紺碧の東京湾を心ゆくまで堪能できる鋸山ロープウェイの展望台。
この絶景を目に留められたことで、本日の目的のひとつを達成。
では、日本寺の散策に出かけましょう。
日本寺の散策開始 まずは十州一覧台へ
出典:日本寺公式HPより
さて、日本寺の散策とはいっても、実はとても広いのです。
しかも、崖っぷちに広がっているわけですから、散策順序を間違えると、何度も登ったり下ったり、体力を直撃します。
マップを見るかぎり、山頂エリアからつづら返しのように下るのが、もっとも効率がよさそうです。
「地獄のぞき」とは、これまた大仰な。
これは、「崖から下をのぞく」という意味ですが、これは山頂エリアのもっとも高い場所にあります。
では、日本寺に入りましょう。
拝観料は700円。
いただいたマップを見ても、やはり最初は最も近い「十州一覧台」から攻めるのがよさそうです。
左方向ですね。
この「十州一覧台」までも、けっこう登ります。
登りきると、目に入る浅間神社。
浅間神社は、富士山信仰の神社ですが、ずいぶんと見晴らしのいいところにたっている神社です。
「十州一覧台」とは、十州を視界に入れることができる、という意味です。
そして、十州とは、旧国名で、安房、下総、上総、常陸、上野(こうずけ)、下野(しもつけ)、武蔵、相模、伊豆、駿河のこと。
相模や駿河はわかるけど、上野(こうずけ)といえば群馬、下野(しもつけ)といえば栃木。
そんなところまで、本当に見えるのかな。
ためしに、グーグルマップで富士山までの距離を測ったら104km。
これで半径を描くと、埼玉県北部までしか入らない。
本当に見えたのかな(笑)
秋晴れの土曜日。日差しはけっこう強く温かい。
外国人ファミリーさんは半袖です。
この碑は、「世界救世教記念碑」とのこと。そんな宗教があったのですね。
館山自動車道。そして富津金谷IC。
アクアラインの恩恵で木更津地区の土地が値上がりしているようですが、どこかピンとこないんですよね、千葉の人間としては。
アクアラインに鉄道が通っているならともかく、千葉は千葉でしかない。
私は、半分首都圏半分田舎の千葉県が好きです。
では、富士山を背に佇む浅間神社にさようなら。
「十州一覧台」から「百尺観音」へ
十州一覧台の坂を下ります。
そして、次の目標「百尺観音」を目指し、登ります。
先日、筑波山に登った者としては楽勝ですが、お年寄りにはきついでしょう。
さっきの十州一覧台をあきらめていた方もいました。
このことからも、やはり、「旅は若いうちに」です。
途中、「地獄のぞき」と「百尺観音」で道が分かれます。
「百尺観音」への道は、みごとな崖が続きます。
これ、本当にみごとな崖ですよ。
標高329mの鋸山は、凝灰岩からなる山。
そして、このあたりは、房州石や金谷石として切り出され、江戸の町造りや、横浜港などの護岸工事に使われたとのこと。
この見事な崖は、その切り跡でしょうか。
とても自然現象とは思えません。やっぱり、切り跡なのかもしれません。
蘭州・炳霊寺に負けてない鋸山日本寺の百尺観音
見事な崖に感嘆しながら歩き、崖のすきまを入った瞬間、さらなる驚き。
高さ100尺(約30m)というのが、その名の由来だそうですが、高さもさることながら、威圧感たっぷりの磨崖仏には、中国・蘭州の炳霊寺もびっくりじゃないでしょうか。
ちなみに、蘭州の炳霊寺の石窟はこちらです↓
しかし、日本版石窟も負けてません。
向こうがシルクロードの仏教大磨崖仏であるのに対し、こちらは1966年に6年の歳月をかけて造られた大観音石像。
「百尺観音」は、世界戦争戦死病没殉難者供養のためにつくられました。
1966年といえば、ベトナム戦争の真っ只中です。
さらに、東京湾周辺の航海、航空、陸上交通犠牲者供養のためとしても、発願されました。
すなわち、航海、航空、陸上交通を祈願する、交通安全の本尊なのですね。
交通事故死の多い千葉県。
ドライバーは、一度、この大観音をお参りすべきです。
あとで調べると、やはり、房州石の石切場跡に彫られたらしい。
じっと眺めていると、まことにもって神秘的な磨崖仏です。
なぜ、こんな素晴らしい磨崖仏が、話題にならないんだろう?
恥ずかしながら、千葉県民の私も、今日の今日に至るまで、この存在を知りませんでした。
高さ30mですから、足元に人が立っても、引き立て役にもなんにもなりません。
威圧感に圧倒された「百尺観音」でした。
これまた負けてない威圧感をかもし出す、房州石の切り跡のすきまをくぐって「百尺観音」に別れを告げます。
この絵だけ見たら、ベトナムやカンボジアの仏教遺跡を見ているような錯覚におちいる。
千葉県の名山鋸山、御見それしました。