桃園から台湾の歴史ある港町・基隆へ 雨に煙る基隆廟口を歩いてみた

台湾島の北端に、基隆という街がある。

南部の高雄と並んで台湾を代表する港町で、日本統治時代には本土との連絡船も就航し、対戦後日本人が台湾から引き揚げたのも基隆だ。

と言いながら、基隆になにがあるのか知らないし、調べてもない。

実は、次の予定は、台北・松山空港から台湾の離島へ飛ぶことになっている。

松山空港は台北市街の北寄りにあるので、その先にある基隆はついでに歩くに都合が良かった。

でも、台湾は7度目だけど、基隆という町は初見。

むしろ、なにも調べずに訪れる、ひとり旅ならではの軽いトキメキがある。

 

さて、羽田からの早朝便で桃園空港に着いた私は、まずは台北に出る必要がある。

いつもは便利なMRTを使うところだけど、今回は、その先基隆へ向かうのでバスにしてみようか。

「國光客運」と9002バスを乗り継いで基隆へ

私が飛んできたフライトはタイガーエア。

そういったLCCが到着するのは、主に桃園空港の第一ターミナル。

そして、その地下からバスは発着する。

さて、どれに乗ればいいか・・・

Googleマップに聞いてみると、基隆へ行くには、ちょうど台北市街出口の高速ランプを降りたあたりのバスストップでバスを乗り継ぐプランがあった。

台北の中心に入ってしまうと渋滞で時間を浪費してしまうのはわかっているので、このプランは都合が良い。

そこで、台湾の交通カード「悠遊カード」でチケットを買うと132元(620円)。

MRTはたしか160元だったから、バスの方が安いのかと思う。

しかし、勢い余って、台北駅まで買ってしまった、途中で降りるのに^ ^

「國光客運」を待つ5番乗り場の1819バス。

朝早いからなのか、MRTの方が早くて便利だからなのか、誰もいません。

ところで、「國光客運」とは、文字からして国が運営するバスですね。かっこいい名前。

そして、そのバスが来て、すぐに出発です。

乗り場がガラガラだったので、当然車内もガラガラ。

と、こんな感じに、2024年11月の台湾旅がスタートしました。

1819バスは、桃園空港から約40分で、台北に運んでくれました。

国際空港でも「台湾の香り」を感じたけど、一気に「台湾の匂い」が強くなり、旅に出た気分が高揚する瞬間。

ところで、バスを降りた場所は、なんとかという学校の前。

英字から察するに聴覚障害者の方の学校かな。

ここで、基隆行きの9006バスを待ちます。

すぐに来てくれた9006バスは、ハイウエイを飛ばし一路基隆へ。

おっと、雨が降り出しました。

霧の向こうに、高さ508m、台湾で最も高いビル「台北101」が霞んで見えました。

そして、40分ほどで基隆のバスターミナルに着きました。

港町基隆の栄枯盛衰を感じてみる

さて、基隆のことをわからずに来たとは言っても、台湾では高雄に次ぐ貿易港であり、古くは軍港でもあったことぐらいは知っている。

台湾にはじめて鉄道が敷かれたのも、この基隆から台北まで。

だから、それなりに、歴史の匂いがするのか、それとも日本統治時代の雰囲気が残されているのか、そのあたりが楽しみ。

天候はあいにくの小雨。

秋の台湾は、どんな気候なんだろうと思ってたけど、ちょうどよく涼しげな感じ。

バスターミナルの建物の中に入ってエレベータを上がり、ターミナルに面した広場を見下ろしてみると、なんとなく日本統治時代風の建物が目に入る。

その広場に降りてみると、「第一月台」という文字が目に入った。

月台がプラットフォームだということは、知っている。

つまりここは、かつての基隆駅。

調べてみると、今の基隆駅は地下工事化され、移転しているようだ。

でも、ここが台湾縦貫線の起点。

1908年というと、日本統治時代だけど、ちゃんと残してくれているんだね。

丘の方を見ると、スシローの看板。

そして、あの山が基隆の全景が拝める虎仔山。

では、港に沿って歩いて、中心部の方に行ってみましょう。

霧に霞む感じが、なんともいえない雰囲気を醸し出す基隆港でした。

雨が強くなってきたので、ファミマで傘を買います。

台風一過の旅になると思って、傘は持ってこなかった。

木の葉模様の可愛い傘でした。

さて、地図も見ずに、街の栄えている方角へ見当をつけて歩きます。

読み方がわからない漢字が、旅を楽しくさせる。だいぶ台湾らしくなってきた。

バスの側面に描かれた広告を見て、なんの広告か推測するのも楽しい。

雨に煙る基隆廟口をさまよってみる

おや、みつけましたよ、このあたりが繁華街らしい。

繁華街というより、路地の入り口に「基隆廟口」と書いてあったから、夜になったら夜市に変身するストリートなのかも。

道路中央に柵があるし、夜になれば露店がせいぞろいする光景が目に浮かぶ。

でも、土曜日だからか、午前中でもそれなりに賑わってるし、あかりが灯っていない提灯の並びも壮観だ。

では、その提灯が並んだストリートを歩いてみましょう。

まもなく11時になろうかという時刻。

出店では、朝食か昼食か、とにかく盛り上がりはじめたみたい。

というのは、「呼び込み」の声がかかりはじめたから。

「呼び込み」の声がかからなくても、考えてみれば朝食抜きだった。

だから、めちゃくちゃお腹が空いている。

何食べようかな・・・

私の大好物な台湾料理は、まずは「魯肉飯」なんだけど。

ところどころ、日本語訳があるのが面白い。日本人観光客来るのかな。

「海うなぎ」なんてのもあるのか。

おっと、魯肉飯がありました。

さて、どこに座ればいいのか。

そして、注文は、紙に書いて渡す仕組み・・・

とまどってると、屋台のおばさんが、ここに座れ、と。

調理台かと思ったところは、兼カウンターでした。

でてきました、魯肉飯。

台湾に来たら、これを食べないとはじまらない。

なぜ好きか、と聞かれると答えに迷うけど、20年近く前に、生まれて初めて台湾を訪れたとき、屋台で初めて食べたのが魯肉飯。

それが、とんでもなく美味しかったから、かもしれない・・

ところで、この魯肉飯。わずか20元(92円)で、味が抜群。

1杯が少量だったので、おかわりしました。

基隆廟口にこつぜんと現れる「廟」

さて、ふたたび雨の中をバイクに気をつけながら、散策開始。

すると、こつぜんと現れる寺院。

基隆奠済宮という寺院みたいだけど、そもそも廟街を歩いているんだから、その中に廟があったって、少しも不思議でない。

しかし、この基隆奠済宮は、完全に露店と一体化している。

こんな不思議な廟は台湾においても初めてみた。

廟の境内は完全に屋根に覆われている。

そのほうが、露店の売り上げは上がるんだろうね、これは日本でも同じ^ ^

 

そして、少し歩いたところにあった基隆慶安宮。

あいにく、雨が激しくなってきたけど、

雨にうたれる廟というのは、いかにも風情がある。

この廟は、航海の安全を祀る媽祖廟。

いかにも港町の基隆らしいけど、この女神様が土砂降りの雨にうたれる姿は、傘でもさしてあげたくなる。

おや、中は意外と広い。

おお、素晴らしい。整然と並んだ提灯が迎えてくれました。

台湾の人が、ふつうのお参りする廟。

そんな日常親しげな廟に、こんな美しい装飾があるなんてうらやましい。

そして、漢字文化は、日本人の私にも親しみが湧いてくる。

私も、線香を1本もらって、今回の旅の無事を祈りました。

少し歩き疲れたので、カフェで休憩。

時計を見れば14時。では、そろそろ、松山空港に向かいますか。