インドネシアのジャワ島にさっそうと登場したブルートレイン「アルゴスメル号」。
東西に長いジャワ島のスラバヤとジャカルタ825kmを10時間35分かけて走ります。
こちらが、スラバヤ・グブン駅で静かに出発を待つ「アルゴスメル号」。
アルゴスメル号のスラバヤからジャカルタまでのルート。
そして、時刻表は完全にGoogleマップ対応です。
それによると、アルゴスメル号の停車駅はこんな感じ。
駅 | 時刻 |
---|---|
スラバヤ・グブン | 9:05 |
モジョケルト | 9:40 |
ジョンバン | 9:58 |
ケルトソノ | 10:12 |
ヌガンジュク | 10:30 |
マディウン | 11:08 |
ソロ | 12:13 |
ジョグジャカルタ | 12:58 |
クトアルジョ | 13:46 |
ケブメン | 14:08 |
クロヤ | 14:42 |
プルウォケルト | 15:10 |
チルボン | 16:59 |
ブカシ | 19:09 |
ジャティヌガラ | 19:24 |
ジャカルタ・ガンビール | 19:40 |
古都のソロやジョグジャカルタも通るので、区間利用者も多いでしょう。
ところで、姉妹列車に「ビマ号」があり、「アルゴスメル号」が昼行なのに対し「ビマ号」は夜行列車。
ブルートレインなのに、なぜ昼行ダイヤのアルゴスメル号を選んだのかと言えば、やっぱり景色が見たいから。
それと、夜行の「ビマ号」のダイヤが少し中途半端。
たとえば下りの場合、スラバヤに着くのは未明の3:30。
いくらインドネシア第二の都市といっても、そんな時間に到着しても途方に暮れるだけだろう。
そして、今回ブルートレインの旅にあたって、奮発したのがコンパートメントだ。
奮発したといっても、スラバヤ〜ジャカルタで2,150,000ルピア(約2万円)。
飛行機の倍以上するとはいえ、2万円で個室で旅ができ、ランチや飲み物のルームサービスがついているなら、私的には安いと思います。
では、10時間半の旅に出発^ ^
アルゴスメル号の車内、乗車の様子はこちらの動画もご覧ください。
スラバヤを出発した「アルゴスメル号」
さて、ウエルカムドリンクの提供があったところで、アルゴスメル号は静かに発車しました。
青汁かな?なんて思ったけど、飲んでみると甘くて美味しいジュース。
コンパートメントの中をあらためてみると、美容室に設置されているようなシートが1席。
ベッドがメインで、昼間は座席にもなる、というパターンではありません。
もっとも、最大に倒すと180°となり、寝ることもできます。
各部屋にはモニタがついていて、ニュースやエンタメを鑑賞できる。
マップにもなる。
そんなコンパートメントの旅のはじまり。
扉を閉めてしまえば、完全にプライベート空間。
いつ以来だろう? 一人用のコンパートメントに乗ったのは。
スラバヤ郊外の景色。
ときおり街が現れ、踏切を通過。
街の様子を観察できる、楽しい列車旅。
さて、最初の停車駅モジョケルトを出たところで、ブレックファストが配られました。
単純なメニューだけど、流れる景色を眺めながら食べられるところに意味がある。
そして、新鮮で美味しいメロンでした。
モニタも倒せるようですね。
いちおうトイレものぞいてみました。
すごいねこの洗い場は。大理石かな。
進行方向左側のコンパートメントを選んだのは正解。
北からさす太陽が邪魔になりません。
親近感を覚える日本に似ている地形の中をアルゴスメル号は快走。
列車名のスメル山は見えませんが、ジャワ島の山なみを鑑賞しながらの旅。
ルームサービスでコーヒーをオーダーしました。
このコールボタンを押すと来てくれます。
いたれりつくせりのアルゴスメル号コンパートメント。
列車は、かなり高速で走ります。なのに揺れが少ない。
スラバヤ〜ジャカルタ825kmを10時間35分なので、表定速度は77.9km。
だから走っている時は、かるく時速100kmを超えます。
ただし停車駅の停車時間も短い。ホームに降りて散策できないのは残念。
ソロからジョグジャカルタ 古都から古都へ
列車の速度が落ちて、線路のまわりに家がたてこんできたら街の合図。
ソロに到着です。
7年前にも来たことがある街。なんとなく記憶があるのが嬉しい。
隣のコンパートメントの客はソロで下車しました。
スラバヤからソロまで約3時間。移動距離としてちょうどよいのかも。
定刻の12:13にソロを出ると、ランチが配られます。
たぶんレンジでチンだと思うけど、湯気のたつパスタが美味しそう。
これはポーク? でもイスラム教の国で豚肉が出るわけない。
でも、トンカツにしか思えなかった食感(^ ^)
パスタも美味しかったです。
そして、食後のコーヒーをいただきました。
ザラザラした粒子のインドネシアコーヒー。少々くせになりそう。
ソロの次はジョグジャカルタ。
この区間は、7年前にも乗ったことがある。
でも、あのときは、満員の車内でたちんぼだったから、景色も違って見える。
ジョグジャカルタに近づき、初めて見る立体交差。
ジョグジャカルタはジャワ島きっての大観光地。
駅の周りにもホテルが林立。
7年前に泊まったホテル・ネオマリオボロも健在でした。
ジョグジャカルタのホームに入ると、すごい乗客の姿で、駅の様子が見えないほど。
乗客も、ここでだいぶ入れ替わりそうです。
ジョグジャカルタで、コンパートメントの乗客もかなり入れ替わりました。
気になったのは食事の提供。
でも、みなさん、食べてました。
通しで乗る私みたいな人間にはソロを出て給仕されるけど、ジョグジャからの乗客にも、きちんとサーブされるようです。
ジャワ島の水田の中を走る
ジョグジャカルタを出て、景色はさらに水田一色。
二毛作、三毛作があたりまえのインドネシア。
人口は2.7億人。ジャワ島だけでも1.4億人。
農作物にも知恵と工夫を見出さないと、食料を自給できないのでしょう。
インドネシアの米の食料自給率は100%近いと聞いています。
インドネシアの食糧事情を支える農家。
日本と雨の多い気候が似ているからか、瓦葺屋根の農家が、親近感を感じさせますね。
街は小さいけど、駅構内は広いクロヤ駅。
バンドン方面とジャカルタ方面へのジャンクション。
アルゴスメル号はバンドンは通りません。
これからジャワ島を横切りながらジャカルタへ向かいます。
クロヤ駅構内の踏切。
すっかりクセになってしまったルームサービス。
今度は「エニィティ、プリーズ」といって、紅茶をお願いしました。
茶葉はインドネシア産だろうか。とても美味しい紅茶です。
夕暮れを迎えるアルゴスメル号
太陽が西に移動したので、窓から見えるようになりました。
そして、さらに傾き、熱帯の雲をオレンジ色に染めます。
夕暮れを迎えると、にわかに寂しさの募る車窓。
水田にはられた水も夕陽を反射します。ジャワ島の1日が終わります。
外が見えなくなったので、シートをベッドにしてみました。
飛行機のビジネスクラスシートに身を任せている気分。
寝返りはうちにくいかもしれないけど、夜行列車としても問題はなさそうですね。
ベッドに寝っころがりながら、過去旅を回想。
寝台車なんて乗るの久しぶりだな・・・
日本では、もう寝台車は現れないだろう。
インドネシアと日本。
人口が密集、細長い土地、など、似てる要素が多い両国。
両国の大きな違いは、国民の平均年齢にあり。
日本が48歳で世界4位の高齢社会なのに対し、インドネシアは29歳。
インドネシアの鉄道には前途がありそう。
長距離列車の旅情を感じとりたかったら、またインドネシアにくればいい・・・
軽くうとうとしてしまうと、アルゴスメル号は、もうジャカルタ近郊を走ってました。
そして、客車のきしむようなブレーキ音をたてながら、ジャカルタ・ガンビール駅に到着。
10時間35分の旅が終わりました。
月並みだけど、あっというまに過ぎてしまったという感じ。
こんな列車だったら、何時間、何日乗り続けても疲れない^ ^
もちろん、快適だった旅には、クルーの皆さんのサービスにあり。
ひとりひとりに「テレマカシー」と挨拶するクルーに、こちらも「テレマカシー」。
アルゴスメル号の旅でした。