国境の街ルセの散歩&ドナウ川を通して眺めるルーマニアの大地【ブルガリア旅行記 #16】

人口約17万人。ブルガリア第5の都市ルセ。

今回のブルガリア旅にあたり、私が訪れる街は首都のソフィアとここルセのみ。

なんとも短い日程ですが、ふつうの方なら、ふたつ目に訪れる場所は古都のヴェリコ・タルノヴォやプロヴディフでしょう。

それがルセになったのは、この街がブルガリアとルーマニアを結ぶ交通の要衝にあるから。

両国の首都ソフィアとブカレストを結ぶ動線上で、ちょうどドナウ川が流れる街。

それがルセです。

そもそも、今回の旅に東欧諸国を選んだのは、久しく欧州の雰囲気に接していなかったことと、表現は少々悪いですが「得体の知れないエリア」に足を踏み入れたかったこと。

ブルガリアとルーマニア両国を「得体が知れない」などというつもりは全くありませんが、日本人の身からすると「旧共産圏」と聞けば、やはりベールに包まれてる気がする。

短い旅程で、多くを訪問できない中で、首都以外の街であまり観光客が訪れそうのない街であったこともルセを滞在先に選んだ理由の一つです。

では、日没までのあと2時間あまりルセの街を散歩しましょう。

聖トロイツァ大聖堂〜神殿

夕暮れ迫るルセの街を早歩きに歩きます。

気温は10度ほど。日中は20度近く、列車の窓を開けて吹き込む風を楽しんだのが嘘のよう。

昔懐かしい公衆電話。でも、使う人いるのかな。

こちらは、オペラハウスでしょうか。

なんとも立派なオペラハウスです。

そして、そのオペラハウスの隣にあるのが「聖トロイツァ大聖堂」。

建てられたのは1632年。つまりオスマン朝時代。

イスラム教が国教の時代のキリスト教教会ですから、建築には厳しく制限がかけられています。

すなわち、高さがこのレベルまでしか認められなかったそうで、それを補うために、内部は半地下のようになってスペースをかせいでいるとのことです。

ソフィアで拝見した「聖ペトカ地下教会」と同じ生い立ちですね。

見学したかったのですが、拝観時刻を過ぎていたためか入れませんでした。

街灯までもがこの低さ。

扉が地面スレスレですもんね。

日本で言えば江戸時代の初期に、この地でイスラムに抗うキリスト教徒の姿があったことを思うと不思議な感じです。

ところで、ブルガリアはソフィアもそうでしたが、街の路地は路上駐車のクルマで埋め尽くされています。

でも、この縦列駐車、並のウデではない・・

ソフィアは首都、そしてバルナは黒海沿岸の街。

路駐の多いブルガリアですが、歩行者優先のよう。横断歩道でクルマはピタリと止まります。

「地球の歩き方」には「神殿」と載っていた廟。

明治ブルガリアヨーグルトの公式ブログには、「オスマン・トルコからの解放に命をささげた人たちがまつられているパンテオン」とありました。

素敵なお墓です。あの扉の中に、お骨が納骨されているのでしょう。

さて、ルセの街の散歩を続けますが、いちおう時計を見ながら。

おや、なんでこんなところに重機があるんだ?

日没に合わせてホテルに帰りたいですから。

ソフィアの街しか見ないでルセにやってきた私としては、街並みの外観が同じように見えてしまいます。

でも、ブルガリアの他の街から来ると、ブルガリアらしくない欧州に似た街、ということになるのだと思います。

ふたたびルセの中心部スヴォボダ広場へ。

中心部にはホテルも多い。でも、明日の朝は早い。駅前にとって正解です。

夕暮れのドナウ川

日も落ちかけたところで、ドナウ川の河岸へ急ぎましょう。

今でも使われてるのかな、線路を渡ります。

国境の街ルセを歩いて、国境であるドナウ川を見ない手はありません。

おお・・ドナウ川です。

4年前にセルビアのベオグラードとノビサドの街でそれぞれ目にしたドナウ川。

あいかわらず悠々と流れていてほっとします。

向こうに見える大地がルーマニア。国境とは実に不思議なものです。

ドナウ川を、左に行けば、ベオグラード、ブダペスト、ブラチスラバ、ウイーン。

右に行けば、黒海へ出て、ボスポラス海峡を過ぎればエーゲ海から地中海へ。

古代から交易が盛んであったことが想像に難くないですね。

向こう側のルーマニアに渡るには、この下流6kmほどのところにある「ドナウ橋」を渡ることになります。

ていうか、その橋しかありません。国境とはそういうものなのかな。

季節の良い時期ならば、河岸にはルセの住民が集うのでしょうか。

本日は2月23日。河岸には誰もいません。

冬の日がルーマニアの大地に落ちていきます。

これは、なんのモニュメントだろう?

国境を肌で感じとることができない日本人にとって、国境を流れる川というのは特別な存在です。

ただ今17時。10時間後には渡るであろうドナウ川に、いったんお別れです。

夕暮れの「ボリソバ大通り」

スヴォボダ広場に戻ってみると、まだお土産やさんが商品を連ねてました。

ドナウ川には人魚でしょうか(^ ^)

むかし、大航海時代というRPGやってドナウ川を航海すると、きまって人魚が現れ、水夫が海にひきずりこまれたのでw

自由の女神像に一礼して、広場から引き上げます。

トータルわずか4時間ほどの散策だったルセですが、思い出に残る街歩きになりました。

ところで今回の旅、見事なほど東洋人の顔を見ていない。

日本人に一度も会わない旅というのは何回かあるが、中国人も含めて東洋人が皆無というのは初めてだ。

東洋人の顔を見なければ、必然的に旅情は高まる。

コロナと中国の事情がもたらしたギャップ。

おそらく、もうこのようなシチュエーションを味わうことはないだろう。

では「ボリソバ大通り」を歩いて、駅前のホテルに戻りましょう。

おや、あれは、何かの電波塔かな?

Googleマップで調べてもわからなかった、不思議な塔。

さて、明日の朝は2時に起きて2時半のチェックアウト。

朝というより未明です。すべては、国境越えのバスの時刻がもたらしたもの。

nonstopって、24時間営業のことかな。

だから、酒の力を借りて、早く眠りにつきたい・・

中が見えないとどうしても警戒しちゃいますが、子供があっさりと入っていったので、たんなるスーパーのよう。

ここで、ワインとつまみを仕入れました。

では、日が完全に沈む前に晩酌でもはじめますか(^ ^)

ホテルへ急ぎます。ルセの人たちも家路を急いでるようです。

ホテルに着いて、いちおう持ち金のチェック。30レヴァばかり余った。

円換算で2220円。もうブルガリアは最後。明日、バスターミナルでパンでも買うか。

ちなみに、ワインに水2本にポテトチップで16.16レヴァ(1195円)でした。

パンがいくらだったかは、忘れましたw

シャワーを浴びて、本日の無事に乾杯。

しかし、バスターミナルのおばちゃん。

3:15のバスに乗るのに、2時半に来いって、ずいぶん早くない?

まあ、国境を越えるんだから何かしら手続きがいるんだろうけど、おかげで2時起き。

起きられるかな・・・

いちおう目覚ましは1:50にセット。

ポテチをポリポリ食べてないで、早く寝たほうがいいんだけど。

今回のブルガリア&ルーマニア4泊7日ひとり旅の全行程・費用などはこちらです。