西ノ島町にこだまする高速船欠航の知らせ&「別府 ⇒ 来居(いそかぜ)」乗船記【隠岐一人旅 #14】

知らない町の早朝散歩は楽しい。

私は旅に出て、旅館やホテルに泊まると、だいたいこれをやります。

早朝というのは、まだ着飾ってないので、その土地の素顔がみれるところがいい。

そんな気分で、気持ちのいいエクササイズをしていると、突然大音量で放送が流れました。

「高速船欠航」の知らせがアザーンのように西ノ島町にこだまする

「本日は海上がシケのため、高速船レインボージェットの午前便と午後の本土行きを欠航といたしました~!」

私は、これをアザーンでも聞くかのごとく面持ちで受け止めました。

※アザーンとは、イスラム教の礼拝を呼びかける町に流れる放送。

こちらです↓(音が出ますのでご注意を)

 

島にいて、なにが最悪かというと、船が欠航して閉じ込められること。

帰れなくなる!

状況を察知した私は、すぐに旅館に戻り、隠岐汽船のHPを開くと・・・

出典:隠岐汽船HPより

 

本日の6時半に決定したようです。ていうか、毎日6時半に運航可否を決めるよう。

天気予報を見ると、たしかに低気圧が西から迫ってきている。

したがって、波の高さも本日より明日のほうが高い予報。

うーん、困った・・・

私は、本日午前中、知夫里島に渡り、観光したのち、ふたたびここ別府に戻り、15:45発の「フェリーおき」で本土に帰るつもりです。

隠岐汽船のHPを見る限り、現在のところ「おき」は運航する予定。

しかし、高速船が欠航するほどの波で、しかもこれからどんどん波が高まるとなると、午後になってから突然欠航となる可能性だってなくはないのだ。

 

いったい、フェリーの欠航の基準となる波の高さとはどのくらいなのだろうか。

隠岐汽船の公式HPには出ていない。

 

ところが、いろいろ検索してみると、

  • フェリー欠航 波5~6mぐらい
  • 高速船欠航 波3mぐらい

という、一般的に言われているという情報をこちらのサイトから入手できた。

【隠岐 海士町】冬の生活。船は止まる。雪がたまに積もる。 - 離島で40歳からの子育て
隠岐汽船の欠航条件は、波が6mでフェリー欠航、3mで高速艇欠航 と言われています。しかし風の影響もあるのでこれだけで判断は難しいところ。

※偶然みつけたブログですが、隠岐での生活が描写されていてすごく面白かったです!

 

フェリーの欠航が波5mからだとすると、あと1m。

しかも、波だけが基準なのではなく風が強ければ、4mの波でも欠航するかもしれないのだ。

そして、実際に、しょっちゅう欠航するらしい・・・

 

宿の女将さんに相談すると、うーんと腕組みして「よく欠航はするんだよねえ・・」と一言。

逆にこれで、なんか吹っ切れました(^^)

 

船が欠航するのは運。

かりに、今すぐ船に乗って本土に戻れば、家には帰れる。ただし、隠岐諸島4島のうち「知夫里島」だけがあぶれてしまう。

逆に「知夫里島」をおとずれていては、本日は足止めをくらう可能性がある。

でも、翌日朝一番で高速船に飛び乗れば、本土には午前10時に着ける。

勤務先には15時くらいには顔を出せるだろう。

火曜日をフレックスにしても少し遅刻だけど、あらかじめ申告しておけば、無断欠勤ではない。

ふだん、一生懸命仕事をしてるんだから、そのくらい大目に見てもらおう。

ただし、朝一番に高速船が動いていればの話だけど。

 

そんなふうに、アタマの中を整理して、「旅館みつけ島荘」の朝食をいただきました。

 

別府港・内航船ターミナルでのひととき

キャリーを転がして、港に向かいます。

島前間の船は、隠岐汽船ではなく、島前内航船が就航。待合室も分かれています。

昨日は「フェリーどうぜん」に乗りましたが、今回は「いそかぜ」。

フェリーとついてないので、高速船のような船体なのでしょう。

クルマが積めるのも「どうぜん」のほうだけで、「いそかぜ」は旅客オンリーです。

私は8:23発に乗って、知夫里島の来居に向かいます。

知夫里島(ちぶりじま)も、来居(くりい)も、今回の旅を企画してなかったら目にしなかった地名だと思います。

だから、やっぱり旅を中止せず、予定通りに行動することに決めてよかったと思ってるんですが、港内の波も高くなってきている。

大丈夫か・・・

心配しても仕方ないので、待合室に入ります。

誰もいない待合室。三連休中だけど、観光客は団体で行動してるんでしょうね。

畳敷きのスペースを独り占め。

あらためて、知夫里島の位置を確認。

これで、隠岐諸島のうち人の住んでいる4島すべてに上陸することになります。

ところで、朝早いからか、チケット売り場も開いてません。

と思ったら、乗るときに300円払えばいいシステム。切符いらないんだ・・

「別府 ⇒ 来居」高波を飛び跳ねる「いそかぜ」

ところで、8:23発の「いそかぜ」が8:20を過ぎても姿を現さないな、と思っていたら汽笛が鳴り船影が見えました。

 

足の速い船。姿を見せてからわずか1分で入港です。

精悍なスタイルの「いそかぜ」。

手際のいい着岸作業を眺めてから、300円払って乗り込みます。

乗船客は、私のほかに、地元民らしい方の2人だけ。

停船時間はわずか1分。

ほんとに路線バスのような感覚です。

定刻に出発。私はこのとき、いくら海が荒れているとはいっても、大したことないんだろうな、と考えてました。

曇りガラスのむこうに見える、あれは「どうぜん」でしょう。

「いそかぜ」は、まず昨日訪れた中ノ島の菱浦港に着岸。

すぐに出航して、高級ホテル「Ento」をかすめます。

そして、にわかに船が揺れはじめました。

ものすごい波です。波がもろに窓にぶつかります。

それでも、このくらいは日常なんだろうな、と思っていたら、なんと船が速度を落としました。

日常の波ではないということでしょうか。

シートベルトをしていないと、腰が浮くほどの揺れ。

いちおう「救命具」の場所を探しましたが、ブレるほどの揺れです。

どこか、船長さんが、波の荒くないところを探して航海しているような感覚・・

正直、神に祈る気分になりかけましたが、知夫里島の島影が見えてきてほっと一安心。

無事に来居港に入港

船長さんの見事なウデで、来居港に入港。

正直、小型の船でここまで揺れた経験は初めて。身体が浮きましたから、ほんとに・・

船長さんが、港の人と「あのへんが大きかったね・・」なんて話していたので、それなりに大きな波だったのと思われます。

 

しかし、何事のなかったかのように、乗り込んでいく知夫里島の住民。

島に住んでいて、船が揺れるなんてのは日常なのでしょう。

波の情報はサーファーぐらいしか情報にならないのでは、なんて考えてましたが、島の住民にとっては極めて重大な情報であると、今更ながらに悟らされました。

無事に知夫里島に上陸できたことを感謝。

これで、隠岐諸島の4島すべてに上陸。すごい達成感です。

レンタカーを借りて、島をドライブしましょう。

今回の島根&隠岐3泊4日ひとり旅の全行程はこちらです。