なんだか、とてもあわただしい出雲の旅。
朝からバス停からバス停まで走ったり、出雲大社をわずか20分で見学したり、神々の地に申し訳ないですが、早くも出雲平野に背を向け、松江に向かいます。
明日からの隠岐の島の島旅に備え、今夜の宿を松江にとっているため仕方ありません。
さて、出雲と松江を結ぶ鉄道は2本あります。
宍道湖の南岸を通るのがJR山陰本線。北辺を走るのが一畑電車です。
一畑電車は、もともと出雲大社から眼にご利益があるといわれる一畑薬師を結ぶために敷かれた鉄道。
そこには一畑口という駅があり、一畑薬師に寄りながら松江を目指す予定です。
一畑電車の駅間荷物託送サービス
ところで、公共交通機関を利用して旅する場合、荷物をどうするのかという問題があります。
私は基本的にリュック派で、リュックを背負い、カメラバッグを肩から下げて旅してますが、それでも町を歩き回るときは背中の荷物はどこかへ預けたくなるもの。
一畑電車には、そんな旅人にとてつもなくありがたいサービスがあります。
一畑電車の主要駅間を手荷物の託送をしてくれるサービスです。
このサービスを見つけたので、私は今回の旅にリュックではなくキャリーできました(^^)
今回、実はキャノンのミラーレス一眼をレンタルして、愛機6Ⅾとともにカメラ2台持ちで旅してるため荷物が多めなんです。
出雲大社前の駅窓口で申し出ると、簡単に受け付けてくれました。
松江しんじ湖温泉駅までで650円です。コインロッカーに預けるより、よっぽど便利ですね。
そして、朝いちで預けて、昼過ぎに舞い戻ってきた出雲大社前駅。
ずいぶんとモダンな駅舎です。
ステンドグラスが輝かしく光る。
古事記の土地において、ここだけがギリシア神話が支配している、そんな感じです。
一畑電車の旅「出雲大社前」⇒「一畑口」
では、13:39発の電車に乗って途中の一畑口を目指しましょう。
ホームの奥には、かつて使われていた車両が展示されていました。
一畑電車は1914年に出雲市から雲州平田まで開業したのがはじまりで、それから108年の歴史を持つ大変に古い鉄道です。
木組みの温かみを感じる改札口。
一畑電車は20年ほど前に1回乗ったことがあるんですが、こんなにきれいな電車ではなかったな。
こういう終着駅は旅情を誘いますね。
平日の金曜日の午後。乗車率はこんな感じです。
松江温泉に向けて出発。
4つ目の川跡駅で、出雲市からのレールと合流。
「美談」なんて、いい駅名ですね。
雲州平田は沿線では唯一町らしい町。
斐伊川が宍道湖に流れ込む三角州のような地形にある町で、途中下車して歩くつもりだったのですが、時間がなく今回は割愛。
ところが、雲州平田で、なぜか乗り換えになりました。
雲州平田は一畑電車の車両基地でもあるようです。
ここまで開通したのが108年前。あの車庫108年前のものかな。
電車は出雲平野の東端を走っています。この向こうには斐伊川と、出雲縁結び空港があります。
先入観があるからでしょうが、神様が降臨してくるのにふさわしい景観。
のように見えてくる。
途中駅で乗ってきた小学生の校外学習ツアー?
引率の先生も大変そうです。
「園」という駅から、電車は宍道湖に沿いはじめました。
島根県の宍道湖と中海の地形には、非常に興味があります。
湖の広さでは「中海」が5位。「宍道湖」が7位。
でも、この地形を見ると、かつてはすべて海で、すなわち出雲大社や一畑薬師のある島根半島は島だったのではないかと想像できます。
それが斐伊川が運ぶ砂が堆積され、2つの湖としてせき止められたのではないか。
調べてみると半分当たっていて、出雲平野はもともとは海だったようで、出雲の町は斐伊川によって干拓された平野らしいです。
そういうことも、この小学生たちは習うのかな。
行き止まり駅「一畑口」での途中下車
出雲大社前から35分。電車は「一畑口」に到着です。
前述のように、一畑電車は、もともと一畑薬師を目指して敷かれた鉄道。
1915年に出雲からここまで開通しました。実に107年前。
この先にそびえる大渋山の山腹に一畑薬師が鎮座しています。
すると、松江温泉の方角は反対なので、線路はここで行き止まり。
電車は向きを変えて松江温泉に向かいます。
ワンマン電車の運転手さんも、運転席を移動します。
一畑薬師に行く人がいくらか降りるのかな、と思ってたら、降りたのは私と地元のおばさんの2人だけ。
私はこのあと一畑薬師を往復してきますが、それは別の記事に記載します。
これは、一畑薬師からバスで一畑口駅に戻ってきたところ。
地方の田舎駅の途中下車とは、とても味があります。
まさか107年前のままとは思わないけど、使い込まれた木造建築にはぬくもりを感じます。
木組みの改札口は一畑電車の共通仕様なのでしょうか。
観光客を意識してか、休日でも運転本数の減りはほとんどありません。
木造づくりの駅舎にあって、ここだけがデジタル。
ほぼすべてのキャッシュレスに対応しているようでした。
松江しんじ湖温泉まで570円。
ゲゲゲの鬼太郎のご当地でしたね。
一畑電車のルーツが記載されてます。
電車が来るまであと10分ほど。
ホームや駅の周りを探検します。
右側が出雲大社方面。左側が松江温泉方面。
田舎町を背景に、こうした機械工学が構えられる。まさしく対比の妙です。
一畑電車の旅「一畑口」⇒「松江しんじ湖温泉」
電車がやってきました。
「松江しんじ湖温泉」の駅名も、かつては「北松江」、そして「松江温泉」と、コロコロ変わってます。観光客対策ですかね。
私が乗り込むのと入れ違いに、小学生が降りていきました。
電車の右窓は、しばらく宍道湖に独占されます。
朝は土砂降りだったのに、晴れてきたなあ。
このぶんなら、宍道湖の夕日がおがめるかも。
松江温泉に向かって乗客は増えるのかと思ってたら、逆に閑散としてきました。
雄大な宍道湖。浜名湖や十和田湖より広いんです。
道路がなければもっとよい景観なんですが(^^)
宍道湖のほとりの駅に停車。
あれえ・・・ふたたび雨が落ちてきました。
それもザアザア降りです。
これじゃ、夕日は見れませんね。宍道湖の夜景でも鑑賞しましょうか。
「松江しんじ湖温泉」駅に到着
一畑口から27分。16:19定刻に「松江しんじ湖温泉」駅に到着です。
こちらも行き止まり駅。
折り返して出雲に向かう電車。
地方の鉄道の存続が危ぶまれる中、一畑電車の存在はどうなんだろう?
鉄道事業だけでなく、グループでバスやタクシー、ホテルなども経営しているというから、外国人観光客が復活すれば経営も好転していくのだろうか。
観光客を呼べる島根県。住民は少ないかもしれないけど、観光地が廃れないように交通機関は存続してほしい。
松江しんじ湖温泉駅の売店。
預けてあったキャリーは、ちゃんと駅に届けられてました。
今夜の宿は、ドーミーイングループの「天然温泉 だんだんの湯 御宿 野乃松江」。
タクシーでワンメーターで行ける距離です。
では、一畑電車にさようなら。