京都一人旅3日目の朝です。
前の2日間は、早朝からの活動。それこそ、夜明けとともに行動を開始したのですが、本日はのんびりと洛中から祇園、高台寺あたりを歩こうと考えています。
京都のお寺の開館時刻は10時。早くても9時。
なので、本日はゆっくり起床。ついでに、GOTOトラベルでいただいた金券で、ホテル自慢の朝食をいただいちゃいました。
泊まっている「ドーミーインプレミアム京都」の朝食はバイキング形式ですが、1600円と値が張ります。
でも、GOTOトラベルの1000円のクーポンが使えたので、600円でコシヒカリの温かいご飯をいただけました。
京都駅前から祇園四条へ
さて、京都駅前のホテルから京阪電車に乗って「祇園四条」へ向かいます。
まずは「七条」駅へ。
朝日を浴びた鴨川がまぶしい。
「七条」から「祇園四条」までは160円。
祇園四条から「正伝永源院」へ
「祇園四条」駅に到着です。今日は一応平日月曜日なので、普段どおりの京都の人通り。
今年からはじめた京都歩き。累計9日目になりますが、祇園付近については「八坂神社」と「ねねの道」を少し歩いたくらい。
このあたりの名刹といえば「建仁寺」ということになるのでしょうが、この「建仁時」の塔頭に「正伝永源院」というのがあり、ちょうど年二回の一般公開中ということのようなので、寄ってみることにしました。
細い路地に入って「正伝永源院」を目指しますが、突然「井戸」に出くわしてびっくりです。
今でも使われているのでしょうか。
「正伝永源院」の文字を見つけます。
ちょうど、この石垣の右側が「建仁寺」。そして左側が「正伝永源院」です。
「正伝永源院」の入り口に到着しました。
春と秋に一般公開される「正伝永源院」とは
「正伝永源院」は、年二回、春(3月下旬~5月上旬)と秋(11月中旬~12月上旬)だけ、一般に公開される、「建仁寺」の塔頭寺院です。
建仁寺には、かつては50以上の塔頭寺院がありましたが、明治時代の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)により、ことごとく壊され、残った14の寺院のうちの一つが「正伝永源院」です。
そして、そもそもは「正伝院」と「永源庵」という2つの異なるお寺でした。
しかしながら、前述の仏教排斥運動の混乱の中で「正伝永源院」という一つのお寺となり、今に至っています。
ちなみに「正伝院」は、鎌倉時代に建立された茶人である織田有楽斎(おだうらくさい)ゆかりのお寺。
織田有楽斎の本名は、織田長益(おだながます)。織田信長の実の弟という、すごい「ゆかり」です。
一方の「永源庵」は、南北朝時代に建立された寺院で、鎌倉時代より続く日本の名家である「細川家」の菩提寺でした。
内閣総理大臣もつとめられた細川護熙氏も、この細川家の家系になります。
いきなり登場する代々のお墓
では、そんな複雑な歴史が宿る「正伝永源院」をたずねてみましょう。
小さな門をくぐると、いきなり墓地が広がります。
そして目に入るのが、織田有楽斎のお墓。
織田信長の弟さんのお墓ですか・・・すごいな。
織田信長の従孫にあたる「織田長好」。この方も茶人だったそうです。
反対側にあるのが、細川家歴代のお墓。
細川護煕第79代総理大臣は、当時私自身も若く、不覚にもその手腕は記憶にありませんが、髪の毛も黒くずいぶん若い総理大臣だなと、感じた覚えがあります。
武士の福島正則氏もゆかりがあるんですね。
細川護煕氏の襖絵「秋氣」「聴雪」
では、本堂である方丈へ入りましょう。
ここで、社の方に案内されます。
「これらは、元内閣総理大臣の細川護煕氏自筆の襖絵です。秋と冬の京都を表現しています、どうぞ、お写真を撮っても構いません。」
なるほど、こちらは秋深い嵐山の描写でしょうか。
そして、こちらは京都の冬景色。
それにしても、総理大臣にもなるような方というのは、一芸も二芸も持ち合わせているものなんですね。
少なくとも、凡人にはこの絵は描けないし、総理大臣にもなれない。
方丈の縁側から眺める庭園
朝の光線が差し込む座敷。
見事な方丈の間と庭園の組み合わせ。それを独り占めです。
こんなお寺が、京都の繁華街から一歩入った場所にあります。
庭園では、春はつつじを楽しむことができるらしい。
縁側から眺める「正伝如庵」
あの奥に見える建物は茶室だそうです。後で行ってみましょう。
日陰の廊下は冷たい。
こちらが、国宝の茶室「如庵」を復元した建物。
数奇屋建築第一人者中村昌生氏の監修により完成させたものです。
元の建物は、愛知県の有楽苑に移築されています。
復元ではありますが、これが江戸時代の茶室。
織田有楽斎は、本能寺の変のあと豊臣秀吉の臣下となりますが、関が原の戦いを経て、大阪夏の陣を前にこちらに隠棲しました。
以後、茶道に没する生活を送ったようですが、現代社会に勝るとも劣らぬ波乱万丈の人生であったことが想像されます。
一年に数週間しか公開されない「正伝永源院」。
祇園のど真ん中にあるとは思えない、とても落ち着ける空間でした。