敦煌バスターミナルから2時間半、柳園南駅に到着です。
このバスは、もう少し先柳園まで行きますが、乗客の半分が、ここで降りました。
それにしても、すさまじい悪路だった・・・
原野の中の柳園南駅
柳園南は新しくできた高速鉄道駅。したがって、町のある場所に造られた駅ではありません。
しかし、そうはいっても・・・
見事なほどに、何もありません。
このおばちゃんたちは、柳園の町から出張してきてるのでしょうか。
でも、せっかく柳園を通るなら、柳園の町の様子も見たかった気がする。柳園は、甘粛省の西北端の町です。
セキュリティは、かなり厳重でした。ていうか、私が、過去10回の中国渡航経験で、もっとも厳しいレベル。
バッグのジッパーというジッパーをすべて開けられ、荷物を文字通り引っ掻き回されました。これから新幹線に乗るんだし、犯罪者から見れば、こういう辺鄙な駅を狙うんだろうから、当然の対応でしょうか。しかし、疲れる・・
駅に入ってしまえば、外の風景と同様に、のんびりムード。
ウルムチ方面は、20~30分間隔。そんなに需要あるの? 中国の人口をなめちゃいけないか。
これは道路地図なので737kmとありますが、新幹線だと633km。
それを、3時間34分で走り抜けてしまうので、とんでもない快速です。
以前は、完全に1日がかりでした。
和諧号が到着し、発車していきます。
私の乗るD2703列車の改札がはじまりました。
パッと見は、日本の新幹線駅と変わりません。
ところが、駅の裏手は・・
砂漠が広がっています。こういう高速鉄道駅は、世界でも珍しい?
その柳園南駅に、和諧号が入線してきました。
今朝8:43に蘭州西駅を出発し、柳園南までの距離986キロを、約8時間かけて突っ走ってきた新幹線です。スケールが大きいな・・
列車が止まると、日本人の団体が10人近く降りてきました。ここで降りるということは、これから敦煌に向かうんでしょうね。楽しんでらっしゃい!
ウルムチ行き新幹線 柳園南駅を発車
乗客が入れ替わると、新幹線はすぐに発車。これから新疆ウイグル自治区に向かいます。
駅を出るとすぐ、こんな砂漠です。
ちなみに、私の乗った8号車はガラ空きでした。
この列車のトルファン北までの停車駅です。
柳園南 | 16:30 |
ハミ | 18:02 |
鄯善北 | 19:31 |
トルファン北 | 20:04 |
トルファン北までの633キロを3時間34分。平均時速180kmで、砂漠を駆け抜けます。
ウルムチ方面へ通じる高速道路と交差。その向こうには、在来線の線路も見えます。
その在来線のレールの上を行く、長大な貨物列車。
また、貨物列車です。それにしても、雄大だ・・
こんなに頻繁に貨物列車と出会うなんて、やっぱり中国の輸送需要はすごい。古代のキャラバン隊だったら、何隊分に相当する輸送量なんだろう、って比べるのもおかしい。
隣の車両をのぞいてみました。こちらも2等車ですが、やっぱり空いてます。
車窓を風力発電が埋めつくします。今日はおだやかなようで、ほとんど回転していません。
人家も何もないところに駅があり、ビュンと一瞬で通過。
砂漠の中を駆け抜ける大陸新幹線
「砂漠新幹線」は、快調に飛ばします。どこか不思議な体験。
目を凝らすと、遠方に雪を抱いた山々が。地図によると、カルリク山脈。モンゴルとの国境です。
車窓に夢中になって、すっかり忘れてましたが、女性服務員がチケットの検札に来ました。
いつもどおり回収されるのかな、と思ってたら、そのまま返されました。そして、なにやら言います。当然わかりませんが、チケットになにか書き込みました。みると、トルファン北駅の到着時刻がメモられています。
降りる時間を教えてくれていたんですね。「謝謝」です(^。^)
女性服務員が検札に来たら、次々と働く女性が8号車に入ってきました。まずは、車内販売のお姉さん。
続いて、清掃のおばさん。
女性服務員の仕事は検札だけではないようです。給湯器の状態を確認したり、空調を調節したり、みているといろんな仕事をこなしています。
彼女の勤務は、この列車の始発から終点まででしょうか。だとすると、13時間半におよぶ重労働です。
窓外に緑が現れました。町が近い合図?
砂漠の中に、忽然とビル群が登場するから驚きます。
シルクロードのオアシス都市ハミに到着ですね。ハミ駅は、柳園南と違い、従来の在来線の駅に高速鉄道が乗り入れてますので、駅周辺に町があります。
ハミは、かつて天山北路の要衝の町として栄え、ハミ王国の都があったところ。
駅も立派です。
私のいる8号車から、さらに乗客が降り、ますますガラガラになりました。乗ってくる乗客はいません。
あの列車は、どこへ行くのかな。大陸を旅している気分です。
ハミ駅を出てすぐ、なにかのレールと交差。
禁煙のキャンペーンですね。
たまに集落が見えることも。
お墓? なにかの遺跡?
また、不毛の砂漠になります。ハミを出て、土の色が変わったような気がします。
映像に、いろんな音が入ってるのは、前の席の中国人が、youtubeのようなものを聞いてるから。中国人は、乗り物の中だって、携帯もおかまいなしです。
私も音楽を聴きはじめました。
砂漠の中を、高速で突っ走るというのは、本当に現実離れしてますね。時速200キロ以上の速度で走っているんでしょうが、そんな気がしません。
どこまでも続く、砂漠に目を奪われ、自分はどこに運ばれていくんだろう、そんな気分。
シルクロードを新幹線で駆け抜ける、なかなかいいじゃないですか。ウオークマンから聴こえてくる音楽と、後ろに飛んでいく砂漠が、見事なハーモニーです。
トルファン北まで、あと1時間半ほどです。
新幹線から眺める黒砂の砂漠
しばらくは、日本で見ることのない、黒砂の砂漠をご覧ください。
現在19時。西の空は、まだ明るいです。
水が流れたあと?
この先に、幻のオアシス都市 楼蘭がありました。
それにしても、雄大な眺めです。
久しぶりに見ました。高速道路。
道路が現れるってことは、町が近いってことね。まもなく鄯善北に到着です。
鄯善とはピチャンと読みます。シャンシャンという読み方もあるようですが。
しかし、鄯善北というだけに新しくできた駅。駅の真裏は砂丘が広がってます。
鄯善北駅を出ると、トルファン北までは30分ほど。古代の旅人が数十日かけてたどり着いた道のりを、わずか3時間半で走り抜けました。新幹線、おそるべし。
トルファンが近づき、北側にはボグダ山脈の山影が。ふもとには、2台のトラックが愛らしい。
トルファンは、実はものすごい低地にあります。列車は、海抜マイナスの盆地に向かって駆け下りています。そもそも、トルファンって、ウイグル語で低地を意味します。
あと数分で、トルファン北に到着ですが、気配は感じません。