関係がいまいちわからない男女と同室ではじまったブルガリア鉄道の旅。
列車は、機関車がひっぱる「ガクン」という大きなひと揺れをさせてから、静かにソフィア駅を発車しました。
ひと揺れはしましたが、車内放送も駅の放送も何もないので、ほんとに静かな発車です。
ソフィア ⇒ ルセ タイムスケジュール
あらためてチケットを眺めます。
ルーマニアとの国境の街ルセまでの6時間15分の旅。
タイムスケジュールはこんな感じです。
駅 | 時刻 |
---|---|
Sofia Central Station(2601) | 7:05 |
Sofia Sever | 7:13 |
Svoge | 7:47 |
Mezdra | 8:38 |
Roman | 8:52 |
Cherven Bryag | 9:15 |
Yasen | 9:46 |
Pleven | 9:55 |
Levski | 10:21 |
Pavlikeni | 10:35 |
Gorna Oryahovitsa | 10:58着 |
Gorna Oryahovitsa(462) | 11:25発 |
Polski Trambesh | 11:55 |
Byala | 12:09 |
Borovo | 12:28 |
Dve Mogili | 12:42 |
Ivanovo | 12:58 |
Rousse | 13:20 |
Gorna Oryahovitsa(ゴルナ・オリャホヴィッツァ)駅で乗り換えるのかどうなのか、チケットを見ても時刻表を見てもわからない。
チケットを確認しに来た車掌さんに聞いても、英語がわからないらしく(私もだ)余計わからなくなった。
夜が明けはじめた車窓を眺めてると、そんな小さなことも気にならなくなります。
イスクル川に沿って走る列車
異国の鉄道の感触は、何度味わっても得も言われぬものがあります。
同じ地球上の景色なのに、すごく新鮮に見える。
コンパートメントという日本にはあまりない車内環境というのもあるかもしれない。
私の入ったコンパートメントには男女のアベックがいるので、通路に出て景色を眺めます。
列車が沿う川はイスクル川。
ブルガリアのほぼ真ん中に横たわるスターラ(バルカン)山脈。
その切れ目を流れていく川で、このままルーマニア平原を流れた後、ドナウ川に合流し黒海へ注ぎます。
列車も、ちょうどその山脈の切れ目を縫うように北上します。
山峡を走っているわけですが、ときおり街も現れ駅が出現します。
ソフィア駅から、このあたりまでの様子です。
見事なスターラ山脈のクリフ
楽しいブルガリア鉄道の旅。
この街道沿いに町が点在してるのは、おそらく古代からの都市であるソフィアとルーマニア平原を結ぶルートはここしかなかったからじゃないかな。
地図を見ると、険しいスターラ山脈において、ほんとにここしか北へ抜けるルートはないようにみえます。
不思議なのは、両岸の崖は険しくなっていくのに、水の流れは変わらない。
つまり峠越えではないんですよね。列車も軽やかに下ります。
朝日を浴びた山肌が光ります。
見事なクリフって感じですね。
天然ガスの供給をロシアから止められたブルガリア。
原発の稼働にも様々な世論があるようですが、カーボンニュートラルを目指すブルガリアとしては、水力発電も無視できない発電機でしょう。
ときおり現れるダムが、それを物語っています。
イスクル川は、ほぼ左側に沿ってます。だから崖が車窓に展開するのは、だいたい左側。
通路に立って車窓を眺める。
シベリア鉄道や、新疆ウイグルを鉄道で旅したときのことが、鮮明に記憶によみがえります。
スターラ山脈も、ここだけ切れてるということは地殻変動でもあったのでしょうか。
地学を研究している人なら、興味をひかれそうな地層が続きます。
見事なアーチ橋。
日も昇って、川面を照らすようになりました。
それに伴って、車内の温度も上がってきました。今日もいい天気のようです。
崖と川に挟まれたような町。
線路はずっと複線です。でも、あまり列車とはすれ違わない。
石灰岩で造ったかのような崖が車窓に展開。
グーグルマップで調べると、Lakatnik Rocksという景勝地のようです。
ちょうど、スターラ山脈を抜けたあたり。
この崖が合図のように、列車はここからルーマニア平原の南端を東に進みます。
景色も変わるでしょう。
スターラ山脈の崖に沿って走る列車の様子です。
ドナウ平原が車窓に広がる列車旅
スターラ山脈を越えて、車窓には平原が広がりました。
通過する駅。助役さんは女性のようです。
ふたたび現れる町。
先入観があるからかもしれないですが、東欧というか旧共産圏の街という雰囲気。
列車が速度を落としました。停車するようです。
Mezdra(メズドラ)駅。ソフィアからここまで1時間半。
おや、窓が開く場所もあるみたいです。
この駅で乗客もいくらか降りて、空っぽになったコンパートメントも。
メズドラという、人口1万人の小さな町を発車。
お、ふたたび川が姿を現します。
イスクル川。イスカル川とも呼ぶようですが、冬は凍結するのかな。
すっかり、山脈を越えたという感じの車窓になりました。
とはいっても、まだ不思議な崖が現れる変化にとんだ車窓。
農村なんでしょうね。
さすが農業国のブルガリア。何を作ってるのでしょうか。
また町が現れます。
さっきのメズドラという町より、さらに小さな町という感じ。
ロマンという駅でした。駅員さんはやっぱり女性です。
実は、同室の男女とはほとんど会話をしていません。
というか、できないといったほうがいい。私も相手も英語がおぼつかないので(^^)
おお、大陸的な景観になってきました。ドナウ平原です。
あの丘陵のむこうにドナウ川が流れ、その先にはルーマニアの国土が広がります。
大陸を旅しているという実感。
ふたたび駅。女性の駅員さん大活躍。
プレヴェンという町。ドナウ平原の中心に位置する人口12万人の町。
プレヴェンをブルガリア語にすると、こうなんですね。
列車が駅にとまり、しばらく停車すると、車両の下から「カンカン」と金属音がします。
車輪やブレーキをたたいて、金属疲労をチェックしてるんですね。
これはシベリア鉄道のときも味わいました。旧共産圏の伝統の車両チェックなのかな。
プレヴェンを発車し、ますます広がりをみせるドナウ平原。
素晴らしい景色。やっぱり鉄道の旅を選んでよかった。
天気にも恵まれました。
しかし、同室の男女は、そんな景色は見慣れているのか押し黙ったまま。
退屈そのもの、といった感じです。
すでにソフィアから3時間以上走り続けているので、無理もないかな。
何時間窓の外を眺めていても飽きることのない私のほうが、異常な人間なのでしょう(^^)
このあたりの車窓の様子はこちらです。