2020年の7月にも訪れたた京都・祇園の「ねねの道」。
京都きっての観光名所が、凄まじいほどの閑散としたありさまでしたが、徐々に人足が戻りつつあるようです。
こちらは、その7月の第一回目の緊急事態宣言が解除されて間もない京都。
感染症はもちろん押さえ込まなくてはいけませんが、極端な自粛への取り組みは、感染症でない方々まで苦しめることになります。
私のような旅人は、観光地が観光で成り立っているからこそ、旅を楽しめるのだということを忘れてはなりません。
その7月には、立寄らなかった「ねねの道」沿いの名刹「高台寺」。
紅葉のシーズンを迎え、満を持しての拝観です。
紅葉の台所坂を登り高台寺境内へ
晩秋の台所坂と山門は、紅葉をしたがえて出迎えてくれました。
山門は、桃山時代に創建されてから、当時のままのものです。
「高台寺」は、天下人豊臣秀吉の正室である北政所(きたのまんどころ)ねねが、夫秀吉の菩提を弔うために開創したお寺。
「圓徳院」を拝観した際に、「高台寺」との共通割引チケットを手に入れているので、そのまま境内へ。
この時点で、けっこう高台にいることがわかります。
「高台寺」は、東山の山麓にかまえるお寺です。
紅葉もけっこう見事です。
本日は、2020年11月30日。
紅葉と茶室。
この茶室は「遺芳庵(いほうあん)」。
藁ぶきの屋根と、円形の吉野窓が特徴的な「遺芳庵」は、京都の豪商・灰屋紹益(はいやじょうえき)が建てたと言われています。
その茶室の傍らを通ると方丈の庭へ。
まだ盛りの紅葉も残してました。
コロナ退散を願う龍の方丈庭園
「高台寺」の方丈庭園。
「高台寺」では、毎年秋に方丈前の庭「波心庭」で、テーマを決めて特別拝観を行っています。
そのテーマは、年によって演出が変わるそうですが、今年は「龍」でした。
コロナ渦の、一刻も早い終息を願って、龍をイメージしたとのこと。
白砂が雲海となり、その中を龍が泳いでいるという表現ですね。
龍は約1,500枚の古い瓦で作られ、一部には金ぱくが焼き付けられています。
紅葉の映える開山堂&臥龍池
庭園の観賞が終わると、次の拝観順路は開山堂。
これが、開山堂の庭園への入り口となる中門。
中門をくぐると、正面に現れるのが、重要文化財に指定されている開山堂。
1605年創建の開山堂には、狩野山楽により描かれた龍図が天井に掲げられていますが撮影禁止。
その開山堂の傍らに広がる臥龍池。
その臥龍池を含む庭園が、高台寺庭園。
龍はなくても、もみじと池のコントラストが見事でした。
開山堂から霊屋(おたまや)へと続く臥龍廊。
渡り廊下の屋根が、龍の背中に似ているところから、臥龍廊という名前がついたとのこと。
この臥龍廊から、ねねは月を眺めたと伝えられているので、今から400年前、たしかにねねはここを歩いたんですね。
ところで、臥龍廊をそのまま歩いて霊屋に行くことはできません。
いったん、開山堂の高台寺庭園の外に出ます。
ねねが地下に埋葬されている霊屋
臥龍廊を通らず、ぐるっと迂回して少し登ったところにあるのが霊屋(おたまや)。
こちらも重要文化財に指定されています。
写真撮影はできませんが、ここには案内人がいて、「厨子に向かって右が秀吉、左に北政所ねねの木像。晩年を「圓徳院」で暮らしたねねが、地下に埋葬されている。」といった話を聞かせてくれます。
霊屋の周りを一周してみます。
秀吉とねねの木像は、すばらしい出来栄えだったので、写真に撮りたかったな・・
さっき見学していた臥龍池に通じる臥龍廊。
なぜ、通行禁止なのか解せませんが、階段が急で危険だから??
霊屋を離れて、もっとも高いところにある「傘亭」と「時雨亭」へ。
千利休の意匠の茶室「傘亭」
拝観順路に沿うと、最後の見学となる「傘亭」。やはりこちらも重要文化財。
千利休が茶を奏でていたという、すごい場所です。
傘亭は、竹が組まれた屋根の骨組みが、唐傘を開けたように見えることから名づけられたらしい。
ここが、「高台寺」のもっとも高い場所。そして、拝観順路終了です。
では、下りましょう。
往きと帰りで違う道。
帰り道は竹林の中をゆくコースでした。
ルートの最後には、現代風茶室がひかえてました。
駆け足だったけど、優美な桃山文化をかすかに感じとれた「高台寺」でした。