さて、砂漠の大画廊、莫高窟の見学です。莫高窟は、1987年に世界文化遺産に登録されました。
莫高窟 見学のシステム
莫高窟は、世界的に人気のある世界遺産であるだけでなく、中国国内からも大量に観光客が押し寄せるため、見学には、おおむね以下のようなシステムがとられています。
- 時間予約制のチケットを敦煌市内のチケットセンターで購入する。(中国人はWEB予約可)
- 莫高窟バーチャルセンターで映画を2本見る。(2本で40分くらい)
- 専用バスで莫高窟へ移動する。
- 外国人は、何人かのグループに分けられ、そこに外国語を話す専用のガイドがつく。
- ガイドに従って、一般公開されている40の石窟のうち、8箇所ほどを見学する。(どの石窟が選ばれるかは、そのときにならないとわからない・・)
- 1時間ほどで石窟を見学。石窟内部は、撮影禁止・・・
- 専用バスでバーチャルセンターに戻る
だいたいこんな感じですが、こんな厳格でかつ高飛車(??失礼)な遺跡も珍しいですね。
莫高窟には735の石窟があり、そのうち一般に公開されているのが40。
これはいいんですが、そのなかのどれを見たいかの選択権が観光客の側にないとは。
私などは、学がないので、おそらく、どの石窟を見ても、「すばらしい」の一言で終わるんだろうけど、歴史マニアのような人は、○○窟が見たいとか希望があるだろうに、歯がゆいことでしょう。
とはいうものの、石壁に掘られ並ぶ石窟の姿は神秘的であり、今回の旅の楽しみの一つでありました。
ちなみに、チケット代は200元(3,200円)です。
莫高窟は現地ツアーがおすすめ?
日本人を含む外国人はWeb予約不可で、上記のような複雑なシステム。
これ、単独で敦煌に来ていたら、混乱して何がなんだかわからなくなるでしょう。
今回、私は莫高窟を含む1日ツアーで来ていますが、正解だったと思いました。
莫高窟のあと、鳴沙山なんかも回るわけだし、やはり時間をおカネで買ったほうがいいです。
さて、これが、莫高窟数字展示センター(バーチャルセンター)です。
莫高窟数字展示センターの2本の映画
チケット売り場。しかし、チケットは完全予約制で、さきほどの市内の「チケットセンター」で手に入れています。この施設は何のためにあるんだろ??
バーチャルセンター内部。前を行くのがガイドさん。
そういえば、今日はあさからコーヒーを飲んでない。ていうか、日本を出てから、一杯のコーヒーも飲んでません。(蘭州ではコーヒーとコーラを間違えられたからね笑)
ガイドさんにお願いして、コーヒーをオーダーしてもらいました。
ついでに、コーヒーって、中国語でなんていうの?と聞くと、「カフェイ」。私の発音がなってないんだね。
冷たいアイスコーヒーで生き返り(外はけっこう暑くなっています)、映画を見に行きます。
さて、まず1本目の映画。翻訳機を渡されます。
大したことないだろうと、タカをくくっていましたが、すごい映像です。
一瞬「レッドクリフ」かと思ったほど。内容も、シルクロードの歴史をわかりやすく解説したもので、私としては大満足でした。
2本目の映画は、別の部屋に移され、プラネタリウムのようなスクリーンに、石窟の説明を映し出す映像。こちらも迫力満点でした。
専用バスで莫高窟へ移動
さて、2本の映画を見たところで、専用のバスに乗車して、いよいよ莫高窟に向かいます。
バスは、砂漠の中の1本道をひたすら走ります。
30分ほどで、莫高窟の入り口に到着。
水が流れていない川を、橋で渡ります。
あれも石窟の一部かな。
水が流れることもあるんだろうね。
先行グループのツアー。あんなふうにまとまって見学するんですね。
チャイナドレス?の日本語ガイドさん
さて、勝手がわからないので、ひたすらガイドさんについていきます。
ここで、ガイドさんが交代。朝からずっとついてきてくれたガイドさんは、休憩室で休むそうです。
これ、並ぶのかな、と身構えてしまったけど、外国人は、専用ガイドさんが、ファストパスのように案内してくれるようです。
莫高窟を案内してくれる日本人相手のガイドさんは、チャイナドレス(石窟ガイドさんの制服だと思う)を纏った日本語堪能な女性でした。
この方です。最初は、グループは私1人でした。各石窟には、厳重に鍵がかけられています。
2番目の見学が323窟。ここで、日本人のご家族3人と合流。私を含めた4人のグループが出来上がりました。
内部の写真が撮れないので、うろ覚えですが、壁に描かれたモチーフがはがされた跡がありました。全体を削り取るならわかるけど、薄くはがすという発想がすごい。
石窟の中で、詳しく説明をしてくれては、次の石窟へ案内してくれるガイドさん。1日何回くらい回るのかと質問すると、多いときでも3回。最近は、日本人観光客が減って、回る回数も少なくなった、と残念そうに話してました。
石窟は上のほうにもあります。石段や木の柵は、後になって作ったものですが、当時は石壁が階段状に掘られていたそうです。
世紀の大発見 莫高窟 17窟
これが、「地球の歩き方」にも20世紀最大の発見とも書かれている16窟と17窟のある蔵経洞。
この16、17窟は、幸運にも入ることが出来ました。
内部が撮影禁止なのは残念なことですが、中はとても広く、ひんやりとした空気に包まれています。
この入り口は16窟のもので、このなかの北側の壁に小さい窟があり、それが17窟。
この17窟から4万点以上にのぼる経典や仏教画などが発見され、敦煌の莫高窟が世界的に有名になったとのこと。
それらの発見物「敦煌文書」は、主に欧米の探検家によって持ち出されてしまったようですが、日本人の探検隊によっても数百点が持ち出され、日本の博物館内に展示されているらしい。(と、女性ガイドさんと、同じグループの日本人の方が話していました。)
この蔵経洞の中に、なぜ4万点以上の経典が眠っていたのかについては、まだ解明されていません。
16、17窟の前で、日本の方と雑談する女性ガイドさん。
内部の画像がないのは残念ですが、壁に描かれたモチーフといい、それぞれ表情の異なる仏像といい、素晴らしかったです。
石窟の回廊を歩く
16、17窟は石窟の北の端にあります。女性ガイドさんについて、南に向かってゆっくり回廊を歩きます。
中国人グループの一団。
本日の来場者数は何人くらいなんだろう? 多いときは、1日6000人を超える日もあるそうですが。
次はどこなんでしょうね。
石窟の中に入らなくても、外観だけでも雰囲気いいです。
石窟内部だけでなく、外壁に描かれているモチーフもあります。
空気が乾燥してカラッとしていますが、日差しは強い。女性ガイドさんが、日傘をさします。
さて、階段をのぼって2楼に上がりました。259窟です。
詳しくは忘れてしまいましたが、弥勒菩薩様の仏像が、何体か置かれていたように思います。
249窟は壁画が中心。あとで忘れないように録音しておけばよかったな、と思います。
莫高窟のシンボルともいえる96窟が見えてきました。
96窟は、9層にもなる楼閣。
中には、34mにもなる大仏がいたはずなんですが、なぜか、あまり覚えていません。
南大仏殿の前を横切って、最後の窟を訪れます。
148窟。ここが、最後の見学。中には、涅槃像。つまり、横たわったお釈迦様がいました。
涅槃像は、タイ、ミャンマー、それにラオスでも見ましたが、どこか寝ている姿が違う・・・
それが、こめかみを支える右手の形だと気づき、女性ガイドさんに「タイの涅槃像は、ひじを立ててますよね。こちらの涅槃像は、なぜひじをたたんでいるのですか?」と質問。
すると、「タイは小乗仏教で、こちらは大乗仏教だからです。小乗仏教のほうは、少しお行儀悪く見えちゃいますね。」と言って、笑います。そうなんですか。
それにしても、女性ガイドさんの日本語はすごい。こんなときでも、正確に発音しています。
約1時間の見学が終わりました。ガイドさんと入り口に向かいます。
あらためて、中国仏教、あるいはシルクロードの偉大さを感じとった、莫高窟の見学。
今度は、違う季節にでも来てみたい。そして、違う石窟に入ることが出来るだろうか。
日本人のご家族と別れ、私は女性ガイドさんに出口まで案内してもらいました。
この女性ガイドさん、中国と日本の政情をとても心配していました。子供のころから歴史が好きで、ガイドになったとのこと。敦煌の生まれだそうです。
日本の歴史にもとても興味があって、奈良や京都に行ってみたいと、話してました。
飛天像の下で、ガイドさんと別れます。わかりやすい説明、ありがとうございました。
元のガイドさんと合流。次の目的地は、鳴沙山です。
莫高窟にお別れ。楽しい1時間でした。