【旗山老街】旅の原点に帰った気がするノスタルジックな町歩き【台湾旅行記2023 #16】

旅とはけっして派手なものではない。

町から町へ移動し、一夜明けて、また次の町へ移動する。

古代から旅人は、このように行動していたはずだ。

そして時の流れは、人類にゆとりと豊かさを与え、人間は旅そのものを楽しむようになってきた。

観光地から観光地へ、点と点を飛んで結ぶような旅。

それでいいのだと思う。

旅人が100人いれば、100人分の旅に対する価値観があるだろうから。

 

でも、私は幼少の頃から、意味もなく家を出ては電車やバスに乗り、ただ移動することを楽しむ生き物だった。

窓の外を流れ去る景色が、すべて美しく見える。

そして、知らない街を歩くのが最高に楽しい。

青春18きっぷを使って、ただひたすら移動し、てきとうな街で列車を降りて歩いてみる。

夕暮れを迎えたら、安い宿を探して泊まる。

たったひとりで、知らない街で夜を迎え、一夜を明かすいうことが、どんなに楽しくワクワクすることか。

 

今回の台湾旅で、旗山(きざん)を訪問地に加えたのは、そんな旅の原点に帰ってみたかったということにほかならない。

どんな町なのか知らない。宿もとってない。

そんな町を歩いてみたかったし、泊まってみたかった。

さて、どんな一夜になりますか(^ ^)

久しぶりの飛び込み 旗山の宿「春吉別館」

さて、バスターミナルが町外れにあるのは世の常。

こちらが、旗山の目抜通り(だと思う)

そして、いちおう、Googleマップで目星をつけておいた宿「春吉別館」。

どうも、この町には宿はここだけ?

少々緊張しながら入ってみると、もぬけの殻。

おそらく家族経営だろうから、夕食の買い出しにでも行っちゃってるかな・・・

すると、通りかかった町の人が、隣のガレージでタバコを吸ってたお爺さんを呼んでくれた。

この足腰もままならないお爺さんが、宿の主人のようだ。

どうも、お爺さんは耳がそうとう遠いらしく、私が呼んだ声が聞こえなかったらしい。

お爺さんは耳だけでなく、口もうまく動かせず、帳面に800元と書いて鍵をくれた。

 

安宿に泊まる時の、そっけない事務手続きが心地よかったw

お爺さんがくれた、プラ板に穴を開けただけの素朴な鍵。

で、こちらが800元(3440円)の部屋。

清潔だし、いい部屋です。

この事務デスクは、なんのためにあるのかわからないけど。

荷物置き場かw

トイレとシャワーが地続きなのは、安宿の定番。

アメニティもしっかりそろってるよ。

ティッシュもタオルもあるし・・日本製?

動くかどうかわからないけど、エアコンもある。

見ないけどテレビもあるし、扇風機もある。

気に入りました(^ ^)

私の部屋は、1番はし。すぐにベランダに出られる。

すぐ下で、夜市がはじまりそう。

何もかもが懐かしさ満載。旅って、最高だね。

私のほかに、宿泊客はいないみたいです。

本日は2023年3月20日(月)。日本は、祝日の谷間。休暇とってよかった。

狭い旗山老街の散歩

さて、宿の心配がなくなったところで、町を歩きに行こう。

宿で旅装を解き、町にくりだす感触は、毎度のことでも気持ちがいい。

ただし、旗山という町は、やはり小さいみたい。旗山の人口は3万人。

少し歩くと、すぐに町外れにぶつかります。

では、コーヒーでもいただきますか。

なんか、すごいな・・

こんな町(失礼!)に、こんなオシャレなコーヒーショップがあるなんて。

漢字というのは、想像をかきたてる。少しは意味がわかるからねw

すごく目移りしちゃうけど、「美式黒珈琲」にしました。

たぶんブラックコーヒーでしょ。

冷たいアイスコーヒーが美味い。

日の入りまであと1時間だけど、まだまだ日中の暑さが残る旗山の町。

おや、こんなとこにも宿があった。

こっちのほうが立派に見えるけど、私にはあの「春吉別館」で十分です。

町歩きを兼ねて、今夜の夕食の品定め。

人口3万人の町とは思えないほど、商店街が充実しています。

昨夜のチャーハンも美味しかったし、今夜もチャーハンでいいかな。

チキンライスってのもいいよね。

でも、チキンライスはマレー半島で食べたいんだよなぁ^ ^

小籠包は定番ですね。

おや、旗山で見かけた寿司屋さん。

1貫10元(43円)とは安いな。

勝手にとっていいんだ・・食指が動きかけましたが、生物はいちおうやめておこうw

明日帰国の際の検疫のことを考えてしまった。

体調不良で出国できなかったら、目も当てられない。

明後日の朝から仕事だったんだよね。かろうじて理性が残ってましたw

 

さて、旗山老街の奥へ。

なんか、このレンガ造りの長屋、カッコいい。

ひょっとして、オランダ人が作ったとか。

これは素晴らしい。

ここへ来るバスの中で得た予備知識では「バナナと砂糖の町」という知識しかなかったですが、歴史的な一面ももってそうです。

欧州仕様といった感じのアパートメント。センスあるね。

実は、町を歩きながら、雑貨屋さんを探してました。

ワインオープナーが欲しかったんだよね。

旗山老街の町の様子はこちらです

忘れられないワインオープナーの親切

台南のファミマで仕入れたメルローワイン。

うっかりして、コルクのを選んで買ってしまった。

当然、ワインオープナーなど持ってない。それで、雑貨屋を探してたんです。

 

いったん、「春吉別館」に戻って、お爺さんと奥さん?にダメ元で聞いてみた。

「ワインオープナー貸してくれませんか?」(もちろん翻訳アプリで)

ワインオープナーがうまく翻訳されなかったのか、私は絵に描いて説明。

「う〜ん、ないなぁ・・」という表情。

無骨で無愛想な感じのお爺さんだと思ってたけど、気は優しそうでした。

 

さて、今夜ワインが飲めなかったら一大事。

鋭利な道具などあるはずもなく、ACアダプターでガリガリやる作戦。

そこに、さっきのお爺さんが現れた。

みると、手に新品のワインオープナー。

え!うそ! 私のためにわざわざ調達してくれたの!?

値段を見れば60元(258円)

さっそく払おうとすると、お爺さんが手を振る、違う違うと。

この、耳が遠くて口も動かないお爺さん。

私に一生懸命、「使ったら返しにきてくれればいいんだよ」と伝えたかったのでした。

旅先で涙が出そうになったことって、いつ以来だろう・・

マジで感動して泣きそうになってしまったw

ありがたくお借りして、使ってみれば、そこは文明の利器。あっさりあきました。

帳場まで降りていって、オープナーをお返しし「謝謝」を何度繰り返したことか。

旗山の宿「春吉別館」。

忘れられない旅の思い出になりました(^ ^)

旗山の町で食べる肉絲炒飯の夕食

ふたたび「春吉別館」を出ると、夕暮れが町をつつみはじめてました。

夕食は、さきほど目星をつけておいた、こちらのお店。

このオーダー方法はわかりやすいね。

これなら間違えないし、お店も経済的です。

70元(301円)の肉絲炒飯をオーダーして、お店の様子を眺めます。

すごく早口に聞こえる台湾のニュース。

チャーハンがきました。

肉は少なめだけど、美味しそうなチャーハン。

万国共通の味。一気に平らげてしまいました。ごちそうさま。

満腹して、お店を出ると、なにやら住民が立ち並んでます。

何事かな・・と思ってると、サイレンを鳴らしたクルマが。

ゴミ回収車だったんだ。

待ち構えていたかのように、群がる住民たち。

日本で見たことはないけど、どこかノスタルジックな懐かしさを感じる光景。

ほっとするものがあります。やっぱり旗山来てよかった。

政治家の選挙運動ポスターもほのぼのと見えます。

夕暮れに包まれる旗山老街

食後の散歩をしているうちに、夕餉時がせまり、人々の動きもあわただしくなります。

三明治でサンドイッチですか。

ひょっとして桜?

旗山老街のメイン通りを、あてもなく行ったり来たり。

これが、とても楽しい。

旗山の名産はバナナと砂糖と聞いてたけど、紅茶も名物のようです。

公益採券って、なんだろう? 証券会社?

見れば見るほど、立派な旗山老街の長屋。

かつては、何に使われていたのか、非常に気になるところ。

老街を行き来しているうちに、すっかり夕闇に包まれました。

夕暮れはどこで見ても綺麗だけど、いままで知らなかった町でみると、これまた新鮮だ。

知らない町から知らない町へ、旅の原点。

明日は出発だけど、深夜特急の沢木耕太郎さんや、ジョジョ3部のジョースター一行のマネごとができて感無量(^ ^)

この町では、歩いていて、日本語は耳に入らない。

「地球の歩き方」にも載らないような、こんな町を歩きたかった。

最高の孤独感。一度、どうしても日本に帰りたい!となるまで旅してみたい。

では、そろそろ宿に戻って、酒でも楽しもうかな。

バス通りは、クルマの数が増えてました。

通勤ラッシュ? どこに通ってるのかな?

台南からバスで2時間かけて来たんだけど。

こんな町で数週間暮らしてみたい、突然そう思ったりする。

宿に帰って来ました。「別館」ということは、「本館」もあるのかな。

セブンイレブン旗山店で仕入れて来たお夜食。

ワインオープナーで開けたメルローも、もちろん飲みます。

まずは、ハイネケンで本日の旅に乾杯。

シャワーを浴びて、ベッドに寝っ転がって酒を飲む、この気持ちよさ。

下では夜市がはじまってました。

カラオケセットもあるから、騒々しいのなんのw

いやいや、この喧騒がたまらなく楽しい。

バンコクのカオサン通りもこんな感じだったよね、と過去旅を懐かしみながら飲むワインは格別。

暑くなって、エアコンのスイッチを入れます。

ほどなくして、歌がやみました。

時計を見れば22時。そんなルールになっているようです。

楽しく、思い出に残った、旗山の一夜でした。

今回の台湾4泊6日ひとり旅の全行程・費用などはこちらです。