さて、馬祖ひとり旅3日目。
というより、明日は早朝の便で台北に出て、そのまま帰国なので、実質本日が最終日。
これまで、予定らしき予定もなく、気ままに馬祖をバイクで走ってましたが、本日の午前中に関しては、いちおうミッションがある。
馬祖列島の無人島「大坵島」へ
さて、宿の女主人さんから借りたバイクで走ること5分ほど。
教えられた港につきました。ここは、橋仔という村。
なんだか、遣唐使船の模型のような船が陸上げされてますが、まさかこれに乗るわけではないでしょ^ ^
前置きが長くなりましたが、要するに、ここ北竿からさらに別の島に渡るんです。
その島の名前は「大坵島」。
馬祖列島において、唯一、無人島に上陸できる島、ということで興味をひかれてやってきたわけです。
ただね、色々調べたんですが、行き方が分からなかったんです。
そして、潮位の関係で、午前中しか船が出ないぞ、みたいなうわさが。
そこで、昨夜、女主人さんに、「大坵島に行きたいんだけど・・・」ともちかけると、たちどころに電話をかけてくれて手配。
「橋仔の港近くに、星・・・ではじまる旅館があるから、そこが集合場所」
「必ず、細いけど海岸沿いの道を行ってね。太い道は、危険なほど急坂だから」
「これをみせれば(何かの半券)チケット売ってくれるから、パスポート忘れないでね」
「出航は8:30。島には1時間半ほど滞在できるはずよ」
という、至れり尽くせりのご指南を受けて、橋仔の港に着いたのでした。
そして、すでに、数人の観光客が集まってました。
大坵島に何があるのかわからない。
しかし、無人島への島旅なんて、思い返せば、小笠原諸島父島の南島くらいしか記憶にない。
まして、異国の無人島なんて、生涯初体験(^ ^)
こんな部分拡大地図を出されても、どこだか分からないかもしれないけど、まあ、台湾海峡に浮かぶ絶海の孤島ですw
乗船名簿に、日本の住所、氏名、パスポート番号などを記入します。
これは、航海が危険だからか、それとも天然記念物的な場所へ足を踏み入れるからか。
そんなことが気になってると、皆さんが手に持っているナッパの意味がわかりませんでした。
さて、船が来るのを待ちます。
ずいぶん小さな船だな、こりゃ。
船というよりモーターボート。
でも、小ぶりな船だけに、出足は速い。そして、すごい揺れ方・・・
運転手以外には、私を含めて8人。たぶん、そのくらいしか許容量がないんでしょう。
だから、昨夜のうちに、女主人さんに相談しておいて正解だった。
同行者の皆さんは、察するところ、1人ガイドさんがいて、6人のツアーという感じ。
私1人が紛れ込めたのは、奇跡に近いのかも。
目指す大坵島が近づいてきました。まさか、あそこに接岸?
鹿だらけの無人島 散策開始
そんなことはなかったですが、でも、似たようなちっぽけな桟橋に、モーターボートが横付けです。
動物にあまり興味がないので、島に上陸して、このモニュメントを目にするまで、この島が鹿のゆかりの地であるとは思い至らず。
考えてみれば、チケットも鹿の写真だったね。
上陸した観光客のナッパを、さっそくめざとい鹿さんたちが奪いはじめました。
なるほど、そのためのナッパね。
あとで調べてみると、この大坵島に生息する鹿は「梅花鹿」という台湾の鹿。
100頭以上生息しているらしい。食糧源は観光客のナッパなのかな。
ところで、けっして大人しくはないです。
尖った角で、観光客のお尻をつっついたりイタズラも。
さて、ひとり取り残されてしまうと、路頭に迷ってしまう。
桟橋から続く、急坂を登って、ツアー客についていきます。
登るにつれ、さっきはいちおう港のように見えた船着場が、ただのボードウオークに。
たしかにこれ、潮位が増したら、沈んじゃいそうだ。
そんな感じで眺めてたら、モーター音がして、1隻の船が。
なるほど、私が運ばれた8時半は第1陣で、朝のうちにあと数便のアプローチがあるようでした。
ガイドさんが、中国語でなにやら解説します。
私はよそ者ですが、ちゃっかり便乗・・・って、言葉がわかるわけない。
でも、そのガイドさんに、「自由行動は何時まで?」と翻訳アプリで聞くと、「船の出発は10時半」とのこと。
1時間半ほど、自由時間があるわけだ。
では、さっそく、島の外周に沿って、散策開始。
すごいね、この景観。
人は住んでないし、まさしく絶海の孤島。
鹿がいるのは、桟橋付近だけかとタカをくくってたら、島の裏側にも大群がいた。
すかさず、ツアー一行は餌やり開始。
私は、その様子を微笑ましく眺めているだけ。
でも、台湾人はほんとに親切。分けてくれました(^ ^)
鹿に餌をやるなんて、生まれて初めてかな。
奈良公園でもやったことないし。
でも、なんとなく養っている気分。羊飼いならぬ、鹿飼いになった心境でした。
ところで、ところどころに、こんな地図があります。
これによると、全部回ったとしても3.6キロ。ほんとに小さな島です。
さて、その地図によれば、島の北端に来たようです。
その北端の岬を反時計回りに歩いていくと、
大坵島のさらに北に島が現れました。
地図の上では、これを小坵と呼ぶようですが、潮の干満によっては陸続きになりそう。
その様子を見学できるベンチがなんとも可愛らしい。
では、集合時間のこともあるし、そろそろ帰途につきましょう。
島の西側にも、鹿の大群がいました。
向こう側にうっすらと見えるのが、大陸中国の福建省。
いろんな諸事情があるのもわかりますが、この美しい景観を汚さないでもらいたいものです。
鹿さんたちも、そう願っていることでしょう。
楽しい無人島一周イベントでした。
大坵島のかつての人跡
今でこそ無人島となっている大坵島ですが、かつては人が住んでいた時期もありました。
上の画像のように、台湾では十八番の寺院もあるし、
分校の跡もありました。
中華民国とあるので、蒋介石以後の台湾でしょう。
まさに、遺跡と化してますね。
軍隊が駐留していた時期もあったのでしょう。
すると、さっきの分校は、軍隊の家族のための学校かな。
島の最高地点まで足を伸ばして、港に戻りました。
人は住んでなくても、観光客はくるので喫茶店がありました。
さて、そろそろ、迎えの船が来る時間。
鹿のモニュメントに見送られて、大坵島にお別れです。
異国の無人島、なかなか貴重な体験ができました。