2024年2月22日。インドネシアの旅がはじまって3日目。
本日は、旅の目的の一つである「ブルートレイン」に乗る日。
ここでいう「ブルートレイン」とは、インドネシアの首都ジャカルタと第二の都市スラバヤを結ぶ「ビマ(天の川)号」と「アルゴスメル 号」のこと。
「アルゴスメル号」の車内の様子、乗車記の動画はこちらです。
インドネシアに走りはじめたブルートレイン
ジャワ島は東西に長く、ジャカルタとスラバヤの距離は直線距離で700kmほどある。
そして人口1.7億人を有する島なので、ジャカルタ~スラバヤのみならず、多くの列車がジャワ島の物流の担い手となっている。
そんなジャワ島に、2023年の10月から「コンパートメントスイート」と呼ばれる豪華個室寝台が連結されたブルートレインが走りはじめた。
ちなみに、列車のダイヤは次の通り。
列車名 | 便 | ダイヤ |
---|---|---|
ビマ号 | 下り | ジャカルタ17:00 ⇒ スラバヤ3:30 |
ビマ号 | 上り | スラバヤ19:20 ⇒ ジャカルタ6:00 |
アルゴスメル号 | 下り | ジャカルタ6:20 ⇒ スラバヤ16:50 |
アルゴスメル号 | 上り | スラバヤ9:05 ⇒ ジャカルタ19:40 |
なんだか、豪華個室寝台を連結した列車とは思いにくいダイヤにも見える^ ^
スラバヤの未明の3:30に着く需要があるのだろうか。
そして、せっかくコンパートメントで旅するなら景色が見えたほうがいい。
すると、消去法的にスラバヤ ⇒ ジャカルタの「アルゴスメル号」が候補に上がる。
そう考え、今回の旅、スラバヤを先に訪れた次第だ。
ちなみに「ビマ」とは「天の川」で、「スメル」とは香りのことではなく、昨日、プライベートツアーで鑑賞した「スメル山」のことだそうだ。
チケットの購入はインドネシア国鉄のWebサイトで買うことができる。
このチケットの値段は2,150,000ルピア(約20,200円)。
ジャカルタ~スラバヤは飛行機で1.5時間、安いチケットなら7,000円ほど。
私が今回の旅で搭乗したバティックエアのビジネスクラスでも1.9万円。
飛行機の10倍の時間がかかり、しかも料金も高い。
それでも、ブルートレインのコンパートメントは、連日の満員御礼らしい。
移動そのものを楽しむ旅客が一定数いることの証だろうか。
ちなみに、日本に唯一残る寝台車「サンライズ」は、東京~高松約10時間でシングルだと約23,000円、デラックスで約30,000円。
国情も経済も異なる中で一概には比較できないが、先に乗車の感想を述べると「景色」「乗り心地」「乗務員のおもてなし」の面で「アルゴスメル号」に軍配。
「設備」の面ではベッドやシャワーを有する「サンライズ」が上だった(あくまで私見)
このブルートレインは、前述のように2023年10月から走りはじめ、インドネシアでは時期を同じくしてジャカルタ~バンドンの高速鉄道も開業している。
今回、インドネシアへの旅が決まった要素は100%ANAのマイル特典航空券が確保されたことに起因するが、同じタイミングで旅人として気になるイベントが2つも現れたのは運が良いと言っていいだろう。
出発はスラバヤ・グブン駅
さて、ホテルを出て出発時刻の1時間も前の午前8時にスラバヤ・グブン駅にやってきた。
どことなく、南国ムード漂うスラバヤ・グブン駅。
アルゴスメル号の出発は9:05。
普通車両とコンパートメントで2行に分かれて表示されるらしい。
チケットは、QRコードでそのまま乗れるわけではなく、自動発券機であらためて発券。
ちなみに「4A」という席もwebで指定可能。
A席というのは、上列車の場合進行方向左側。
つまり、南半球インドネシアでは太陽が北からさすから、南側の席を確保したという計算。
では、少し早いけど、ホームに向かいますか。
ここでサプライズ。
コンパートメントの客には、ラウンジが提供されるみたい。
ポーターさんが、うやうやしくキャリーを運んでくれソファに座る。
こういう処遇には不慣れだけど、丁寧なおもてなしが気持ちいい。
コーヒーにケーキも差し入れてくれる。
出発前の「アルゴスメル号」
ポーターさんに案内されて、スラバヤ・グブン駅の一番ホームへ。
ホーム前にも、車両の入り口にも女性クルーが立ち、乗客を迎い入れてくれます。
もう日本では見ることのできないブルートレイン。
そして、コンパートメントスイート。
実はブルートレインといっても、ブルーなのはコンパートメント車両の1両だけ。
リクライニングできそうな普通車両はシルバーの車体になっている。
それでも、特別な列車であることには違いない。
ジャカルタまで825km。出発が待ち遠しい。
コンパートメントの車内へ。
コンパートメントは、中央に通路があり、両サイドに個室が並ぶ構造。
ここが私の部屋「4A」。
事前の予備知識として知っていたけど、ベッドではなくシートが設置されています。
もちろん、座ればゆったりしてるし、シートを稼働させれば180°倒れるベッドに早変わり。
飛行機のビジネスクラスのような仕掛けだけど、なぜベッドにしないのだろう?
インドネシアでは、娼婦が寝台車に乗り込み売春の営業をする慣習があり、その撲滅のためベッドが設置されないといううわさを聞いたことがあるけど、本当だろうか。
少なくとも、ウエルカムドリンクをサーブしてくれるクルーの姿からはそんな風説は微塵も感じさせない。
「アルゴスメル号」は、まもなく出発です。