旅してて夕暮れを迎える瞬間は、えもいわれぬものがあります。
自分は、この陶酔感に酔うために旅しているのだと言い換えてもいいほど。
夕暮れの西郷の町
夕暮れの景色というのは、ほんとに素敵だ。
このあと旅館に泊まって、夜は町に出て飲む。
こんな旅をずっと続けたい。
トータル79㎞走ったレンタカーを返却し、西郷の旅館に泊まります。
居心地のいい旅館「竹の坊」
隠岐に来て最初の夜。
泊まる旅館は、西郷の港から徒歩5分の「竹の坊」。
電話で予約したとき、「お待ちしておりますね」という女将さんの優しい声がいつまでも耳に残ってました。
「竹の坊」という由来を聞きそびれてしまいましたが、玄関にはいたるところに竹細工が。
素敵な玄関口。
女将さんが出迎えてくれ、「お風呂は1人づつ入る」旨を伝えられて二階へ。
センスのいい掛け軸。
ゴミひとつ落ちてない廊下に、キャリーを転がすのもはばかれて、持ち上げて運んでます(^^)
通された部屋には、すでに布団が敷いてありました。
旅していて、宿に投宿し、旅装を解く。
この瞬間だけで、生きている価値があると思う。
それにしても、西郷の町のほぼ中心に立地するのに静かです。
居心地のいい旅館。
日本の旅館は、旅人を癒してくれます。これだけは外国では味わえない。
さて、お茶でもいただいたら、ひとっ風呂浴びてきましょう。
いやあ、これまた素敵なお風呂だ。
温泉ではないですが、旅の疲れが湯に溶けていきます。
ふだんはシャワー派で、お湯につかることがない自分。
旅先では、ここぞとばかりに長湯です(^^)
炉端焼き「青柳」でイカの丸焼きをごちそうになる
今夜の宿は「片泊まり」。つまり食事は朝食だけ。
これは意図したもので、西郷の夜を楽しむためです。
そこで、女将さんにおすすめの居酒屋を聞くと、「青柳」というお店を紹介されました。
すっかり夜のとばりがおりた外に出ると、目の前に酒屋さんが。
これは部屋で飲み直しができそうです。
教えられた「青柳」というお店は、「竹の坊」からすぐでした。
気取らない、地元住民のための居酒屋という感じ。
おお、中もいい感じ。ゆっくり酔えそうです。
まずは生ビールを一杯。
畳敷きのカウンターがおしゃれです。
客は私ひとり。
お通しででてきたこの魚の名前はなんだろう。
こんな快適空間を独り占めできて、幸せです。
無口な主人だと思ってたら、急に話しかけてきてびっくり。
「観光? 仕事?」
観光で一人で来る客は珍しいとのこと。
冷ややっこもオーダーしました。
ネギも大根おろしも目の前でさばいてくれるので、新鮮です。
「クルマで来なさった。すると、岡山、広島あたり?」
「いえ、千葉です」
主人が大いに驚く。
驚いた理由が、千葉から運転してきたとの勘違い。
主人のすすめで「イカの丸焼き」もオーダー。
昼だと「さしみ定食」が一番人気とのこと。
イカの丸焼きを口に運びながら、ご主人と雑談。
「島後はどう?」
「海がとてもきれいでした。」
「うん、海しかないからな・・」
「船がすごく揺れましたよ」
「うん、凪いでるように見えても、外海はいつもシケてる。冬は船もしょっちゅう欠航するんだよ」
「冬は寒いんですか?」
「そんなに寒くはない。でも、雪が降るときはけっこう積もるからね。」
地酒をたのむと「隠岐の誉」。
この看板、クルマ運転してたら見かけましたよ、というと、さらに雑談がはずみました。
甘口ですっきりとした味わい。
辛口派の私でもクセになりそうな、フルーティな香りでした。
主人との雑談の内容は、残念なことに酔いはじめていてほとんど覚えていません。
地元のお客さんがぱらぱらと入ってきたのをしおに引き揚げます。
楽しかった西郷の夜。ちなみにこの薬屋さんの二階にはおしゃれなバーがあります。
いろんな雰囲気を楽しめますね。
宿の前まで戻ってくると、まだ酒屋さんがあいてました。
「隠岐の誉」を仕入れて、続きを楽しみます。
明日は、「島前」にわたります。
どこをどう回ろうか思案しながら味わう「隠岐の誉」。格別です。
「竹の坊」の素朴な和定食
ぐっすり眠って快適な朝。
「竹の坊」の朝食は、帳場のわきの小部屋でとります。
日本旅館の朝食は、これから何が起ころうとも変わらないもののひとつだと思う。
日常生活では、なかなか口にしない食材をゆっくり味わいます。
そして、食後はコーヒー。今日も一日がはじまるね。
一泊朝食付きの片泊まりで7,700円。港まで徒歩圏内という立地を考えたら、良心的な価格。
居心地のよかった「竹の坊」の一夜でした。