第171窟の摩涯大仏様の頭上を見上げます。
そして、その頭上にあるのが169窟。中国の石窟で最も古いものらしい。
特別拝観料は300元と高額ですが、ここを見ないと、炳霊寺に来た意味なしと勝手に解釈。
特別拝観料300元の169窟を登頂
高さ40mの石窟まで、木製の階段が設置されていて、これを登って、169窟に対面します。
崖上では、写真撮影は禁止。
ただ、禁止とうたっているだけでなく、係員が帯同し監視するという徹底ぶり。
私1人の観光客のために、鍵を開けて招き入れてくれます。
監視員、ガイドさんに続いて、私も階段を登りはじめます・・・
それにしても、すごい厳重さ。
天井裏に上がるようなフタにも鍵が。
階段というか桟道は、しっかりしていて、歩いたぐらいではビクともしません。
しかし、この高さ! 目がくらみます!
ほぼ垂直に登っていくもんだから、迫力あります。
スリランカの、シーギリアロックを思い出しました。
頂上に着くころには、私は肩で息をしています。
監視員も、ガイドさんも、息切れしてます。私だけでないことに少し安心・・
ここは、おそらく標高2,000m近く。空気も若干薄いのかも。
登りきった所には、天然の洞窟が広がっていました。
この場所で、何人ものお坊さんが修行に励んでいたとのこと。
写真は一切禁止とのことですが、この看板は、了解をもらってとりました。
看板にあるように、西秦時代に彫られた三尊像や菩薩増が、そのまま残っていて、ガイドさんは、その一つ一つを丁寧に説明してくれます。
また、壁には、中国で高僧と呼ばれる僧侶の一人である法顕が描かれていました。
法顕が、この石窟に立ち寄ったときに残した法顕供養図などもあり、実はすごいところにきているのだと実感します。
それにしても、この壁画やレリーフの数々。
5ヶ月前にも、エジプトで無数のレリーフを目にしましたが、これは、歴史の国である証。
じっと見ていると、本当に時間がたつのを忘れます。
そして、足元からじわじわこみ上げてくる寒さで我に返る・・・
300元払って、こんな高いところに登り、寒さに震えながら、仏像を見つめる。
物好きだよなぁ・・・ 我ながら思います。
また下方を見やり、許可をもらって写真撮影。
よくまあ、この階段を登ってきたことです。
ちなみに、この169窟は、300元と高価であることと、体力的にきついこともあって、そもそも登ってくる人が少ないらしい。
このガイドさんが、日本人の老人グループを案内したときは、大多数が、途中で登るのを断念したとのこと。
やっぱり、旅は、現役時代にするものです。
続いて、171窟の大仏様の頭の上をまたぐようにして、となりの172窟へ。
172窟は、時代も変わり、北朝時代の末期。
仏菩薩三尊像が、ひっそりとたたずんでいました。
そして、周囲には、色落ちしていないのが不思議に思える鮮やかな壁画。
172窟は、169窟の洞窟ほど広くないので、ぐるっと見渡した後、ふたたび黄河の枯れ川を見下ろします。
ここを、三蔵法師やマルコポーロも通ったんだろうか・・・
いつの間にか時が過ぎ、名残惜しいですが、そろそろ降ります。
あらためて、169窟の洞窟側に回り、下を見下ろします。
ほとんど垂直・・・
登るときよりも、降りるときのほうが注意を要します。
慎重に足を踏みしめながら、ようやくふもとへ。
また鍵をかけ直す警備員に、ガイドさんから、ここを登る人はどのくらいいるの?と聞くと、
なんと私は2ヵ月ぶりの訪問者でした。
冬に来る人は、ほんとに物好きらしい。
警備員さんも大変ですよね、いつ来るかわからない観光客を待ってるわけですから、というと、給料もらってますからと、笑っていました。
169窟&172窟 そして171窟
頭上を見上げます。
左側の洞窟が169窟。右側が172窟。あそこを歩いたんだよね。
そして、手前に堂々と構えているのが171窟。大磨崖仏。
彫られたのが803年で、見事にくりぬかれています。高さは27mとのこと。
枯れ川に架かる橋を渡って、対岸に進みます。
ガイドさんが写真を撮ってくれました。
この寒い中、丁寧にガイドをしてくれる、とても親切なガイドさんです。
私は、寒さで震えています(笑)
ちなみに、相当な修復を重ねているとのこと。
よくみると左手がありませんが、現在の技術では修復不可能らしい。
奈良の東大寺の大仏様の座高が15mほどなので、ひょっとしたら、身長は同じくらいか?
雪が舞いだした炳霊寺
寝てる仏様がいるそうです。
すごい石です。
炳霊寺にいた涅槃像
これが、16窟、涅槃像。確かに寝てる。しかし、9mもの長身です。
カメラに全身が入りません。
北魏時代ですか。
さて、これで、ほぼ全部の石窟の見学が終了。
2時間以上かけて、じっくり見学した長丁場でした。
来た道の対岸を、船着場の方角に戻ります。
寒さも若干和らいで、楽しい散歩だなと思ったら、いきなり雪が舞ってきました。
けっこう激しいです。
色とりどりの旗。
これは、チベットの旗。
ちなみに、青は「空」、白は「風」、赤は「火」、緑は「水」、黄色は「地」を現しているそうです。
激しい雪に、いったんカメラをしまいます。
私のコートの上にも、積もりはじめました。
おや、観光客が到着したようですね。
吹雪に煙るチベット寺院
チベット寺院にもさようなら。
チベットは、いつか行きたいな・・・ バケットリストに書き込まれています。
おお、幻想的・・・
水墨画のようですね、とガイドさん。
たしかに・・・
船着場に到着。しかし、寒かった・・
オンシーズンは、賑わうのかな。
船は、来たときと同じルートを戻ります。
ところが、湖の真ん中でエンスト!
おいおい、大丈夫か。運転手が、エンジンを見に行っちゃいました。
案ずることもなく、エンジンはすぐに再始動。
約4時間ぶりに、下界に下りてきた気分。
雪も止んで、太陽も出て、若干暖かくなっています。
ボートの運転手さんに別れを告げます。
私一人のために、お仕事お疲れ様でした!