バンコク三大寺院のひとつ「ワット・アルン(暁の寺)」チャオプラヤ川を見下ろす大仏塔【バンコク旅行記 #19】

いつごろから、「バンコク三大寺院」という呼ばれ方をしたのだろうか。

私の持っている、古い「地球の歩き方」2014年度版には、そういう表現はでていません。

しかし、「王宮周辺」というエリアのトップに載ってるのが「ワット・プラケオ」。

次が「ワット・ポー」。そして、3番目に出てくるのが「ワット・アルン」。

なので、かつてから、この3つの寺院がバンコク観光の目玉であったことは間違いありません。

そして、私が訪れたことがあるのは「ワット・プラケオ」と「ワット・ポー」のみ。

タイ入国直後のチャオプラヤ川水上船で、ボッタくりに会い、トラウマになって、対岸の「ワット・アルン」を訪れなかったのは、前述したとおりです(^^)

チャオプラヤ川から眺める三島由紀夫「暁の寺」

褐色のチャオプラヤ川をかきわけるように、船が近づいていきます。

「暁の寺」ワット・アルン。アルンとは「暁」の意。

中央の仏塔を四方から囲む姿は、イスラムのモスクを思わせます。

ところで、「暁の寺」は、文豪三島由紀夫の長編著作でもあります。

そして、この「暁の寺」がワット・アルンであり、小説の冒頭に登場します。

読書好きな私ですが、不覚にも三島由紀夫の著作は読んだことがない。

第二次大戦中のバンコク、あるいはインドが舞台の小説と聞いて、思わずポチってしまいました。

行く前に読んでたらな・・・そう思いました(^^)

おそらく、多くの読書家の方は、「大人の子供に対する恋」「輪廻転生」といった世界観に浸るためこの本を手にするものと思われるが、私は子細に表現されたバンコクの町並みに、目を奪われました。

それも、1940年代前半という、まさに終戦直前という時代背景。

弁護士としての仕事を請け負った主人公が、ホテルの庭から、チャオプラヤ川の対岸にそびえる「暁の寺」の夕暮れを眺める。

臨場感をともなう展開は、こじつけかもしれないけど、沢木耕太郎「深夜特急」を思わせるものがある。

しかも物語は、このあと、インド、カルカッタやバラナシに及んでいく。

私には、宗教感や仏教感は理解できない。

しかし、国家総動員法が扇動するなかでの異国の旅路にスポットをあてて、拾い読みしてみよう、そう思ったのでありました。

この本を手にしたのは、私がタイから帰国した約1か月後のことです。

ところで、そんな感傷的なフレーズは、リアルタイムでは浮かんでませんw

水上船は荒々しくワットアルンの岸壁に接岸し、

そして、乗船客を入れ替えて、出航していく。

ほんの数分の日常の出来事でした。

観光客でにぎわう1月2日のワット・アルン

さて、船着き場がそのままワットアルンの入り口になっています。

人の流れに身を任せて進みます。

すると、チケットオフィスに突き当たります。

入場料は100バーツ(400円)、そして水1本つき。

では、あらためて、中央にある仏塔を正面から眺めます。

高さ75mだそうです。さすがにデカい。

拝観者は、年明けということもあり、外国人よりもタイ人のほうが多い印象。

タイ人の結婚式なのか、撮影会も行われてます。

仏塔を支える猿神

パッと見た感じは、なんとなく不気味な神・・(失礼!)

この、仏塔を力強く支える神は、インドの叙事詩「ラーマーヤナ」に出てくる猿族。

ヒンズー教の風神ヴァーユの化身で、仏教国タイもヒンズー教の影響を受けている証です。

ひとつひとつ顔がちがう猿神。

この真ん中のが、いちばん活躍してそう・・こういうのって、絶対手を抜くやついるからね。

たとえ、神であったとしても(^^)

それは冗談として、仏塔上部はさすがに高い。

事故を懸念してか、最上部へは行けなくなっています。

仏塔中腹から見下ろす下界

中腹までは登れます。それでもけっこう高く、目がくらみます。

そして、チャオプラヤ川も拝めます。

三島由紀夫「暁の寺」では、このあたりは密林が生い茂っていたらしい。

仏塔中腹に並ぶ装飾。

インドネシア、ジョグジャカルタの「ロロ・ジョングラン」でも、同じようなモニュメントを見たような気がする。

仏教つながりかな・・

こちらは、西側の景色。本堂も見えますね。

そろそろ降りようか・・というのも、次から次へと上がってくるので、立ち止まっているのが申し訳ない。

下界に降りて、仏塔をふたたび見上げます。

仏塔表面に細かく刻まれた陶器が反射して、夜明けには文字通り「暁の寺」となるのでしょう。

弾丸な旅ではなく、毎朝夜明けとともに自然現象を鑑賞するのんびりした旅もしてみたい。

本堂で金運のご利益を祈願

さて、せっかく仏教寺院にいるのですから、願い事をしっかりと祈りましょう。

ワットアルンの特別なご利益が何かはわかりませんでしたが、バンコクの寺院の多くは「金運」ご利益に長けているとのこと。

なので、私も「金運」を祈願・・・

それにしても暑い・・・チケットと一緒にもらった水が、なにげに大活躍。

そして、こちらが鳴らすと「福」がくるという鐘。

鳴らすと、大きく響き渡るので、遠慮がちですが私もたたきましたw

タイ仏教版の「見ざる聞かざる言わざる」ですね(^^)

わかるなあ・・・仏教って、ほんとに真理だなあ。

世の中には、知りたいことよりも、目にしたくなく、耳にも入れたくないもののほうが多い。

日本のニュースは、ほぼすべてそれです(笑)・・・だから私はテレビは一切見ませんw

 

という観念でしめくくった「ワット・アルン」散策でした。

今回の年末年始バンコク2泊5日ひとり旅の全行程・費用などはこちらです。