「白夜行」に続いて、東野圭吾さんの名作「容疑者Xの献身」を紹介。
「容疑者Xの献身」は、直木賞受賞作でもあり、東野圭吾さんの作品においても、ベスト3に挙げる方も多いでしょう。
電子書籍化ということで、おそらく、これからさらに多くの方の目に触れると思われます。
ここでは、まだ目にされていないという方に、楽しみ方のポイントをお伝えしたいと思います。
ちなみに、ラストシーンは、かなり泣けますよ!(^^)!
探偵ガリレオとは
まずは「容疑者Xの献身」を読み出す前に、「ガリレオ」こと湯川教授について、かんたんに紹介しましょう。
なぜなら、「容疑者Xの献身」は、この「ガリレオ」シリーズの長編作品だからです。
- 湯川学は帝都大学の物理学の准教授(のちに教授に昇進)である。
- 天才的かつ論理的頭脳で、友人の刑事から依頼される超常現象的な難事件を鮮やかに解決に導く。
- 常に冷静かつ沈着で、感情を表すことがあまりないが、性格は偏屈でとっつきにくい。
- 文中には、科学や物理に縁がない人間には、超マニアックで理解不能な文字が並ぶことがある。
- 原作とドラマ版では、湯川学の性格や設定が多少異なり、ドラマ版のほうが冷徹に描かれている。
ドラマ版は、地上波で何度も放送されているため、ご存知だと思いますが、ガリレオ湯川学を演じるのは、歌手で俳優の福山雅治です。
作品は、基本的に短編で、当初は「探偵ガリレオ」と「予知夢」に収録されていました。
事件はすべて「超常現象」がらみ。
「超常現象」が好きな方なら、ハマるかも(^_^)
ガリレオ湯川先生が演じた長編「容疑者Xの献身」
そのガリレオ湯川先生が、はじめて長編小説に登場したのが「容疑者Xの献身」です。
あらすじ
- 母一人子一人の家庭が事件に巻き込まれ、正当防衛的に一人の人間を殺害してしまう。
- その母に、ひそかに想いを寄せていた隣人・石神(高校の数学の教授)は、天才的頭脳でその事件を論理的に隠蔽していく。
- 石神とガリレオ湯川学は、大学時代のかつての親友。石神は、湯川が「天才」と認めるほどの頭脳の持ち主だった。
- 湯川は石神のちょっとした言動から、隠蔽の事実を見抜いていく。
ぜひ読んでいただきたいので、あらすじはこのくらいにしておきます。
ちなみに、ガリレオシリーズ特有の難解言語「4色問題」「リーマン予想」などが登場しますが、読み飛ばしても大丈夫です(東野圭吾さん、すいません・・汗)
ところで、読みはじめると、いっきにガリレオワールドならぬ東野ワールドに引き込まれます。
「犯人はわかっているんだけど、どうやってアリバイ作ったの?」
この本の凄いところは、上記につきます。
私のような凡人には、最後までアリバイトリックがわからなかった。
さらに、ガリレオシリーズの十八番の「超常現象」がいっさい登場しません。
ガリレオ湯川先生と石神という、いわば物理学と数学の天才同士が人間の心理戦で真実へ向かおうとする。
物理や化学で証明できる分野とは真逆の、人間心理のからみにまで、論理的頭脳は活用できるんだな、と大変興味深く感じたのを覚えています。
ガリレオ湯川先生が、石神のことを、こう表現したことでも、そのあとで展開される頭脳戦が盛り上がりましたね。
ガリレオ湯川先生の一言
ふつうの人間なら、アリバイ工作に用意した半券の保管場所にまで気を配らない。刑事が来たときのことを考えてパンフレットに挟んでおいたのだとしたら、相当な強敵だぞ。
僕の推理を言おう。その自転車は新品もしくは新品同様の品だった。どうだい、違うかい?
一人の友達として、僕の話を聞けるか。刑事であることを捨てられるか。
しびれますね。
作品後半の、ガリレオ湯川先生の、友人の犯罪を暴くことになる心の葛藤には、存分に感情移入できます。
劇場版「容疑者Xの献身」もおススメ
これだけの名作なので、映画化されたのも自然な流れ。
ドラマ版のキャスティングを引き継いで、福山雅治としては映画の主演は初めてだったそうだ。
ドラマ版の「ガリレオシリーズ」を見てない人でも、自然に入り込めるのも特徴で、小説の舞台が心理戦であったために、劇場版のほうに軍配があがるという人もいる。(私もその一人)
映画の冒頭で、湯川先生と、内海刑事演じる柴咲コウのからみはウケました(^_^)
そして、ラストシーンでは、福山雅治が作詞作曲で柴咲コウが歌う「最愛」が流れてフェードアウト。
映画館で泣いちゃった人もいるんじゃないかな(*^_^*)