【ASICS GEL-KAYANO32】扁平足でも旅人に合う靴を購入した話

かつての旅人は、徒歩で移動するのが当たり前だった。

江戸時代の旅人は、江戸から京都までをおよそ2週間で歩き通したという。

今の私に、それができるだろうか。

時間的制約さえなければ――現役を退いた暁には、ぜひ挑戦してみたい旅でもある。

それとは全く関係ないが、私は見知らぬ町を徒歩で歩き回るのが好きだ。

もちろん、庶民の足であるバスやトラムを使う街歩きも悪くない。

だが徒歩には、絶対的な移動速度の遅さゆえの良さがある。

商店街の匂い、人々の生活の営み、路地裏のたたずまい・・・

それらが、しっかりと記憶に焼きつく。

徒歩で彷徨えば、スマホを見ずとも地形が頭に入る。

どの路地がどこにぶつかるのか、自分だけの地図が自然と形成されていく。

そして身体をはって蓄えた記憶は、なかなか色褪せないものだ。

アシックスの旗艦店【ASICS TOKYO GINZA】を訪ねてみた

ところで、私は生まれついての扁平足である。

土踏まずがなく、裸足で床に立つと足の内側の肉がはみ出すほど。

しかしこれまで、肉体的に不自由を感じたことはなく、欠点と意識したこともない。

ところが最近、10kmほど歩くと、歩数にして1.5万歩あたりで、足裏に鈍い痛みを覚えるようになった。

特に、石畳が連なる旧市街などを歩くと顕著に現れる。

単なる経年劣化だろうか。

昨年の中央アジアでは、かかとから血を流しながらビーサンで歩きまわって平気だったのだから、それも違う気がするが・・・

しかし、次の旅はインドで、徒歩観光の比重が高くなることは明らか。

そこで私は、生成AIに相談してみた。

勧められたのは、日本を代表するスポーツブランド、アシックス。

それも旗艦店ともいえる銀座の「ASICS TOKYO GINZA」。

アシックスは1949年創業の老舗。

社名「ASICS」はラテン語 “Anima Sana In Corpore Sano”「健全な身体に健全な精神があれかし」の頭文字。

そんな企業理念にも共感し、インド旅への日も近かったので、2月の土曜日、開店と同時に飛び込んでみた。

スポーツ用品店に入るのは久しぶりで少し気後れしたが、開店を待つ客が数人いる。

しかし、店内では外国語が飛び交い、旅の途中にいるような気分になって面白い。

さて、色とりどりに並ぶスニーカーを前に、なんとなく立ち尽くしていると「よろしければ足のサイズを計測いたしましょうか」と、敷居低く声をかけてくれたのが女性スタッフ。

ありがたいこととカウンターの裏側に入っていくと、そこにあったのは3D計測器。

裸足で立つと、たちまちサイズ、足幅、周径、アーチ高、甲の高さまで表示される。

さらに足裏の圧力分布まで、まるでサーモグラフィーのように可視化された。

結果は想像どおり、扁平足。しかも右足のほうが強い。

足裏に痛みが出るのは必然だという。

そして、同じく扁平足だというスタッフが勧めてくれたのが「KAYANO32」だった。

GEL-KAYANO32を購入

スタッフが持ってきた、黒一色のKAYANO32。

開発者の名がそのままモデル名になったロングセラーで、扁平足や過回内(足が内側に倒れる傾向)を支える“スタビリティモデル”の代表格であるとのこと。

履いた瞬間、違いがわかった。

今までにはいたスニーカーとは明らかに違うフィット感。

決して先入観をもってるからではない。

たとえば今日はいてきたソフトシューズは、私の扁平足を横から圧迫する感触だが、KAYANO32は、下から押し上げるような感覚である。

押し上げられる、というよりこれが「支えられる」仕組みで、土踏まずが内側に倒れ込むのを防ぐ構造になっているそうだ。

試着して店内を歩かせてもらったが、フワフワと跳ねるような軽い履き心地に感動して、値段も確認せず即決。

AIの助言によると、「最低でも5分以上は試着して歩かせてもらえ」、とあったが、私の面の皮はそこまで厚くない。

アシックス旗艦店らしく、スタッフのプロフェッショナルな洞察力もまた印象的だった。

私は「扁平足で、用途は旅で長く歩くこと」。

その2点しか伝えていないのに、黙って勧められたのは黒。

たしかにシックで落ち着いた色は私の好みに合う。

そして左右対称に整えられた蝶結びまで、美しい。

会計は22,000円だった。

航空券を除けば、久しぶりの高額出費。

でも自分の身体のパーツを買い替えたような新鮮な気分で、そのまま店を出て、ウオークマンの音楽をお供に銀座の街を2万歩ほど歩いてみた。

疲労感がおそってこないのもすごいが、靴の先がランニング用に持ち上がってるので、不用意に地面に引っ掛けることもない。

どこまでも歩いて行けるような感覚。

さすがに先人たちのウオーキングに対するノウハウが凝縮された靴。

たった数時間の徒歩で身体に馴染んだのが、自分でも驚きだ。

そして、ふだん玄関など整理なんかしないくせに、高価な買い物だと扱いも丁寧になるらしい。

ところで、夢中になって、購入2日目も2万歩と調子に乗っていたところ、左足の甲に刺すような痛みが走りはじめた。

実は、この兆候も「ASICS TOKYO GINZA」のスタッフさんから教えられていたもので、いわゆる「初期フィット反応のアッパー圧」というやつらしい。

もともと、私の足が左足の方だけ甲が高くなっていたので、購入時にアドバイスしてくれていたもの。

その指示通りに、紐をバラし、クロスしないパラレル結びにすると、甲の圧迫も無くなりました。

Xに投稿すると、「インドでは汚れるから次の旅でデビューを」と、温かい忠告をいただいた。

たしかにインドには、いろいろ落ちている(^ ^)

でも、永遠の国インドへの旅だからこそ、身体に合った靴の初陣にふさわしい。

KAYANO32で軽快に歩き回る自分の姿が、もう目に浮かびはじめてます。