スリランカという国

LCCエアアジアを使って、スリランカに弾丸旅行に行くことにしました。

いつも通り、弾丸旅行ができる旅先が最初で、行き先は後付け。

なのでスリランカには、非常に申し訳なく、渡航前に一生懸命勉強しました。

スリランカに傷跡を残す内戦の歴史

にわか勉強でわかったことが、つい最近まで戦闘が繰り広げられていた内戦の中味。

スリランカの歴史は古く、紀元前5世紀にはシンハラ人が王国をつくり、その後仏教も伝わり、シンハラ人は仏教を信仰するようになります。

一方で、スリランカには南インドからタミル人も移住し、タミル人はヒンズー教を信仰。

以上は、セイロン島におけるBC5世紀からBC2世紀ごろの出来事。

以後、スリランカでは両民族が、数の上で多いシンハラ人がタミル人を支配する構図となりながらも、うまく共存してきたようです。

 

事態が急展開するのは、第二次大戦後。

イギリスが撤退することで、スリランカは独立を果たしたわけですが、一人一票の民主主義で選挙を行なった結果、多数派のシンハラ人による政権が登場します。

時を遡って、イギリス植民地時代。

紅茶生産の労働力確保のため、イギリスはインドから大勢のタミル人を連行し、シンハラ人を支配させていました。イギリスに抵抗し続けるシンハラ人より、従順なタミル人の方をイギリスは好んだようですね。

それが、シンハラ人政権登場により逆回転に・・・

イギリスが来る前は、支配層であったシンハラ人が、イギリスの支配により、あろうことかタミル人に抑圧されていた。イギリスが去りシンハラ人が政権をとると、植民地時代の鬱憤を晴らすかのごとく復讐的なタミル人弾圧政治が始まりました。

その弾圧は、露骨にタミル人を排除するもので、選挙権の剥奪にはじまり、当然公務員にはなれず、最後は民族浄化運動にまで行き着きました。

 

ここから先は、無知な私、ただただ驚きの連続です・・

 

タミル人の中に、過激派思想に染まる若者たちが、各地で武装集団を構成。

ついに、1975年、武装組織LTTE(タミル・イーラム・解放のトラ)が創設され、各地で、テロ攻撃によるシンハラ人への復讐を開始。

エスカレートするLTTEは、シンハラ人政府軍の兵士をも多数殺害。対抗するシンハラ人側も、穏健派タミル人への迫害を強めていく。

(なんか、どっかで聞いたような話だなぁ・・ イギリスが関わった国って、なんか可哀そう・・)

LTTEはその後、独立宣言を行うも、シンハラ人側の戦闘も止むことなく、おまけにインドが仲介に入りながらLTTEの敵に回り、その復讐として、元インド首相を殺害。

LTTEは、子供を誘拐するなどして洗脳し、戦力を高め、シンハラ人大統領を暗殺するなど、戦闘の手を緩めず。そのうち、この内戦が国際的に問題になりはじめ、アメリカがLTTEをテロリストに指定。
(アメリカも、中途半端に出てくんなよ、って感じ・・)

その後、ノルウエー政府が、必死に仲介に乗り出すも、停戦しては一方が破棄するというイタチごっこで、一向にトンネルの出口が見えず・・

(私は、このころ(1999年)、モルディヴに行ったことがありますが、その時、トランジットした空港がコロンボ。空港周囲の赤茶けた景色を、内戦と重ね合わせて見た気持ちを今でも覚えています。)

2000年代に入り、両民族の無差別的なテロ攻撃がますますエスカレート。

そして、2009年5月。シンハラ人政府は、LTTEに対する掃討攻撃を開始。民間人何十万人を盾にして立てこもるLTTEに容赦なく攻撃。国連の民間人巻き添え攻撃の自粛要請も無視・・

LTTE、ついに「敗北宣言」。

しかし、LTTEの壊滅を至上とするシンハラ人政府は、LTTE側の幹部や指導者プラブハカラン、その家族を皆殺しに・・

シンハラ人政府が「完全勝利」宣言。25年におよんだ内戦が終結。

 

スリランカの内戦が、こんなにもひどいものだったとは、正直知りませんでした。

しかも、結末は、一方が一方を徹底的にやっつけての終戦。
和解したわけではないのです。

両民族に積もり積もった恩讐は、簡単に消えるものではないでしょう。
ということは、スリランカの内戦は終結したのではなく、一時的に鎮静されている状態。いつまた勃発してもおかしくないということでしょうか。(そんなことは考えたくもないですが)

旅立ち前に、神妙な気分になってしまいました。

スリランカ渡航に必要なEビザ

ところで、内戦終結から8年、2017年のスリランカ。

渡航にはビザが必要のようです。

いわゆる電子入国許可査証で、アメリカのESTAのようなものですね。

コロンボの空港到着時に申請することもできるようですが、サイトも簡単に見つかったので、申請してみました。

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パスポート№などを入力し、申請すると、数分で返信があり、

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こんなものが送られてきたので、印刷して出発に備えます。

 

いやいや、それにしても、スリランカ内戦の壮大な中味を垣間見てしまった私には、ビザなんて小さいものに感じてしまいます。

この地球上、いろんな国があるという、当たり前のことを実感した瞬間でした。

(弾丸旅行が可能という理由だけで、行先を選んでしまっては、あまりにもスリランカに対して失礼だったかな・・  せめて、礼節を欠くことのないような旅にしよう・・)

 

※それと、スリランカではデング熱が流行っているらしい。虫よけスプレーも必携ですね。

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