5ヶ月前の2024年6月。
ふらっと京都を歩きたくなって、週末旅に出かけた。
といっても、思い立って旅立ったのではなく、旅館はいつもの「京のお宿三福」さんを半年も前から予約。
「三福」さんは、何度かお世話になったことがあるけど、先斗町における老舗の日本旅館。
朝ごはんにだしていただく「おばんざい」が絶品で、週末はなかなか予約が取れない人気が嬉しい。
それに、オーバーツーリズムと言われる京都がどんな具合か、自分の目で見たくもある。
というわけで、金曜日の午後、会社から半休をもらって、新幹線に飛び乗りました。
今回の週末旅の動画での様子はこちらです。
梅雨晴れの京都。
今回の旅の目的は、「三福」さんに泊まることくらいだけど、ちょっと早いので、祇園を散歩して、ある神社にお参りしようと思う。
そのある神社とは、縁切りパワー日本一とも言われる「安井金比羅宮」。
誰だって、縁を切りたい人間の一人や二人はいるはず。
私もいる。
だから、ここは、毎年訪れている。
縁切りの碑を、願いを込めてくぐったあと、とどめの縁切りお守りを買って力を込めて総仕上げ。
こういうのは、オカルトでもなんでもない。
要するに、ご利益というのは、自分の気持ちの整理とけじめなんだと思う。
さて、1年半ぶりの先斗町。
人は増えているといっても、そんなに気になるほどじゃない。
「三福」さんもいつも通り。
愛想のいい女将さんとお婆さんが笑顔で出迎え。
そして、純和風の和室に香る畳のかおり。
海外かぶれの私でも、日本の旅の良さはしっとりとした情緒だ、そう思う。
ただ、女将さんが残念そうに話したのが、縁側からの風景。
両隣が川床を築いたので、眺めが悪くなってしまったと嘆く。
まあ、これは仕方ないのかな。
ところで、女将さん曰く、宿泊客も外国人が増え、先斗町に並ぶ料理屋さんも、京料理だけでなく、どの店も外国人観光客にウケのよい肉料理を揃えだしたらしい。
だからというわけじゃないけど、私も今夜は肉料理にした。
肉料理といっても鴨そば。
「三福」さんは片泊まりなので、夜はどこかですませなくてはならない。
柔らかいけど歯応えもある、美味しい食感の鴨そばだった。
いただいたお店はこちら。
夜になると、さすがに繁華街の先斗町。
内外の観光客でひしめくし、客引きの声も響き渡る。
一番驚いたのが、先斗町のとなり、木屋町通にあるファミリーマート。
私が酒を買いに入ると、なんと、来店客も従業員スタッフも、全員外国人だった。
外国人が多いからって、別に悪いことではないだろう。
日本流のおもてなしで喜んでもらい、リピーターになってもらえばいい。
人口が確実に減り続ける日本社会。
観光客であれ、移民であれ、海外との付き合い方を考えないと、ほんとに経済はしりつぼみになる。
畳と布団の感触を楽しみ、一夜明けた先斗町。
早朝なので、昨夜の喧騒がウソのようにはき清められている。
天気もいいし、6月なのに暑くもない。
朝食の「おばんざい」の前に、清水寺までジョギングしてくることにした。
こんな素敵な小路を走れるなんて、京都の人がうらやましい。
二年坂で撮影会に興じるのも、すべて外国人観光客。
清水寺の音羽山を背に嘆声をあげるのも外国人。
でも、早朝を選べば、オーバーツーリズムなんて関係ない。
この角度の八坂の塔は久しぶりに観た気がする。
オーバーツーリズムをかわして歩く京都旅。
そんな感じの週末旅になった。
ジョギングしてきたので、お腹を空かして出迎える「おばんざい」。
実際、こんな料理、家では絶対出てこないし、地元で外食しようにも難しい。
和食がユネスコの無形文化遺産に登録されているのも、うなずける。
世の中が、時代とともに姿かたちを変えようとも、日本旅館の朝食はかわらないもののひとつだと思う。
「三福」さんにお世話になりはじめたのは、まだコロナ禍の3年前。
でも、それから、まったく味もメニューもかわらない。
「三福」さんで週末旅を楽しむうち、京都旅の魅力は、長く行動するのではなく、週末という短い時間を使って、つかのまの日常脱却にあるのではないかと思えてきた。
帰りは、午前中のうちに、錦市場を少し歩いて京都駅へ。
お土産は、宇治抹茶のバームクーヘン。
江戸から24時間の京都往復劇。
参勤交代の武士が聞いたら驚く週末旅になった。