私は、現役世代のサラリーマン。
旅に出るだけでなく、日常はオフィスに身体を運び、組織の管理職としてプロジェクトの動向に目を配っているつもり。
8年ほど前、管理職にさせてもらったのを機に、リーダーとしての心構えとは何か、と自分に問いただすべく、手にした本がこれでした。
書いてあることは、しごくまっとうで、ごく当たり前のことかもしれないが、日々業務に追われると、普段の心がけなんて忘れてしまうもの。
月に1回程度、さらっと読みかえすことで、自分のマネジメントの振り返りとしている。
ちなみに、この本を手に取るまで、「ミッション」などという言葉は意識したことなどなかったが、ビジネスのマネジメントを行う上で、これ以上大事な言葉はないと考え、本書を読んだ上での私の心構えを紹介させていただきます。
リーダーが発するべきはミッションである
リーダーの行動指針のすべてが込められている言葉。
とにかく、ミッションをしっかりとチームに伝えないことには、チームスタッフ一人一人のモチベーションがまるであがらない。
目的、使命、あるいは存在意義といってもいい。
本書だけでなく、多くのマネジメンター向けの啓発書に書かれている言葉である。
ポイントはミッションの中身
ミッションが重要だからといって、なんでもミッション化すればよいというものではない。
その中身が重要だ。
組織の中で働く以上、会社全体の経営方針に沿ったミッションでなくてはならないのは当然であるが、これをミッションのかたちに変換し、チームに落とし込むのは、意外と難しいもの。
私は、スタッフにミッションを伝えるときに「会社のためでなく、自分のために」なるようにプロジェクトを組み立てるように指示している。
そして、ひとつのプロジェクトをなしえたあとに残るものが、
- 「会社の業績」
- 「グローバル標準でみたときの自己の成長」
この両者がともなってなくてはならない。ミッションとはそういうものである。
すなわち、会社で働きながら、その作業が、自社以外でも通用するスキルを生まなくてはならない。
プロジェクトが完結したときに、会社の業績しか産んでいなかったら、それはもはや「社蓄」である。
つまり、会社での働きが「社蓄」になるか「自己研鑽」になるかは、リーダーのミッションの与え方、指示の仕方にかかっているのである。
リーダーはミッションを通じて「閉塞感」を払拭させなくてはならない
成長企業で働く人であれば、経営方針など意識せずとも、勝手にミッションができあがるだろう。
一方で、日本の多くの会社は、情報革命にあおられ、経営理念すらおぼつかない状態である。
言ってみれば、現在の日本社会は、まさに変革期と高齢化社会が重なり、総構造不況ともいえる状況である。
そのような会社で働く社員の閉塞感は大変なものだ。
つまり、当たり前の、なかば形骸化したようなミッション(たとえば利益目標など)など、まったく意味を持たず、さらに閉塞感を増大させかねない。
リーダーは、会社の経営理念をとりあえずはふまえたうえで、スタッフ自身が自己成長、自己変革にチャレンジできるようなミッションの指示でなくてはならないのである。
まとめ
本書を読み、リーダーは一緒に仕事を進めるスタッフのことを、常に第一に考えなくてはいけない、と心がけるようになった。
では、スタッフのことを第一に考えるとは何か。
それは、スタッフに安心と成長機会を与えることだ。
情報革命の中、時代はものすごいスピードで動き、それは、様々な意味での格差をもたらすだろう。
それを、社員も肌で感じているからこそ、リーダーは安心と成長機会を届けなくてはならない。
ブラック企業にいつまでもしがみついている必要などないが、多くの日本人は、ふつうの企業に勤めていても、閉塞感を感じている。
日本の社会構造全体が、そのような流れだからだ。
一方で、多くの日本人には、さほど選択肢があるわけではない。
行動を起こそうにも、子供の教育、親の介護など、動かしようがない制約をかかえているケースも少なくない。
誰しも、自由にフリーランスになって、羽ばたけるわけではないのだ。
日本の多くのサラリーマンやOLが感じている閉塞感。
これを払拭してあげることが、今の日本に求められているリーダーのつとめ。
私はそう考えています。