなにも変わってしまうものなのだろうか。
ここでは、わずか3日足らずであったが、私がレバノンで体験した食事事情について紹介したい。
レバノン料理とは
レバノン料理とは、基本的にアラブ料理である。
ホブスという薄いパンが主食で、豆などのペースト類をすくって食べるスタイル。
このペーストが、なかなか美味しいのである。
ところで、トルコ料理もそうであるが、アラブ料理は作り置きが多いため、小皿料理が多く出される。
そして、酸味をとるのも特徴で、レモンが絞られるほか、ヨーグルトも提供される。
このあたりは「肥沃な三日月地帯」として、農作物が豊かに育ち、長い日照時間は、良質なワインをももたらす。
これだけ皿を並べられると、日本流の「お通し」、あるいは「前菜」ということにもなるのかもしれないが、これが主食である。
そして、酒をつけて、日本円で2000円しない。
このレバノン料理は、本当に私の口に合った。
パン生地と、肉と野菜と酸味がとてもよく引き合い、これだけ大量に提供されても、パクパクと食べきってしまう。
さすがに、フルーツまで出されると限界。
しかし、これで1人前なのである。
レバノン料理の旅行記はこちらをご覧ください。
庶民派料理ファラフェルもまた美味しい
レバノン料理は、ひょっとすると、庶民の料理ではないのかもしれない。
私がレバノン料理を食べたのは中級のレストラン。
しかし、ベイルートには、いわゆるファーストフード的なお店もいくらでもある。
これは、代表的な庶民派料理ファラフェル。
これならば、200~300円で食べられる。
中東のケバブのようなものだ。
私はケバブが大好物で、これだけ食べても、今まで旅先で飽きことがない(滞在日数が短いせいもあるが)。
滞在日数わずか3日あまりの弾丸旅行であったが、レバノンの旅は、食がしめていたといっても過言ではない。
ベイルートのハムラ地区では、スシも食べた。
そして、街中の雑貨屋では、いくらでもレバノン銘柄の「クサラワイン」が手に入る。
ハイネケンのような国際銘柄も。
とにかく、とても食料に恵まれた国だ、という印象であった。
しかしながら、そんなレバノンを金融危機が襲い、さらにはコロナの渦にも巻き込まれてしまった。
それが、こんなにも食糧危機につながってしまうのには、ただただ驚きであるが、短い滞在日数を、温かくもてなしてくれたレバノン。
危機からの脱出を願ってやまない。
早く平時を取り戻して欲しいと、切に願う。
レバノン旅行記はこちらからどうぞ。