何かがフェードアウトしていく感覚。
歩道からは人波が消え、ストリートを走るタクシーもトラムも消え失せた。
そして、視界に入るのは横なぐりの風と、たたきつけるような雨。
鈍感な私は、それでも何が起きたのかに気づかない・・・笑える(^ ^)
これは、2023年10月8日(日)。
午後12時40分をもって、香港に台風警報「シグナル8」が発令された瞬間でした。
香港の暴風雨警報(シグナル警報)「シグナル8」とは?
ホテルの部屋に戻ってから、ツイッター(X)などへの投稿によって知った「シグナル8」。
簡単におさらいしてみます。
- 北緯22度亜熱帯に位置する香港は、台風の来襲頻度がそれなりに高い。
- 香港では、台風の強さを「シグナル1・3・8・9・10」の5段階で示し、それぞれのレベルで市民に対する警報の呼びかけがある。
- そして「シグナル8」発令が危険領域。会社、学校、お店、公共交通機関などがほぼストップ。
- ちなみに、「シグナル9」に上がると、エアポートエクスプレスの運行も停止となることが多く、つまり、香港から出られなくなる。
シグナル8の前に6とか7がないのも謎だが、おバカな私は、ホテルの部屋に戻り、ネットで検索して、上記の事実を知ったところ。
そして、真剣に「シグナル8」というものが旅人に与える影響を調査。
くどいようですが、公共交通機関はトラム、バスが全面的に運行停止。(MTRは一部運行)
タクシーも店じまい、外出も基本的には自粛らしい。
ということは、15時ごろにふらふらっとホテル付近まで戻ってきた私は、かなりついていた。
自分のおかれた、実は幸運な状況をかみしめ、さらに調査。
すると・・・
学校、会社のみならず、レストランなど飲食店のサービスも止まるので、「シグナル8」が予告されると、香港市民は食糧確保に走るとのこと。
今宵のために確保しておいたワインボトルなんか、のんびり眺めてる場合じゃない。
その情報を知って、ホテル内にレストランがあるにもかかわらず、台風襲来の街に飛び出す貧乏性の私。
外はすでに、傘などまるで役に立たないほどの暴風雨。
さすがシグナル8・・・
ホテルの徒歩圏内にセブンイレブンがあったので、一安心。
街の店はほぼ閉まってるけど、シグナル8でも、生活に必要な食料品店は営業するみたいだ。
2食分の食料を抱えて、ホテルのロビーに駆け込むと、途方に暮れる人たち。
ひょっとして、これから出発の予定だったのかな。
何も動いてないんだから、手の打ちようがないよね。
しかし、このとき、まだエアポートエクスプレスは間引きで動いていて、香港国際空港への足が全くと絶えていたわけではなかったみたいだけど。
本日の予定が、まるでなくなった私は、買い込んできた食料を窓際に並べて、ほっと一息。
これで、まあ、死ぬことはない^ ^
安心したところで、もう少し状況の調査と、明日のことを考えることにする。
今回猛威を振るっている台風14号のコイヌ。
現在16時。香港の南東約100kmあたりにいて、停滞しているとのこと。
昨日渡ったマカオへ延びるマカオ大橋も14時30分に閉鎖。
フェリーも当然欠航である。
マカオに閉じ込められた可能性もあったんだな・・・
そんな状況にもかかわらず、部屋のTVはひたすらイスラエルのガザ侵攻のニュースを報道中。
香港市民にとっては、天気予報はアプリで確認するのが一般的で、わざわざTVで報道するものでもないらしい。
ホテルでTVを見るなんて、何年ぶりだろう・・・
英語だし、字幕もあるから、なんとなく解説していることがわかる。
それにしても、香港政府は、徹底してる。
英国統治時代に定められたみたいだけど、シグナル8の発令で会社も学校も休みになるシステム。
極めて合理的でかつ、人命を守る当然な考え方。
台風、あるいは大雪が降るのが予想できているにもかかわらず、具体的な指示を出さず、挙げ句の果てに帰宅難民になる国もある。
そんな国って、世界中、他にあるんだろうか^ ^
まさかの「シグナル9」に格上げ 10月として48年ぶり
完全に、ホテルに閉じ込められた香港での週末。
やることもなく、イスラエルの侵攻のニュースを見たり、Kindleで本を読んだり。
今回の週末旅。
まさかの展開になってるけど、この緊急事態を楽しんでいる自分もいたりする。
基本的に、旅人は好奇心旺盛&いたずら好きだからね(^ ^)
ところが、定期的にチェックしていた台風情報が、思わぬ展開に・・・
なんとコイヌちゃんが、「シグナル9」に育ってしまった。
夜19時のこと。さあ、困った・・・
こうなると、さすがに戦慄が走る。
明日の飛行機、ちゃんと飛ぶんだろうか???
急いで、香港エクスプレスのHPを確認すると、現在のところ欠航便は出ていないみたいだけど、他社ではフライトを見合わせる便も多数発生。
そして、なによりエアポートエクスプレスが停止し、空港が大パニックになっている。
こりゃ、どうなる?
休み明け、いきなり早朝会議があるんだけど!?
さっき、帰宅難民になる可能性を恐れず強引に出勤する国民性を笑った罰かw
ホテルの部屋の窓に、轟音を立てて打ちつける雨粒に嘲笑われている気がする^ ^
ところで、「シグナル9」は警報として最大警戒の「10」の一つ手前。
そして、これが年間2度も発令されるのは1999年以来24年ぶりらしい。
さらに、10月の「シグナル9」発令は48年ぶりとのこと。
つまり、私は今、極めて稀有な状態の香港にいるということ。
完全に、まな板のコイ状態で、逆に開き直れる。
「香港が48年ぶりの悪天候に見舞われたので、会社を休みます!」
なんだか、堂々と言えるような気がするw
微妙な眺めだった「イビスホテルの27階ハーバービュー」
ところで、今回の旅で2泊した「イビス香港セントラル アンド シェンワン (宜必思香港中上環)」。
通称「イビスホテル」。
上環から西環にかけての好立地に立っている32階建て高層ホテル。
私は、その27階オーシャンビューをリザーブしました。
フロントは5Fだったので、少々迷うw
そして、ハーバービューなので、1泊22,000円もした部屋。
それを2泊だから、宿泊費だけで44,000円!
それだけ払ったんだから、むしろ閉じ込められて良かったのかも(^ ^)
いずれにしろ、2023年の旅において、私が投じた宿泊費としては最高額となります。
これだけのオカネを払ってるんだから、設備も行き届いてるし、ベッドも清潔。
まあ、自分の部屋にしたくなるような空間ではあります。
しかし、、微妙に邪魔なんだよな、あのビルが。
地図によると、中国のキャッシュレス決済「ウイーチャットペイ」が入ってるビル。
あれがいなければ、ビクトリア湾を独り占めなんだけど。
そんなに広くはないけど、トイレも清潔だし、
シャワーも快適なお湯が出ました。
夜景はこんな感じになります。
これをみて、2023年はせっかくのひとり旅再開の年だし、ビクトリア湾の夜景をほんとに堪能できるホテルに泊まろうか、なんて想像が浮かびました。
何事も、中途半端は良くない。
ちなみに、シティビューだと、眺めはこんな感じ。
これはこれで、眺めていて楽しかったりする。
ブレックファストは別料金。
150HKD(2,850円)ほど払って体験。
いちおう、メニューは一通り用意されてはいますが・・・
2,850円では、微妙、というより高すぎ^ ^
まあ、香港に限らず、世界中、どの国も物価という物価が上がっていくことになるんでしょう。
オカネの心配してたら味がしなくなる。
おいしくいただきましょう。
ちなみに、これは「シグナル8」発令前の前日の朝の光景。
人気のあるホテルということで、中国本土からと思われる観光客が多数いました。
窓ガラスの外は、冷房室外機むきだしの、香港らしいといえばらしい風景です。
「シグナル8」に引き下げ 追加料金払って前倒し出国を決意!
大荒れに荒れた香港での一夜が明けました。
昨夜は、眼下を警察車両も走る不穏な雰囲気。
「シグナル9」なんだから当然か。
そして、風雨は弱まる兆しなし。
ところが、運のいいことに、警報は「シグナル8」に引き下がってました。
そして、この「シグナル8」の状態が、午前11時まで続く模様。
なんという動きの遅いコイヌ。
天気予報でも「子犬移動緩慢」と出てるし。
あらためて、ハーバービューに目をこらしても、九龍半島は影も見えず。
でも、どうなんだろうか。
予報通りに、午前11時に「シグナル8」が解除されれば、エアポートエクスプレスをはじめ、交通機関は普通に稼働し、香港国際空港の混乱もおさまってるだろう。
であるならば、確保している深夜便を切り捨て、前倒しで香港を出国した方がよいのかも。
コイヌが、また逆戻りしたり、躁病の発作を再発しないとも限らないし・・・
コーヒーを飲みながら、なんとなく、そんなことを決意。
変更不可のLCCチケットだから、余分な出費になってしまうけど、これは仕方ない。
考えがまとまると、ちょっと部屋を掃除する気になりました^ ^
昨日の15時から18時間連続で引きこもり、部屋がだらしなく乱れた図。
その間ずっと、天気予報見たり、ニュース見たり、YouTube見たり、音楽聴いたり・・・
こんなに時間を贅沢に使ったのは、2023年において初めて・・・
こんな旅もまた、よい思い出になります。
あと3時間ほどで、台風14号コイヌちゃんも、シグナル3に引き下げ予定だね・・・
朝の時点で「シグナル8」なので、香港社会は、本日開店休業みたいです。
香港市民の喜ぶ顔が眼に浮かぶな、
と思いながら窓の下を見ると、走っていくバスを発見。
グランドフロアに降りてみると、風雨の強さは相変わらずだけど、昨日よりは生活の香りを感じる雰囲気。
フロントの兄さんに聞いてみると、「シグナル8」は予定通りに午前11時には解除され、エアポートエクスプレスも動き出すとの情報。
追加料金を払って帰国する、決心の後押しになりました。
あれだけの風雨にも耐える、竹の足場にも脱帽。
ところで、めったに体験できない「シグナル9」警報レベルの台風。
このコイヌの猛威に、香港政府は 29か所の避難シェルターを開放。
転倒などした負傷者は29名を数え、飛行機は90便が欠航となりました。
緊急事態には政府の強権が必要。
株式市場までも閉鎖される警報レベル。
とてもよく機能していると感じました。香港いいね(^ ^)