午前6時起床。
2025年2月23日(日)の北京は、ちょうど空が白みはじめた頃。
長屋のような商店街が、徐々に闇から浮かび上がってきます。
今日はこれから万里の長城へ向かうスケジュール。今日も天気が良さそうなのが嬉しい。
そして、気温はマイナス5度。
インナーから耳当て。持参したすべての防寒具を身につけて、迎えのクルマを待ちます。
万里の長城「金山嶺長城」への道
ピックアップの時刻7時ちょうどに迎えにきてくれたドライバー。
中国のプライベートツアーは非常に誠実で、私は今まで何度も利用したことがあるけど、必ずピックアップは指定時間通りに来る。
当たり前のことかもしれないけど、世界標準はそうでもなく、キューバでは真っ暗な路地裏で1時間も待たされたこともある。
そんなツアー会社の、日本語は話せないけど英語は話すドライバーが、ヒュンダイのクルマまで案内してくれました。
クルマは、夜が明けたばかりの北京市街を北に向かいます。
ところで、私が向かっているのは、万里の長城の中でももっとも公共交通機関で行くのが困難とされる「金山嶺長城」。
北京中心部から北東へ約150km。2時間余りのドライブ。
公共交通機関で行くのが難しいと書いたけど、夏の間は「東直門」の駅近くのバスターミナルから直行バスが出ていたりするんだけど、冬季は客が少ないためか、地下鉄14号線の「来广营」という駅から路線バスで行くしかない。
その場所も時刻も調べたところはっきりしなかったので、やむなくツアーをチョイスしたもの。
このツアーも「おひとり様」だと、なかなか強敵。
日本円で3万円とか5万円もする。
そこで調べまくった結果、KLOOKで1,000元(2万円)のプライベートツアーが見つかって予約した次第。
なぜ、そうまでして、わざわざ「金山嶺長城」へ行くのか。
理由は2つあって、1つは一番行きやすい「八達嶺長城」へは、9年前にすでに行っているから。
2つ目は、「金山嶺長城」が、数ある万里の長城のなかでも最も雄大で、かつ観光客も少ない。
中国政府が宣言している通り、ノービザが2025年末で終わってしまうなら、冬の澄んだ空の下で人がいない万里の長城を堪能できるチャンスは今しかない。
そう考えたからである。
KLOOKが選んでくれたツアー会社は、卿遊天下国際旅行者という旅行社。
クルマは快適な速度でハイウエイを走ります。並走する新幹線の高架。
ハイウエイを降りて、街道をさらに北東へ。楽しいドライブ。
そして北京から2時間ほど。金山嶺長城に到着です。
1,000元のなかにチケット代も入ってるみたいでした。
金山嶺長城到着 ルートチョイス&登山開始
さて、いよいよ長城への登山となるわけだけど、勝手がわからん。
なので、ついてきてくれるドライバー兼ガイドさんはありがたい存在。
そして、歩くルートを入念に確認。
金山嶺長城の全長は10.7km。
そして、今いる場所は「索道下駅」とあるところ。
拡大してみる。
要するに、「砖垛口」というところまで登り、そこから西へ「沙岭口」「小金山楼」と長城を歩き、「后川口」という地点から帰ってくるという扇形のルート。
全長が10.7kmだとすると、そのうち3kmほどの縦走になるだろうか。
ガイドさんによると、早歩きで2時間ほど。
のんびり景色を楽しみながらで3時間程度のコースだそうです。
では、雪が積もってたのにも驚いたけど、誰だかわからないスタチューに会釈して登山開始。
ガイドさんが変わりました。前を行く青年です。
たしかに、ドライバーは高齢のおじさんだった。登山はちょっときついかも。
この青年は英語は話せないので、翻訳アプリでコミュニケーションをとります。
そこでわかったけど、この雪は、実は人工雪。寒いけど雪はほとんど降らないとのこと。
これから万里の長城を歩く実感が。
いよいよ登頂開始。
でも、まだここは砖垛口の入り口。
展望台みたくなってました。
ここからが本番です。
ガイドさんが「トイレ大丈夫?」と聞いてくるので、「途中にあるか?」と聞くと、いっぱいあるそうです。
そして、ようやく長城の上に。なんか、この征服感ある雰囲気がいいよね。
金山嶺頂上を独り占め
ようやく長城の上を歩きはじめるも、いきなり急な石段。
ところどころに楼閣があって、そこが休憩所のようなスペースになってたりします。
ていうか、まだ砖垛口ですね。
楼閣のすきまから顔を出すと、絶景が。
楼閣は茶屋の役目もしています。
お土産も。
でも、まだ歩きはじめたばかり。
ガイドの青年が、手招きをしました。なんだろ?
展望台がありました。
私が一眼レフなんぞ首から下げてるから、気を遣ってくれたようです。
ほんとに、万里の長城を独り占めしたみたい。
そして、宇宙までみえそうな青い空。
しばらく、ここにたたずみます。
こんな澄み切った空、久しくみたことがない。
やっぱり、冬に来て正解だったよね。
気温はマイナス5度だけど、身体を動かしてるのと、風が吹いてないので、むしろ気持ちいい^ ^
遠くを見やれば、北京から通ってきたハイウエイも眺めることができました。
休憩ばかりしてると、後ろから観光客が追いついてくる。適度に急いだ方がいいな。
ふたたび楼閣が現れます。
保存のいい楼閣もあれば、風化した楼閣も。
そして、この楼閣への上り下りがきつかったりしますw
観光客で大混雑、オーバーツーリズムの象徴と聞いていた万里の長城を、こんなふうに眺められるとは思わなかった。
正確にいうと、先客が数人います。
しかし、こんな雄大な景色の中にすれば、砂つぶみたいなもの。
そして、楼閣の石段は、本当に急です。気をつけて降りないと。
足を踏み外したら、骨折もありうるレベル。
楼閣と楼閣を繋ぐ長城の上は、わりと平坦なんです。
だから気持ちのいいハイキング。
ほんと、鼻歌でも出ちゃいそうな万里の長城の縦走。
天気はいいし、2万円払った甲斐があったプライベートツアー。
バスでくれば、たぶん5分の1くらいの値段でアプローチできたはず。
でも、プライベートツアーのおかげで、人がいない早朝に来れたわけだし、とんぼ返りすれば、もう一度、夕暮れの什刹海を歩ける。
すなわち、カネは使わないと損ということ。
人間にとっては、時間のほうがよっぽど貴重です。
少し大きめの楼閣登場。
兼休憩所になってました。
峠の茶屋という感じ。
おばちゃんにコーヒーと中国茶をご馳走になりました。
この中国茶が美味しい。プーアル茶といってたけど、買って帰ろうかな。
記念にメダルも買いました。
さて、午前10時を過ぎて、だいぶ暖かくなってきました。
日差しが強いのは相変わらずで、日焼け止めは塗ってます。
また、ずいぶんと急峻な楼閣だ。
なんとか登りきって、後ろを見ると、少しづつ観光客が現れはじめてました。
すごい、金山嶺長城の全景といった感じ。
それにしても、よくもまあ、こんなものを作ったよね。
古代の人はエラいよ。
ちょっとトイレへ。
ちょっと、といいつつ、100mばかり下るから、やっぱりスタート前に済ませておいたほうがいい。
教訓です(^ ^)
それにしても、見飽きない眺め。
ガイドの青年に撮ってもらいました。
よくみると、楼閣にもいろんなスタイルがあります。
ほぼ遺跡と化している楼閣も。
風格がありますね。これらの長城は、主に明朝時代に修復されたものらしい。
楼閣をくぐるところ。
楼閣によっては、一度最下段まで石段を降りて、ふたたび上がってこなくてはならない重労働なものもある。
わきの石の欄干を通ればワープできるけど、それはやらないほうがいいだろう。
もし落ちたら、大惨事になるだけでなく、日本人の恥をさらすことになる。
後半の方が急だ、と聞いてたけど、たしかにそうだ。
石段になってない坂は、すべるので登りにくい。履き慣れたスニーカーで来て正解でした。
ところで、ガイドの青年とはあまり会話がないけど、「いままで、何回案内したの?」と聞くと「100回以上?数え切れないくらい」と答えてくれた。
「日本人はよく来るの?」「いや、あまり来ない」
「季節は、やっぱり冬がいい?」「もちろん!夏は暑いし、曇り空が多い」
だそうです。
iPhoneのヘルスメーターによると、歩きはじめてから1万歩。
さすがに疲れてきましたが、ようやく、ラストスパートの上り坂。
そして、后川口に到着。私の足で、ちょうど所要時間は2時間でした。
では、広場に戻りましょう。
気温はたぶん0度くらいだけど、暑くて、革のコートは脱いでいます。
下界に到着。やっぱり観光客増えてるね。早朝トライは正解だね。
ちなみに、ケーブルカーもあるようですが、運転されるのは多客期だけなのかな。
ふたたび、誰だかわからない像を眺めます。
いい景色、いい天気、そしていい運動になった万里の長城・金山嶺長城の登頂でした。