「建仁寺」の境内は広く、かつてはその塔頭が50以上を数えました。
明治時代における仏教排斥運動において、ことごとく壊されてしまいましたが、「正伝永源院」とともに、現在も残る14の塔頭の一つ。
それが「両足院」です。
通常は非公開ですが、2020年の11月30日、「建仁寺」を訪れた際に特別公開の看板を見かけ、思いがけずも拝観することができました。
「建仁寺」塔頭「両足院」とは
「両足院」は、臨済宗建仁寺派の寺院。
「建仁寺」が臨済宗の開祖栄西によって1202年に創建され、栄西が亡くなった後、その墓所を栄西の弟子たちが守塔した寺院が「知足院」。これが「両足院」の前身です。
「両足院」は「饅頭始祖の寺」としても有名で、中国の僧が来日した際に、このお寺に饅頭の文化を初めて伝えたことから、饅頭伝来の場としても知られています。
通常は非公開ですが、座禅体験などを予約制で開催しています。
見どころは、京都府の名勝庭園にも指定されていて、6月になると半夏生の白い葉が茂る「池泉回遊式庭園」です。
この特別公開に居合わせたのは偶然です。
黒田長政の尊像
境内に入ってすぐ、目につくのがこの社。
入場料を払って小冊子をいただくまでわかりませんでしたが、なんと黒田長政の尊像であるとのこと。
黒田長政といえば、言わずと知れた軍師・黒田官兵衛の長男であり、尊像は代々黒田家で信仰されていましたが、維新の変革のおり、「両足院」に寄進されたとのことです。
ちなみに、「両足院」には、毘沙門天像が祀られています。
そして、この毘沙門天に庇護されていたのが黒田官兵衛。
官兵衛の長男である黒田長政もまた、関が原の戦いで徳川家康の群棲に参加しました。
その出陣の際、毘沙門天像を内兜に収めて奮戦したと言われています。
「方丈」の回廊を歩く
入り口を入るとすぐに「方丈」。
そして、小さな、しかしとても手の込んだ庭が目に入りました。
あとで調べると、これは閼伽井庭(あかいにわ)と呼ばれる井戸を備えた庭園で、その井戸では仏様にお供えをする水を汲んでいるそうです。
しかし、回廊のコーナーも、上手く作ってますよね。
特別拝観の寺院なんです。
どこまでが「方丈」で、どこから「大書院」なのかわかりませんが、書院を一つ一つ、ゆっくり見て回ります。
こうして、書院の回廊を歩くだけでも禅を感じます。
おそらく、音を立てないように、静かに、しゃなりしゃなりと歩くからでしょうか。
畳のサイズが違うような気がしますね。
「両足院」の見どころの一つ書院前庭ですね。では、庭におりてみましょう。
京都府の名勝庭園「書院前庭」
紅葉を観賞しにきたのですが、庭に広がる苔が美しい。
庭の全景を見下ろせる小高い丘に登ることができます。
一部、紅葉が残されてるようです。
そもそも、この「池泉回遊式庭園」は、6月になると半夏生の白い葉が茂るのが見どころ。
紅葉の時期ではなく、初夏に訪れると、また違った風景が見れそうです。
半夏生が白く咲いた夏は、どんな感じになるのでしょうか。
でも、紅葉の「池泉回遊式庭園」も悪くない。
これは茶室。左側が「水月亭」、右側が「臨池亭」と呼ばれています。
紅葉と「臨池亭」の組み合わせ。
「両足院」は、そもそも禅寺であり、「両足院」のHPから座禅体験の予約もできます。
ただいま、感染症で狂わされている日本です。
禅の道を体験してみるのも、よい人生経験かもしれません。