中国全人代で、わずか7日間という超短期間で採択された「香港国家安全法」。
これにより、過去30年間行われていた、香港における「天安門事件追悼集会」は公然と行えなくなりました。
これに対し、香港市民がどうでるのか、ひそかに見守っていたのですが、禁止を呼びかける警察を振り切って、ビクトリア公園に数千人が集まったようです。
2020年6月5日ロイターより
私は、これをハラハラしながら見てました。
31年前の天安門事件のようになり、多数の犠牲者がでてしまうのではないかと。
でも、今回は警察の姿も少なく、また集会自体も黙祷を捧げるのみで、混乱なく収束した模様で安堵したところです。
本集会には、周庭さんも参加しています。
ソーシャル・ディスタンスを保ちながら天安門事件追悼集会に参加する香港市民。 pic.twitter.com/JtxUbYKjUa
— 周庭 Agnes Chow Ting (@chowtingagnes) June 5, 2020
周庭(アグネス・チョウ)さんとは、香港の政治団体「香港衆志(デモシスト)」の常務委員を務め、「学民の女神」と呼ばれる政治運動家。
メディアにもかなり露出されていますので、目にされている方も多いでしょう。
彼女は2014年の「雨傘運動」の頃から中国共産党の愛国教育に異を唱え、政治活動に参加してきました。
当時、まだ高校生だったということにも驚きます。
その周庭さんは、独学で日本語も学び、日本語でもツイッターで発信してくれています。
昨日の64(天安門事件追悼)集会は、過去31年間で初めて政府に禁止され、政府の弾圧によって「違法」集会となりました。香港の自由がどんどん失われていっている証です。ですが、禁止されたにも関わらず、多くの市民が集会に参加し、私も参加しました。感動しました。 pic.twitter.com/4yII23XglW
— 周庭 Agnes Chow Ting (@chowtingagnes) June 5, 2020
そんな彼女は、日本に大変関心を持ち、日本のメディアにも、香港の現状を語りかけたいと情熱を捧げていますが、なんと彼女は当局の許可がないと国外(香港外)へ出られないそうです。
彼女は、今の中国共産党の弾圧を戦争状態だと表現しています。
そして、昨年から続いている香港のデモにリーダーがいないことが幸いだ、とも言っています。
なぜなら、リーダーがいれば、殺されてもおかしくないからだ、と。
香港の今後がどのように展開されるのか、無力な私はただ見守ることしかできません。
言論の自由が禁じられた世界で、世界に向けて香港の現状を発信し続ける周庭さんをはじめとする民主化運動家のみなさんの無事を願うばかりです。
追記:2021年6月13日 周庭さん実刑判決
周庭さんは、2020年12月、中国政府に対するデモを扇動したなどとして、禁錮10月の実刑判決を受け収監されました。
そして、2021年6月12日、受刑態度が良好だったという理由で、刑期が短縮され、前倒しで出所となりました。
この国が、人権的な理由で反政府者を簡単に釈放したというのは驚きですが、とにかく安心しました。
しばらくは、自分の身体を第一に、静かに生活していただきたいと思います。
追記:2023年12月4日 周庭さん カナダに亡命
午前10時ごろだったか、とんでもないニュースが目に飛び込んできた。
周庭さんが亡命・・・
ていうか、パスポートを取り戻して、外国へ行くことができたんだ。
新聞記事によると、彼女は中国深圳で愛国教育を受け、パスポートを取り戻し、定時の報告を行うことでカナダへの留学を許可されたという。
それが2023年9月のことで、その3ヶ月後に、彼女の事実上の亡命宣言。
「香港には戻らない」と声明したという。
彼女の強くたくましい意志は尊重しますが、大丈夫なんだろうか。
カナダにだって中国人はいっぱいいるだろうし、懸賞金なんかかけられたら、いとも簡単に捕まってしまうだろう。
一日本人である私に香港市民である彼女の心境を察することはできないが、無茶はしてほしくない。