ロス・グラシアレス国立公園には、氷河が48本もあり、その規模は、南極、グリーンランドに次いで世界で3番目。
ということは、ふつうに人間が住む場所としては、ロス・グラシアレス国立公園の氷河は世界最大規模ということになります。
なかでも、ペリトモレノ氷河は、全長35km、表面積は約250平方キロメートル。千葉市と同じくらいの面積です。
その、ペリトモレノ氷河を、午前中からずっと眺めてきたわけですが、いよいよ、その上を歩きます。
初体験 氷河の上のトレッキング
さて、われわれの部隊も、氷上に乗り込みます。
さっきの小屋がどんどん離れて行きます。
ほんと、雪じゃなく、氷。
氷河の撮影スポット
ところどころ、撮影スポットがあります。
私も、氷のはざまに・・ しかし、寒い・・
青い氷、蒼い氷って書くんだろうな。
まだまだ、トレッキングは続きます。
このレベルでも、クレバスっていうのかなあ。
こりゃ、足腰に自信がないと、参加できないレベルですね。
どんどん進んでいきます。途中で点呼とか取らなくて、大丈夫かな。
一応ここが折り返し地点。
これが、1日2mも動いてるなんて信じられない。
今、自分は氷河の上にいるんだぞ、と言い聞かせてないと、実感がつかめない。そんなレベル。
写真ではうまく表現できないんだけど、氷の結晶のようなものができはじめてます。
神秘的です。
氷河の上でさす傘
みぞれが降りはじめました。一眼レフをコートの下にしまい、デジカメを取り出します。
傘をさしているのは私だけ。一人だけの日本人。一人だけさしている傘。
ガイドさんが、途中から加わった案内役の人とともに「ナイス、アンブレラ! コングラスレーション!」
クレバスですね。
お亡くなりになった、植村直己さんを思い出しました。
私の尊敬する(いや、尊敬させていただいている)人です。
氷河の氷でウイスキーオンザロック
一応、ここが頂上かな。
日も暮れはじめて、刺すような寒さになってきました。
いよーッ、待ってました!
お楽しみイベント。氷河の氷でオンザロック。
途中から、どこからともなく現れた案内役の女性。準備に大忙しです。
氷河の氷ですね。自分で、ぶっかいて入れるのかと思ってました。
さあ、みなさん、準備はいいですか!
さあ、ガイドさんの掛け声で、乾杯!
こんな、おいしいウイスキーは、生まれて初めて飲んだわ・・・
運動した後だけに、ひときわ美味しさを感じます。
身体も温まります。
ガイドさんも、一杯やってください。
思い出に残った、氷河の上のオンザロックでした。
調子に乗って、もう一杯おかわり。
さて、のんびりと、帰りはじめますよ。
ふたたび、荷物を置いた山小屋に戻ってきました。
何気に寒かったので、小屋の中でほっと一息。
みんな、濡れたものを乾かしてます。
おお、コーヒーのサービスですか。
温かいコーヒーが身体にしみわたります。
氷河とコーヒーの組み合わせ。うーん、うまく撮れない・・
しかしまあ、なんと幻想的な光景。
氷河は歩くものじゃなくて、眺めるものかもしれませんね。
ずっと眺めていると、体が吸い込まれていきそうです。
そして、また、ズゴゴゴゴ・・ 自然の脅威
実は私、ここから撮影しています。
何キロ歩いたかわからないけど、氷の上って、普通に歩くのと何倍も疲れる。ちょっと休憩。
ボーッとしてると、何の警戒もなく小鳥が。
氷河を眺めながら聴くウオークマン。
流れてきたのは、中島美嘉「雪の華」でした。
本日これからの予定 再確認
また寒くなってきたので、小屋の中に入ります。
時刻は15時。予定では、これから展望台を見学してから、エル・カラファテの街に帰ります。
展望台を出発するのが16時半とのことなので、街に到着するのは18時頃でしょう。
それから、ホテルに戻って荷物を受取り、タクシーを拾って空港に着くのは19時頃。
フライトは19:15。いやあ、マズいなあ。現実に引き戻されました。
どうしよう。展望台から、タクシーで帰ろうか。
果たして、ブエノスアイレス行きの飛行機に間に合うのか?
帰りの船の中の私の頭は、フライトに間に合う方法、それだけ。
仮に、乗り遅れたら、もう一回、エル・カラファテ⇒ブエノス・アイレスのチケットを調達する必要があり、間に合うならタクシーを使う方が合理的。でも、展望台に、タクシーなんているかな。どうしよう。
乗れなかった場合、19:15発の便は最終のはずだから、最悪、明日の便でブエノス・アイレスに戻れれば、ブエノス・アイレス見物の時間は無くなるけど、無事に日本に帰れる。
本当に最悪なのは、明日の便が満席だった場合。
明日の19時ごろまでにブエノス・アイレスに戻れなければ、それは、月曜までに日本に戻れず、会社に出勤できないことを意味する。
はるばる地球の裏側まで来たのはいいけど、「どこでもドア」が壊れて途方に暮れるのび太君状態。
本当にこのときは、こんな気分でした・・
これは、明らかに、私のスケジュールミス。
スケジュールミスで、出勤日に出勤できないなら、弾丸旅行は致命的。
弾丸旅行は、勤務に影響させないから成立しているのであって、会社を休んだら、
ただのルーズな会社員に成り下がるだけ。
いい反省材料ができました。
でも、のび太君だって、なんとかなったじゃん。のび太君の場合は、タイムマシンだっけ。
と、頭の中を忙しく回転させているうちに、バスは展望台に着きました。
この展望台が、このツアー最後のスポット。
「16時半に出発ですよ~」と叫んでいる添乗員さんに、いちおう相談。
「I want to catch this fright」と言って、eチケットを見せる。
女性の添乗員さん。「オオ・・ ユア、バゲッジ?」「ホテルDON PEPE」「OK」
運転手に、その旨伝えておくわ、といった感じでした。ありがとうございます。
でも、私一人のためにツアー客に迷惑かけるわけにはいきません。
間に合わなかったら、仕方ない。それだけのことです。
ペリトモレノ氷河の展望台からの眺め
もう、まな板のコイ同然ですので、開き直って、氷河を眺めに行きます。
展望台から、ゆるくスロープになっている渡り通路を歩いていくと、幻想的かつ巨大な氷河が眼前に。
これは、すごい・・・
船の上からではなく、上から見下ろすので、迫力が違う。
バキッという、すごい音がしました。どこかで崩れたんですね。
しかも、その「バキッ!」という音が、氷河の上をこだましていきます。
天気のこと心配してたけど、なんか、霧に包まれてる方が幻想的。
太陽の光に照らされる氷河よりも、霧の中の氷河のほうが、凄みがあります。
こりゃ、ほんとにすごいわ・・・
氷の砕け落ちる瞬間が見たいんですが、なかなかお目にかかれません。
あちこちで音はするんですけどね。
こんな幻想的な光景を目の当たりにすると、人間は達観するものです。
飛行機の時間など、どうでもよくなりました。(そんなこともないですけど・・)
霧につつまれるペリトモレノ氷河
しかし、まあ、こんな景色、めったに出会えるものではありません。
霧が濃くなって、ますますファンタジーな雰囲気。
ほんと来てよかったな。一生の思い出になります。
人間との大きさを比べてください。トレッキングも楽しかったですが、見るのも楽しい。
この写真だけ見たら、南極だよ、といっても疑わないでしょう。
パタゴニアというのは、不思議なエリアですね。あの大平原と氷河、両方をもつ大自然です。
ただじっと眺める。こういう観光も珍しい(笑)
でも、ほんと、言葉いらないです。
バスの出発が近づいてきました。氷河ともお別れ。大自然よ、さようなら・・
飛行機間に合うかな・・・