シルクロード新幹線で天山北路を移動 敦煌からトルファンへ【シルクロード旅行記 #15】

敦煌バスターミナルから2時間半、柳園南駅に到着です。

このバスは、もう少し先柳園まで行きますが、乗客の半分が、ここで降りました。

それにしても、すさまじい悪路だった・・・

原野の中の柳園南駅

柳園南は新しくできた高速鉄道駅。したがって、町のある場所に造られた駅ではありません。

しかし、そうはいっても・・・

見事なほどに、何もありません。

このおばちゃんたちは、柳園の町から出張してきてるのでしょうか。

 

でも、せっかく柳園を通るなら、柳園の町の様子も見たかった気がする。柳園は、甘粛省の西北端の町です。

  

セキュリティは、かなり厳重でした。ていうか、私が、過去10回の中国渡航経験で、もっとも厳しいレベル。

バッグのジッパーというジッパーをすべて開けられ、荷物を文字通り引っ掻き回されました。これから新幹線に乗るんだし、犯罪者から見れば、こういう辺鄙な駅を狙うんだろうから、当然の対応でしょうか。しかし、疲れる・・

駅に入ってしまえば、外の風景と同様に、のんびりムード。

ウルムチ方面は、20~30分間隔。そんなに需要あるの?  中国の人口をなめちゃいけないか。

これは道路地図なので737kmとありますが、新幹線だと633km。

それを、3時間34分で走り抜けてしまうので、とんでもない快速です。

以前は、完全に1日がかりでした。

和諧号が到着し、発車していきます。

私の乗るD2703列車の改札がはじまりました。

パッと見は、日本の新幹線駅と変わりません。

  

ところが、駅の裏手は・・

砂漠が広がっています。こういう高速鉄道駅は、世界でも珍しい?

 

その柳園南駅に、和諧号が入線してきました。

今朝8:43に蘭州西駅を出発し、柳園南までの距離986キロを、約8時間かけて突っ走ってきた新幹線です。スケールが大きいな・・

列車が止まると、日本人の団体が10人近く降りてきました。ここで降りるということは、これから敦煌に向かうんでしょうね。楽しんでらっしゃい!

 

ウルムチ行き新幹線 柳園南駅を発車

乗客が入れ替わると、新幹線はすぐに発車。これから新疆ウイグル自治区に向かいます。

駅を出るとすぐ、こんな砂漠です。

ちなみに、私の乗った8号車はガラ空きでした。

この列車のトルファン北までの停車駅です。

柳園南 16:30
ハミ 18:02
鄯善北 19:31
トルファン北 20:04

トルファン北までの633キロを3時間34分。平均時速180kmで、砂漠を駆け抜けます。

ウルムチ方面へ通じる高速道路と交差。その向こうには、在来線の線路も見えます。

その在来線のレールの上を行く、長大な貨物列車。

 

また、貨物列車です。それにしても、雄大だ・・

こんなに頻繁に貨物列車と出会うなんて、やっぱり中国の輸送需要はすごい。古代のキャラバン隊だったら、何隊分に相当する輸送量なんだろう、って比べるのもおかしい。

 

隣の車両をのぞいてみました。こちらも2等車ですが、やっぱり空いてます。

 

車窓を風力発電が埋めつくします。今日はおだやかなようで、ほとんど回転していません。

人家も何もないところに駅があり、ビュンと一瞬で通過。

 

砂漠の中を駆け抜ける大陸新幹線

「砂漠新幹線」は、快調に飛ばします。どこか不思議な体験。

目を凝らすと、遠方に雪を抱いた山々が。地図によると、カルリク山脈。モンゴルとの国境です。

 

車窓に夢中になって、すっかり忘れてましたが、女性服務員がチケットの検札に来ました。

いつもどおり回収されるのかな、と思ってたら、そのまま返されました。そして、なにやら言います。当然わかりませんが、チケットになにか書き込みました。みると、トルファン北駅の到着時刻がメモられています。

降りる時間を教えてくれていたんですね。「謝謝」です(^。^)

女性服務員が検札に来たら、次々と働く女性が8号車に入ってきました。まずは、車内販売のお姉さん。

続いて、清掃のおばさん。

 

女性服務員の仕事は検札だけではないようです。給湯器の状態を確認したり、空調を調節したり、みているといろんな仕事をこなしています。

彼女の勤務は、この列車の始発から終点まででしょうか。だとすると、13時間半におよぶ重労働です。

 

窓外に緑が現れました。町が近い合図?

砂漠の中に、忽然とビル群が登場するから驚きます。

 

シルクロードのオアシス都市ハミに到着ですね。ハミ駅は、柳園南と違い、従来の在来線の駅に高速鉄道が乗り入れてますので、駅周辺に町があります。

ハミは、かつて天山北路の要衝の町として栄え、ハミ王国の都があったところ。

駅も立派です。

私のいる8号車から、さらに乗客が降り、ますますガラガラになりました。乗ってくる乗客はいません。

  

あの列車は、どこへ行くのかな。大陸を旅している気分です。

 

ハミ駅を出てすぐ、なにかのレールと交差。

 

禁煙のキャンペーンですね。

 

たまに集落が見えることも。

お墓? なにかの遺跡?

 

また、不毛の砂漠になります。ハミを出て、土の色が変わったような気がします。

映像に、いろんな音が入ってるのは、前の席の中国人が、youtubeのようなものを聞いてるから。中国人は、乗り物の中だって、携帯もおかまいなしです。

 

 

私も音楽を聴きはじめました。

砂漠の中を、高速で突っ走るというのは、本当に現実離れしてますね。時速200キロ以上の速度で走っているんでしょうが、そんな気がしません。

どこまでも続く、砂漠に目を奪われ、自分はどこに運ばれていくんだろう、そんな気分。

シルクロードを新幹線で駆け抜ける、なかなかいいじゃないですか。ウオークマンから聴こえてくる音楽と、後ろに飛んでいく砂漠が、見事なハーモニーです。

トルファン北まで、あと1時間半ほどです。

新幹線から眺める黒砂の砂漠

しばらくは、日本で見ることのない、黒砂の砂漠をご覧ください。 

  

現在19時。西の空は、まだ明るいです。

 

水が流れたあと?

 

この先に、幻のオアシス都市 楼蘭がありました。

それにしても、雄大な眺めです。

   

久しぶりに見ました。高速道路。

 

道路が現れるってことは、町が近いってことね。まもなく鄯善北に到着です。

鄯善とはピチャンと読みます。シャンシャンという読み方もあるようですが。 

しかし、鄯善北というだけに新しくできた駅。駅の真裏は砂丘が広がってます。

 

鄯善北駅を出ると、トルファン北までは30分ほど。古代の旅人が数十日かけてたどり着いた道のりを、わずか3時間半で走り抜けました。新幹線、おそるべし。

 

トルファンが近づき、北側にはボグダ山脈の山影が。ふもとには、2台のトラックが愛らしい。

 

トルファンは、実はものすごい低地にあります。列車は、海抜マイナスの盆地に向かって駆け下りています。そもそも、トルファンって、ウイグル語で低地を意味します。

あと数分で、トルファン北に到着ですが、気配は感じません。

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