レンタカーを返して、慌ただしく、西ノ島・別府行きの内航船の時刻を調べようとすると、アナウンスが。
「西郷行きのフェリーくにがは、海上シケのため10分ほど遅れてますが、まもなく入港いたします。」
「おき」の1等室をキャンセルし「くにが」へ
今いる場所は「来居港」。時刻は11:30。
私は、これから西ノ島・別府港に戻り、別府15:45発の「おき」で本土の七類港に戻るつもりでいました。
もちろん予約も済ませてある。
でも、これから西ノ島に戻ったって、観光するあてはないし、たぶんコンコースで時間をつぶすか、港の周りを散歩して終わりである。
そして、低気圧が迫ってきていて、いつ船が欠航するかわからない状況。
そこへ「くにが」が来るという。
いっそのこと、「くにが」に乗ってしまおうかと考えた。
「くにが」は、これから別府や菱浦という島前の島に寄ってから、島後の西郷を目指すという、本土へ帰りたい私にとっては逆行するルート。
しかし、時刻表を見てもわかるように、「くにが」は西郷に到着した後、本土の七類に戻るのだ。
別府から七類まで2時間10分で航海する「おき」に対し、「くにが」は西郷で1時間強停留することもあって6時間もかかることになる。
乗り物に乗っているのが好きな自分にとって、所要時間のことはどうでもいいが、そもそも、そんな乗り方ができるのだろうか。
私は窓口に顔を出し、
「本土に帰るつもりで別府から七類まで「おき」の1等室を予約している者だが、それをキャンセルして「くにが」の来居 ⇒ 七類に変更できるだろうか?」
と、質問してみた。
ちょうど「くにが」が入港する時刻で、営業所のスタッフはほとんど埠頭のほうに出払っている。
応対してくれたのは、なんとフランス人のように見えた外人女性だった。
彼女は、しきりに、
「別府に行かれるなら、内航船のほうが300円で行けて安いですよ。」
と繰り返す。
彼女の日本語は立派そのものだったが、私の意図がうまく伝わらない。
そこで、地図を持ち出し、こういう風に乗ってみたいのだ、と表現すると怪訝そうに首をかしげながらようやく理解を得たが、島民でもわざわざそんな「迂回コース」となるような乗り方をする人はいないのだろう。
切符を売ってくれたあと、彼女はとても親切で、
「船は遅れているのですぐに出航します。こちらです。」
と私のキャリーを転がしてくれました。
しかしでも、まさか知夫里島で外国人観光客ならまだしも、外国人のスタッフに出会うとは思わなかったな。
「来居 ⇒ 別府 ⇒ 菱浦 ⇒ 西郷」と本土から逆行する「迂回ルート」
重く垂れこめる雲。
「くにが」の2等室。3連休の最終日に本土から隠岐へ向かう船の乗客は、地元民でしょう。
そして、売ってくれた切符。「迂回ルート」でも料金は同じ。得した気分。
観光客がほぼいないので、デッキもこの通り。
知夫里島が離れていきます。
そして、昨夜泊まった西ノ島へ向かいます。
西ノ島・別府港に到着。しかし、鬼太郎のお父さんの絵は、夜見ると不気味そう(^^)
今朝、乗り込んだ内航船のターミナル。わずか4時間前のことだけど、懐かしい。
フェリー「くにが」の名前は、この島の西にある「国賀海岸」からきています。
別府港で乗客が下船し、船内はだいぶすきました。
西ノ島にもさようなら。
内航船「フェリーどうぜん」とすれ違いました。
中ノ島・菱浦港に到着。
菱浦港でも乗客は降り、どんどん少なくなっていきます。
枕でおカネとるの? と思ったら、毛布でした。
西郷港で1時間の停泊 フェリー「くにが」船内の様子
「くにが」は、一般の旅客にとっての目的地、西郷に到着。
到着シーンは、デッキへの出入りが禁じられて確認できず。
実際、低気圧の接近で、船は大きく揺れはじめています。
ところで、乗船客は、西郷ですべて降りてしまいました。
数人くらい、私と同じような「迂回ルート」をたどる旅客いるかな・・と思ってたら、皆無でした。
フェリーを丸ごと借り切ったみたいで気持ちいい。
「くにが」は、ここ西郷で1時間10分の停泊です。
することもないので、船内を見学してみましょう。
船に乗ってから、一等船室への変更を申し出てみたのですが、あえなく満席。
ここからは、3連休最終日の観光客の需要となるので、致し方ない。
なんと、シャワールームがありました。
あまりにガランとしすぎて、なんか怖い。推理小説の主人公になった気分。
おや、これは西郷から大勢乗ってきそうですね。そういえば高速船も欠航しているわけだし。
西郷港の様子が見えます。
あの揺れで、碁や将棋が打てるのかな。マグネット式じゃないと無理だよね。
フロントに出向いてみると、私のキャリーだけがポツンと。
売店が開いてたので、遅いランチにしましょう。
さて、そろそろ出航かな。とにかく無事に本土に戻れそうなので安心しました。
帰途の予定再確認
乗船の案内がはじまると、一気に乗客がなだれ込んできて、あっという間にスペースが埋まります。
船長の放送によると、完全に満席だそうです。
高速船欠航の乗客も乗ってるわけだから、当然といえば当然。
ただいま15時。
いちおう、これからの予定を確認すると、
- 西郷15:10 ⇒(くにが) 七類17:35
- 七類18:00 ⇒ (バス)米子鬼太郎空港18:26
- 米子20:45 ⇒ (ANA)羽田22:15
というふうに帰京するつもりなんですが、最後のくせものが空港行きのバス。
18時発の1便しかないので、この船の満員の乗客をさばききれるのか?
しかも、七類に向かっているのは、この「くにが」だけではないんです。
- 「くにが」西郷15:10 ⇒ 七類17:35
- 「おき」 西郷12:05 ⇒ 菱浦15:15 ⇒ 別府15:45 ⇒ 七類17:55
と、2便あり、「おき」のほうが西郷を早く出るものの、2か所に途中寄港するため、本土の七類に到着するのは「くにが」のほうが20分早くなります。
私は、この時刻表をみたとき、ほっと安堵しました。
少なくとも、「おき」より早く到着する「くにが」のほうが、バスに乗りあぶれる確率は低くなります。
私は最初は「おき」を予約してました。
でも、これから低気圧が迫ってくるので「くにが」に変更しました。
結果論ですが、とてもラッキー。私は旅の神に守られてると思います(^^)
大シケで揺れる船で「横浜vs阪神」のCSを観戦
しかし、船というのは、こんなにも揺れる乗り物なんだろうか。
来るときも揺れましたが、それを上回る揺れ。
まったく立ってられないので、どこかにつかまらないと歩けません。
デッキなんかに出るなんてとんでもない。
乗客は、みんな死んだふりして眠ってますw
少なくとも私の乗船経験で、こんなに揺れるのは初めてかな。
それでも船長は、「シケで揺れるのでご注意ください」とは言っても、「遅れます」とは言ってない。
すると、来るときは30分遅れたから、往路のほうが波は高かったのかな。
することもないので、寝っころがってスマホでもみてると、ときおり歓声が。
クライマックスシリーズの「横浜 vs 阪神」のゲーム中なのでした。
今シーズン、わがカープはふがいなかったなあ・・と思いながらプレイを眺めていると、阪神の選手の好プレイで拍手が大きい。
関西に近いせいか、横浜より阪神ファンのほうが多いようでした(^^)
手に汗握るけっこうな好ゲームだったので、私もじっくり見てしまった。
最終回の阪神・湯浅投手のピッチングは圧巻でした。
阪神は開幕9連敗という散々なスタートだったのに、下剋上でCSファイナルステージにコマを進めるとは、ほんとに見事なものです。
波をかぶって潮がこびりついた窓。
幻想的な日没とともに、「くにが」も本土へ到着です。
トータル6時間の「迂回ルート」の航海でした。
七類港から米子鬼太郎空港へのアクセスには要注意
定刻17:35に「くにが」は七類港に到着。この旅で、5回もお世話になった船に敬礼。
隠岐4島2泊3日の旅が終焉をむかえました。
ところが、感慨にふけっている場合ではありません。
一刻も早くバスターミナルに行かねば・・・
おお・・案の定、大行列。果たして乗り切れるか・・
左側のバスは松江駅行き。そっちは大丈夫そうです。
こちらが、1便しかない貴重なバス。なんとか大丈夫かな。
バスが何本もあれば、ひとっ風呂浴びてから帰れそうですね。
なんとか乗り込めた、よかった、よかった(^^)
しかし、この20分後に「おき」が到着。
乗客が殺到してきましたが、全員は乗れません。私の目算では50人以上積み残し・・・
このアクセスはどうなんでしょうか。
高速船が欠航し、フェリー2便に乗客が集中したという事情もあるんでしょうけど、需要を予測して空港行きバス便を手配するなんて芸当はできないのかな。
松江行きのバスは2便あるんです。
七類と松江は同じ島根県。米子は鳥取県。なんて事情もあるんでしょうか。
いずれにしろ、隠岐から船で七類に帰ってきて、その足で米子鬼太郎空港へ向かう旅人は要注意です。
ターミナルには、タクシーすらも1台もいませんでしたから。
いや、いたとしても、あの積み残しの乗客全員はさばききれないでしょう。
運転手さんも気の毒。
乗せてほしいと懇願する人に謝り続けてましたが、バスは50人以上の難民を残して無情にも出発です。
ほんとに、あの残された人たち、どうなったんだろ・・