出発時刻が近づいて、列車に乗り込みました。
通路側の窓が一部開くのはありがたい。
写真を綺麗に撮れます。
コンパートメントの設備 再確認
さて、部屋に落ち着いて、設備を確認します。
設備といっても、トイレとシャワーのほかは、空調コントロールがあるだけです。
それでも、シャワーがあるのは、ほんとにありがたい。
今日は、早朝からずっと歩きっぱなしだったし、明日の昼、ナルヴィクに着いたら、そのままトロムソへ移動ですから。
部屋にたたずんでいると、女性車掌がチケットを確認しにきました。
日本からはるばる印刷してきたeチケットを見せると、QRコードを読み取って、おしまい。あっけないです。
ほかの乗客は、わざわざプリントアウトせずに、スマホ画面を見せてましたね。
その女性車掌さんに、ドアロックの方法を聞くと、このプラスチック板を抜けばロックされると教わりました。なるほど。
ストックホルム ~ ナルヴィク ~ トロムソの移動スケジュール
日付 | 移動手段 | スケジュール | 移動距離 |
---|---|---|---|
8/4(日) |
列車 |
ストックホルム16:12 ⇒ ナルヴィク12:54 |
1,541km |
8/5(月) | バス |
ナルヴィク ? ⇒ トロムソ ? |
232km |
今回の旅は、北欧3カ国の周遊ですが、そのメインイベントは、
- 北極圏の白夜を体験すること。
- ヨーロッパ最北の地をドライブすること。
以上2点です。
そのために、列車に乗って北極圏のナルヴィクを目指しているわけですが、この列車の終点ナルヴィクも、実は通過点で、そのままバスに乗り継いで、その日のうちに北極圏最大の町トロムソまで行ってしまうスケジュールにしています。
そして、このナルヴィク ~ トロムソが、今回の旅で、唯一不透明なスケジュール区間。
直線距離では、おそらく150kmほどの両町間の距離ですが、そこはノルウェイ・フィヨルド。
入りくんだ海岸線のため、山道を232kmの道のりとなる上に、どんなに検索しても、バスの時刻表が出てきませんでした。
でもWEBの様々な情報を集約すると、ナルヴィク ~ トロムソは、1日に3、4本は本数がありそうだし、列車の到着に合わせて出発しているなんて情報もあったので、大丈夫だろうと、そのまま日本を出てきました(笑)
当日の宿泊地はトロムソ。翌朝早く飛行機でアルタという町に飛ぶため、ナルヴィクでバスをうまくつかまえられないと、おそらくパニックになります(^_^)
そんなことを考えていると、いつの間にか列車が出発していました。
ナルヴィク行き寝台列車 ストックホルムを出発
さて、列車が北極圏に向けて出発しました。しばらくは、ストックホルムの街中を走ります。
コンパートメントの窓越しに撮影するとこの通り。
通路側の窓が開くのがせめてもの救いですが、通路側って、進行方向に向かって左側。
明日、ノルウェイに入って、フィヨルドが車窓から見えるとしたら右側。どうやったら、フィヨルドの写真を綺麗に撮れるか、悩みます。
しばらく、通路に立って、窓を開けて外を眺めます。子供みたいだな(笑)
街並みが消えました。郊外に出たかな。
けっこうスピード出してます。たぶん、かるく時速100kmは超えてます。
たまに、町が現れて停車。
まだ夕方18時前ですが、食堂車をのぞいておこうと思い、念のため、荷物を縛り付けます。
私の乗っている車両は最後尾。なので、前方に歩いていきます。
すると、シャワー設備のない2人用コンパートメント車両がありました。
こちらは、6人用コンパートメント。
上下3段ベッドになるんですね。
意外だったのは、けっこう空いてること。8月上旬だし、もうシーズンのピークは過ぎてるのかな。
こちらは座席車両。どこまで行くのかわからないけど、ナルヴィクまでは20時間以上かかるからつらいだろうな。
そして、食堂車。うわ、満席です。
ていうか、食堂車というよりビュッフェ。サンドイッチやピザ、飲み物を仕入れてテーブルで食べてるだけです。
ふーん、ヨーロッパの食堂車って、こうなんだ・・
でも、せっかく来たんです。ビールにサンドイッチを購入。126クローナ(1,380円)。高いのは承知のうえです。
見てると、他の乗客も色々買って、自分の席に戻っていきますね。
全部が全部そうじゃないんだろうけど、ヨーロッパの列車も、合理化とやらで、食堂車のような手間のかかる施設は淘汰されちゃってるのかな。
自分のコンパートメントに戻って、少し早い夕食です。
フカフカのサンドイッチでした。ビールに良く合いました。
車窓から眺めるスウェーデンの大地
さて、寝るにはまだ早いし、日も高いので、通路に立って外を眺めます。
たまに、こんな町が現れるんですよね。
簡単にホームに入れる開放的な仕組み。
北欧らしい家並み。
広い庭。冬は一面の雪景色になるのかな。
街を出るとこんな感じ。
3ヶ月前には、中国で体験した列車の旅。
おなじ列車の旅でも、趣がまったく違います。
漢字一文字で示せば、あちらは「乾」、こちらは「水」。あるいは、あちらは「暑」、こちらは「涼」。実感として、そんな感じです。
また駅に停まります。思いのほか、停車駅が多い。
こういうところで、長々と停車する場合も。
白夜の中を走る列車
少しづつ、日が翳ってきました。
北に向かっているわけですから、昨夜より日没は遅くなるはずです。暗くなるのは何時ごろでしょう? 現在、夜の21時です。
これで夜の21時といわれても困っちゃうよね(笑)
動物たちもそうなのかな。
ときおり、湖も現れます。窓から入ってくる風が冷たくなってきました。
でも、通路には誰もいないので、文句を言う人もいません。車掌さんも、まったく巡回してきません。
私は、ひたすら北の大地を眺め続けています。
どういうわけか、この駅に停車したあと、進行方向が逆向きになりました。
私の車両が先頭車両になりました。
夜22時近くになって、まさに沈もうとしている北の太陽。
22時になって、フディスクバルという駅に停車。地図で見ると、ストックホルムから300キロほど北に行った町です。
こういう駅からも乗ってくる乗客がいます。
地平線に沈む北の太陽を見たいと思っていたんですが、キリがないので、この駅を出発したのを潮にコンパートメントに入りました。
明るいとはいっても、夜の22時過ぎなんです。よく寝ておかないと、明日の眺望に差し支えます(笑)
ところで、白夜とは、24時間太陽が沈まない状況を指すので、厳密にいえば、8月上旬のスウェーデンは白夜ではありません。
でも、夜の22時過ぎまで明るくて、一瞬太陽が沈んだ後、2時過ぎに明るくなれば白夜みたいなもの。
この白夜という自然現象を、小説のストーリーに喩えているのが、東野圭吾著作「白夜行」です。
蛇足な話ですが、私は東野圭吾さんの大ファンで、著作のすべてを読破していますが、その中でも「白夜行」はひときわイメージが強い。
よくぞ、このストーリーに「白夜行」というタイトルをつけたものだなあ、と感心してしまうし、こういう種のストーリーを描ける作家を、私はほかに知りません。
このぶ厚い単行本。実は、もう何度も読んだのですが、最後に読んだのが数年前だなと思って、今回の旅に携えてきました。
白夜を行く列車の中で読む「白夜行」です(笑)