スースから、早朝の列車でチュニスに着き、「ホテル・ロイヤル・ヴィクトリア」にチェックイン。
どこか、夜行バスで新しい街に着いたばかりみたいな、軽い気だるさがありますが、下着の洗濯を終えたら、さっそく出かけます。
なにしろ、チュニス滞在は、今日を含めて、あと1日半しかないんですから。
まず、行くべき場所は、「バルドー博物館」です。
チュニジアのルーブルと呼ばれる、紀元前からのチュニジアの歴史物が展示されたチュニジア隋一の考古学博物館。
特に、ローマ帝国時代のモザイクコレクションは世界最大規模。
実は、このチュニジアきっての観光名所「バルドー博物館」が、武装したテロ組織に襲撃されました。
事件は、2015年3月18日の正午ごろ発生。
武装組織は、いきなり観光客に向かって自動小銃を乱射し、日本人3人を含む観光客22人が、お亡くなりになっています。
これがきっかけで、日本の外務省は、チュニジアを、渡航危険度レベルを2に引き上げ「不要不急の旅行をしてはいけない国」としました。
メトロ・リパブリック駅へ
5年前、そんな不幸な出来事のあった、バルドー博物館。
チュニジア治安当局の努力もあって、現在は、概ね治安は回復し、本邦外務省も危険度レベルを1に引き下げています。
さて、そのバルドー博物館に向かうべく、ホテルを出て、メトロのリパブリック駅に向かいます。
バルドー博物館は、チュニス旧市街の北西約5kmの場所にあります。
歩いていくわけではありませんが、歩いていったら、下の地図の通り約1時間かかります。
なので、メトロで行くわけです。
バルドー博物館は、ホテルの最寄り駅「リパブリック」からメトロ4号線で、6つ目の駅「ル・バルドー」で降りればすぐです。
地図アプリmapsmeにしたがって、メトロに向かって、テクテク歩きます。
どんな街でも、知らない街を歩くのは、ほんとに楽しい。
目の前をシャーッという音とともに走り去るメトロ。
ここにも、駅のような施設がありましたが、どうも駅ではないみたいです。
やっぱり、リパブリック駅まで歩かないと。
リパブリック駅に近づいたみたいです。
このメトロの踏み切りは、車道ではなく、鉄道のほうを止めるみたい。
しかも、係員による手動です。
メトロ4号線でリパブリック ⇒ ル・バルドー
リパブリック駅にたどり着きました。ホテルからここまで15分ほど。現在、午前10時です。
「バルドー」、と言ってチケットを購入。
こういうものを、人間の手を介して売っていたら、すごい手間になるような気がするんですが。
しかも、1ディナール(≒38円)しないで乗れる。
ホームに入るために、荷物検査がありました。
4号線を待つ乗客。3号線は立て続けに2本来たのに、なかなか4号線が現れません。
ようやく来た4号線。
車内は超満員。チュニジアで体験する乗車率200%!(^^)!
しかも、途中駅で降りるどころか、ゾクゾクと乗ってくる。
スリ警戒モード1000%発令!
チケットも安いし、メトロは庶民の乗り物なんですね。
しまいには、車内の奥に押し込まれ、降りられなくなるんじゃないかと心配しましたが、ル・バルドー駅では、降りる人もそれなりに多く、人の流れとともに、ホームにはき出されます。
駅を出て、通りをはさんで目の前にある「バルドー博物館」。
しかし、こちら側は閉鎖中。
建物に向かって、左側から回ります。テロ警戒で、入り口を1箇所にしているのかもしれません。
それにしても、あの日産のバンは、汚れ方が可哀想。
モザイク画の宝庫 バルドー博物館
警備された入り口を通って、バルドー博物館に到着。
再度、荷物検査をして中へ。
チケットを購入。13ディナール(≒494円)でした。
さらに、むかって右側の小部屋に、背中の荷物を預けます。やっぱり、警備が厳重ですね。
それに、観光客もいっぱいいます。
何かと思えば、銃乱射事件の犠牲者の方々の名前でした。国籍も右側に。
さて、順路がわかならいので、とりあえず、このトンネルの中に。
床にも描かれているモザイク画。
所々、このような小部屋が設けられています。
人だかりがしています。
おお、これは、博物館の秘宝の一つである「ケリビアの洗礼水盤」かな、と思ったけど、模様がない。
とにかく、大量の展示物に驚かされます。
「地球の歩き方」には、あまり詳しくこの博物館のことが出てないので、予備知識に欠けますが、それでも、美しいモザイク画一つ一つにストーリーがあるため、面白い。
モザイク画だけではありません。石棺などもあります。
これで、自分が今いる場所を理解します。でも、順路ぐらいあったって、いいよな・・
これ、右側の召使いが渡そうとしているのは、鏡だそうです。
不謹慎にも、討ち取った首、かと思いました(笑)
海で漁をしているシーン。
これも狩りの絵かな。
このあたりはエルサレムの間。
キリスト関係のモザイク画が多いです。
ケリビアの初期キリスト教徒の洗礼盤
これが、さっき勘違いした、ケリビアの初期キリスト教徒の洗礼盤です。
博物館の中でも、有名な展示品のひとつ。
このへんは、古代カルタゴ時代の遺跡です。紀元前の世界ですね。
大きくて、圧倒するようなモザイク画も。
ここは、カルタゴの間らしい。
宮殿の間。
ドゥガ遺跡から発掘されたモザイク画だそうです。
ドゥガ遺跡は、チュニス郊外にある遺跡。行ってみたかったですが、今回は時間がなく不可。
美しい天井。
とにかく、とてつもない数の展示品。
もうすでに、入場後1時間を経過。これ、マニアックな人だと、3時間ぐらいはいられる規模です。
2階にも上がってみました。
2階から、カルタゴの間を見下ろします。
回りには、ガラスケースに入れられた、遺跡がズラリ。
動物が争っています。
水族館と見まがうような海のモザイクの間。
こちらは、カルタゴの間ではなく、「カルタゴの廟の間」。王様のお墓ですね。
ヴェルギリウスの肖像
「地球の歩き方」には、一番最初に載っているのに、見学が一番最後になりました(笑)
普段からmapsmeで、GPSをあてにして歩いているから、こういうことになります。
こちらは、ローマ詩人ヴェルギリウスが、叙事詩「アエネーイス」を執筆する像。
博物館の展示物の中でも有名なものの一つで、世界最古のヴェルギリウスの肖像画だそうです。
それなら、もう少し、わかりやすい場所に設置してほしいな!(^^)!
入り口に出ました。
すなわち、チケット買ったら、すぐさま階段を上がればよかったんだね。
けっこう、駆け足で見学しましたが、それでも2時間近くかかりました。
モザイク画の歴史的知識がなくとも、当時を描いた、人々の生活や動物とのかかわりにはストーリーがあり、眺めているだけで、大変面白い博物館です。
チュニス観光の一番人気といわれるのもうなずけました。