私って、心理学、いや哲学のセンスないのかな、と思った一冊。
先日出席した「立花B塾」の講義で、書評を課題として与えられた本である。
正直、かなり、読後感が混乱している。
素晴らしい本であることは紛れもないが、腹オチしない言葉が、随所に見られたからだ。
なので、ちょっと書評は書けそうもない。
先生には大変申し訳ないけど、書評というより、本書におけるポイントになるキーワードに対して、私がどう感じたかを述べることにする。
ちなみに、肩の力を抜いてサラッと読むぶんには、ユーモア満載で、リラックスして読める本です。
本書の概要
現状を打破して「幸せになりたい」サラリーマンが、神さまから「あっというまに幸せになれる授業」を受ける。
そして、人生観を180度変えることで幸せになる、いわば「信じるものは救われる」的な本。
幸せ目指して階段をのぼるごとに、主人公と神さまが、漫才のように会話していくストーリー。
では、たいへん恐れ多いですが、ここから、神さまの格言に対する私の意見を申し上げます。
「固定観念」とは、あなただけが信じる幻のルールである
現実しか見ていないから、それが勝手に現実になってしまうということですか。
固定観念に、凝り固まっていては、現状なんか打破できないよ。
それは、その通りかもしれない。
「固定観念」があるから、「感情」がわく。
これは、妙に納得できる一文。
要するに、「固定観念」を否定したいわけですね。
負を凝縮した「固定観念」はいらないけど、よい「固定観念」だってあると思うんだけど・・
まあ、読み進めてみよう。
叶っていない夢があるから、人生は楽しい
その通りです。この本を読んで、唯一、秒でうなずいた言葉。
答えがどっちでもいいから、あなたは今日も悩んでる。
なんじゃこりゃ。
ビジネスのPDCAを全否定する言葉。
世の中の人間が、本当に「答えがどっちでもいい」なんて考えたら、社会がおかしくなります。
人生における貴重で大切な時間を、「選択」に費やすんです。
悩むのは当たり前。
悩んで悩んで悩みきったうえの選択肢に賭けるんです。
だから、人生は楽しいともいえるよね。
お金がもっとほしいなら、お金をもっと愛しなさい。
これは、その通り。
ところが、
はっきりいって、どこかの新興宗教の教団にまぎれこんだ気分である。
お金持ちになるのが簡単であるわけがない。
「お金持ちになるのは難しい」という固定観念を真逆にすれば、「簡単に金持ちになったケース」にもたくさん目を向けられる、という理論らしい。
そりゃ、簡単に金持ちになることもあるんでしょうけど、ハタでみるほど簡単ではないと思いますよ。
相対性理論のような論調に、コロッと引っかかるところでした(笑)
あなたの周りの全ての人が、あなたになにかを教えたがっている。
これは、人はみな価値観が異なる生き物だから、まあそうなのかもしれない。
反面教師とすることも含めて。
価値観が異なる「他人の領域」に、あえて入っていく必要などない。
このあたりから、私自身の論調が、若干激しくなります(笑)
そのあたり、お許しください。
ありえない。
こんな理屈が通ったら、この世からストーカーはいなくなる。
マジで? と、聞き返したくなる。
「自分でどうにかしよう」という気持ちが消えれば、苦しみも消える。
どうにかなったかどうかは別として、今まで「自分で何とかしよう」と生きてきた人間にとっては、にわかにこの言葉は受け入れられない。
この気持ちを持たずにいたら、取り返しのつかない、もっとすごい苦しみが襲いかかってきます。
「いつか」は、夢か、幻か
本書では、
と言っている。
期日を区切らない「夢」は「幻」です。
この日までに、この日までに、と唱え続け、必ず「夢」を実現する。
こういう風に誓うから、具体的にどうすればよいのかと、工夫して知恵を絞る。
ビジネスでも同じ。
期日目標のないビジネスは、まず成功しない。
まとめ
私は「聖書」を深く読んだことはないんだけど、「聖書」を読み解いていくと、こんな感じに翻訳されるのかもしれない。
そして、この本の通りに、全て、100%、忠実に実行できる人がいるなら、その方は、本当に幸せな人なんだろうとも思う。
本当にそう思う。
しかし、残念ながら、私には、受け入れられない局面のほうが多かった。
要するに、私は、固定観念の塊というとことになるんだろう。
でも、固定観念は、今までの人生で積み上げたバックボーンだと、私は思っている。
そして、人間が生きていくのに、何かを手に入れるのに、健全な努力は必要だ。
だから、このような歌に惹かれる。心が奪われる。
私にとって、ただ一ついえること。
この書の通りに、100%忠実に実行したら、私は、おそらく生きていられない。
全てを失って、死んでしまうかもしれない。
いつか、そう思う転換期がくるのかもしれないが、今の私には無理。
自分で何とかしようと考えずに、努力せずに、幸せな人生が来るなんて信じられない。
悩み続けて、生き方を見つけるしかない。
そして、期日を区切って、目標に向かう。
達成できなかったら、それまでの人間だっただけのこと。
しかし、そこで、自分を否定せずに、期日を区切りなおして、再スタートすればよいだけのことだ。
本書とはまったく関係ないが、今、私はけっこう悲しんでいる。
コロナウイルスのせいで、旅に出られないからだ。
1年も前に、苦労して手に入れた特典航空券が無になる。
目の前は、「悲しみでいっぱい」である。
「悲しみがとまらない」。
そして、東京湾は「悲しい色やね」・・・
こんな、悲しい感情が生まれるのも「固定観念」あるゆえなのであれば、私は自分の「固定観念」を愛したい。
悲しみも、それを乗り越えようとする原動力になるからだ。
残念ながら、私の思想と相容れない局面が多々あった本書であったが、「固定観念」の重要性に気づかせてくれたという点で、本書との出会いは素晴らしかったと思う。