台南の歴史をたどる街歩き「孔子廟」&「赤崁楼」&「祀典武廟」【台湾旅行記2023 #13】

古都の早朝散歩は気持ちがいい。

まだ、街が起き出していないので、素顔の街の様子が見れるし、古都の落ち着いたたたずまいは、朝の淡い光にこそよく似合う。

しかし、9時をすぎると、さすがに日常だ。

爺様たちの太極拳の発声は聞こえなくなるし、3月と言えど北回帰線より南の太陽はぐっと高く上がる。

台湾最古の「孔子廟」

「臨水夫人媽廟」と「延平郡王祠」を見学した私は、その足のまま「孔子廟」へ。

ぎらぎら照りつける太陽がうらめしくなるような壁の色ですw

孔子とは、もちろんあの孔子。

台湾には、「孔子廟」がいくつもありますが、ここ台南の「孔子廟」がもっとも古いそうです。

そして、この「全台首学」という文字が、台南孔子廟の地位の高さを物語っています。

台湾の儒学の中心であり、最高学府であったことを表す漢字4文字です。

気のせいかもしれないけど、陽が上がってだいぶ暑くなっているのに、境内に入ると微風が吹いて涼しく感じる。

樹木が植えられ日影があって、芝生が整えられているからかも。

儒教の講堂だった明倫堂に記された漢字。

敷地の中にも、いくつか門があって、ちゃんと意味することがあるのだと思う。

学の浅い私は、その意味を解せずに門をくぐります。

そしてこちらが、大成殿に入る門。

ここから有料です。

40元(172円)とリーズナブルな入場料。

大成殿。日本統治時代に改修され今の姿に。

儒学は、言わずと知れた中国の春秋時代に孔子が広めた思想。

ただ、わたし個人的には儒学はちょっと・・

目上の方を敬う ⇒ 目上であれば誰でも偉い

と少し歪んだ解釈が、少子高齢化や身近な例で言えば「老害」を生み出していると思うから。

年の功と呼べるような、徳を積んだ高齢者だけが敬われるはずなのに。

年上の方が偉いという考え方は、生物学的にもおかしいと思う。

そんな感想が浮かんだ孔子廟にさよなら。

さて、時刻は9時半。

いったん、ホテルに戻って荷物を整理してチェックアウトしましょう。

台南のランドマーク オランダ人が建設した「赤崁楼(せきかんろう)」

ホテルをチェックアウトした私は、台南駅前のバスターミナルへ。

これから、赤崁楼や祀典武廟をまわるつもりなんですが、バスを使わないと回りきれない弾丸日程。

本来なら、古都台南は歩いてめぐってこそ、との思いもあるんですが、時間に追われる旅人です。

バスはわずか数分で「赤崁楼」まで私を運んでくれました。

台湾のバス路線は、Googleマップがかなり正確に案内してくれるので、ほんとに便利です。

歩いたら20分くらいかな。

夜遅くまで開いてる「赤崁楼」。ということはライトアップされるんでしょう。

入場料は50元(215円)。

ここ「赤崁楼(せきかんろう)」は、台南随一の史跡。

お土産屋さんもある、台南のランドマーク的存在。

それは、台南でもっとも古い史跡というだけでなく、オランダ軍が建てたこの城を、鄭成功(ていせいこう)がオランダを駆逐し、その後政治の中心としたから。

つまり、ここは近代台湾の首府がおかれた文字通りの台湾の中心地なんです。

したがって、見学者は、外国人よりも台湾人が多い。

しいてなぞらえれば、日本の京都のようなものですから。

中華民国という文字が誇らしい。

オランダ人がつくったときは、こんな感じだったんだね。

さて、城の上階に上がってみよう。

そんなに高くないけど、街並みを見下ろすというのは気持ちいい。

でもね、実は足場がけっこう狭いんです。

さくも、私の膝上くらいしかないから、高所恐怖症の人だとヤバイかもw

大航海時代のオランダが、なぜこんな内陸に城を築いたのかといえば、それは当時、ここが海岸線だったから。

現在も、ここから台南の有名な運河までは直線距離で1kmくらいしかありません。

海神廟と呼ばれた時期もあったのでしょうか。

鄭成功の肖像画。

実は、鄭成功は長崎平戸出身。つまり日本の生まれです。

父の貿易の関係で、幼い頃は福建省で過ごすが、当時の明が清に滅ぼされると、体勢を立てなおすために台湾に渡ってきました。

清という征服王朝の存在が許せなかった骨太な人物で、英雄扱いされるのもわかりますね。

では、赤崁楼に敬礼して、次の史跡へ向かいましょう。

三国志の「関羽」を祀る「祀典武廟」

さて、赤崁楼の真向かいにあるのが「祀典武廟(してんぶびょう)」。

しかし、正門は反対側。エンジの壁に沿って歩きます。

台湾には、提灯が似合うなぁ。

さて、こちらが「祀典武廟」の正門。

台湾においても一級の史跡に位置付けられる由緒ある廟です。

台湾には武道を祀る廟がいくつもありますが、「祀典武廟」がすごいのは、祀っている神が、あの三国志の「関羽」だから。

台湾と「関羽」の関係はわかりませんw

でも、ほこらしげに「関聖帝君」の文字が。

線香の香りがここちよい。

ほんと、台湾と関羽の関係はわかりませんが、やはり三国志武将としての人気なのでしょう。

台湾には、ここ「祀典武廟」のほかにも、小さいものまで含めると100以上の関羽を祀った廟があるそうです。

外は陽が上り暑いのに、中は涼しく感じる中国寺院のつくり?

武将関羽が出迎えてくれました。

関羽といえば、誰しも思い浮かべるのが武勇伝。

しかし、簿記に長け、数字にも強かったそうで、「祀典武廟」には商売繁盛の御利益もあるそうです。

そう聞くと、映画「レッドクリフ」で、関羽が子供達に勉強を教えていたシーンを思い出します。

「学問を学んでも腹はふくらまないよ」

「今学んでおけば、それで飯が食える」

だったかな・・・何気に重みのある言葉です。

廟の裏手には、中国旧市街を思わせる白壁の建物。

これはいいわ・・・余韻に浸って、しばらくたたずんでました。

「祀典武廟」を出たところで、11時過ぎ。

もう太陽ギラギラで、30度近くあるかもしれません。しかし、台南街歩きはまだ続きます。

今回の台湾4泊6日ひとり旅の全行程・費用などはこちらです。