前夜に成田を出て、仁川空港で仮眠。
直通のバスで、ここ水原まで来て、路線バスに乗って、現在午前8時半。
水原華城の入り口「八達門」の前に立っています。
今まで、何度も書いたと思うけど、この不思議な感覚が、弾丸旅においてたまらないエクスタシー。
前夜まで私は、東京のオフィスでガタガタ仕事をしてたのである。
そして一夜明けて、ハングル文字と、日本とは明らかに違う温度の雨を肌に感じ、自分のアタマで整理がつかなくなる瞬間が嬉しい。
たぶん、身体は韓国に飛んできても、魂はまだ自分の部屋にいるんだろうな(^^)
水原華城の上へ
さて、さっきの地図にもあるように、八達門とは、世界遺産登録されている水原華城を一周する起点になってます。
そのためには、まず城壁の上に登らないといけない。
八達山は標高143mだというし、それは海抜だから、さして歩くことはないだろう・・・
といいつつ、ときどき休憩して、振り返って、眼下に広がる水原の街を眺めます。
それにしても、久しぶりに見る、湿気に包まれた瑞々しい街だ。
ここかな、と思ったら、まだ上があるみたいでした。
おお、ようやく城壁らしい上に出ました。
さっきから気になってるんだけど、あのとんがりアタマの建物はなんだろ?
マップで調べてもわからなかった。
雨の世界遺産・水原華城を歩いてみる
ところで、京畿道の水原(スウォン)に築かれた「水原華城(ファソン)」は、1997年にユネスコ世界文化遺産に登録されています。
水原は、朝鮮王朝後期に築かれた城郭都市。
城のスタイルは単なる防御施設ではなく、城下町を包み込む形で整備された都市型城郭。
朝鮮時代の都市計画思想と軍事技術が高度に融合した、貴重な遺構であるらしい。
城壁の全長は5.7km。
地形に沿ってゆるやかに曲線を描きながら市街地を取り囲み、東西南北に設けられた城門(八達門・長安門など)や、城郭上に築かれた角楼、将台などがいまも残されています。
そして、「朝鮮王朝が王権の正統性と理想政治の実現を目指した都市づくりの象徴」であると評価され、世界文化遺産に登録されました。
この城が築かれたのは、朝鮮第22代国王・正祖(チョンジョ)の治世中、1794年から1796年にかけてのこと。
正祖は、父・思悼世子(サドセジャ)が政争の中で非業の死を遂げたことを深く悼み、父の墓を当時の漢陽(現在のソウル)から水原の近郊に移し、そこに新たな都市を建設することで父を讃え、自らの理想政治を実現しようと考えました。
それこそが、水原城壁の起源です。
華城将台(西将台)が見えて来ました。
この道標、韓国や世界中で見かけるけど、私はこれを眺めるのが好き。
これを眺めながら、地球儀の位置を思い出すだけで快感^ ^
その道標の眼下に、水原の街が広がってました。
水原華城から雨に煙る水原の街を眺めてみる
ここが城壁でもっとも高い場所。
だからここに、軍事施設が設けられたのでしょう。
たしかに、ここからなら、迫ってくる敵をすべて把握できますね。
そんな時代が、わずか200年ほど前。
その後も、韓国は朝鮮戦争を体験している。
それでも、人類はなんとか経済をたて直し、街を復興させる。
人類とはやっぱりすごいと思う。
そんな軍事施設から雨に煙る水原の街を見下ろします。
城壁を歩いて若干熱った身体を、冷気がクールダウンしてくれる。冷たい雨が気持ちいい。
さて、ここからは下り。石段が雨で濡れている上に、落葉も重なって滑ります。気をつけないと。
傘さしながらの散策。先日ロフトで超軽量の折り畳み傘を調達しておいたんだけど、それが大いに役に立ってます。
旅行中の雨を嫌う人もいると思うけど、雨でないと見れない風景もあるし、このような陰翳が浮かび上がる景色では、サンサンと降り注ぐ太陽光より、こっちのほうが絵になる。
だから、恵の雨。
雨のおかげで、日本人どころか、観光客に一人も会いません。
世界遺産水原華城を独り占めです。
先日、中国の万里の長城を歩いたばっかりだけど、これだって長城。
さすが世界遺産、カッコいいよ雨に濡れた水原城壁。
連休なのに人がまったくいないし、来てよかった(^ ^)
こちらは西北閣。
華城の西北側の警護に建てられた監視用施設。
たしかに、監視しやすそうw
ここで、城壁は、北へカーブしています。
急な石段をさらに下っていくと、
出くわすのが華西門。
当時のままなのかな、積み上げられた石壁が美しい。
石壁と木造建築が、素晴らしい調和を醸してます。
門の前の広場には、城壁カラーのセブンイレブンが。
下に降りてみると、裾が広がった見事な門です。
そして、さらに北東へ歩いてたどり着いた長安門。
水原華城の北側の終点です。
ただいま午前10時。八達門から、徒歩1.5時間。
あちこち見学しながらのんびり歩いたつもりでしたが、2時間もかかりませんでした。
バス通りに出ます。
振り返って長安門を反対側から。
水原華城の横を走り抜けていくバス。
わずか2時間の滞在でしたが、水原とはこれでお別れ。
バスで次の街に向かいます。次の目的地は公州(コンジュ)です。