チャーターしたクルマは、カシュガル市内を西に向かいます。
日の出が午前8時のカシュガルは、まだ、町は起きたばかり。
交差点を掃除するおばさん。
いきなり出現する検問所
市街から郊外に出る橋を渡ります。
ここで、運転手が、私のほうを振り返り、カメラを隠せ、仕舞え、と身振りで訴えます。
この先に検問所があるんでしょうか。素直に従います。
※この時点で私は、「検問所」とはいっても、トルファンの火焔山のふもとにあったような、クルマのトランクやエンジンルームをチェックして爆発物がないかどうかのチェックで、乗ったまま抜けられるんでしょ、ぐらいにしか考えていませんでした。
橋を渡って少したったところで、巨大な料金所ゲートのようなものが現れ、私は、荷物をまとめてクルマから降りるように、運転手から言われました。
そして、ある書類を渡され、それを持ってゲートに併設してある詰め所のようなところに入って行けと。
その詰め所は、トルファン駅にあったような、プレハブで後からとってつけたようなものではなく、基礎からコンクリートでできている頑丈なもの。
中に入ると、待っていたのは、ウイグル系の女性警察官が数人と漢民族の男性警察官。
物々しい金属探知機が並び、荷物をすべて、そこを通すように言われます。
西洋人と東洋人が、一緒になって警備にあたっている、なんか不思議な気分。
そして、パスポートと、運転手からもらった書類を渡すと、どこかに連絡。(ホテルにかけていたんだと思う・・)
質問はないけど、そのまま待て、という警官の指示。
ほどなく、クルマの検査が終わった運転手が現れ、さっきの書類内容に関して、運転手に対して2、3質問。運転手も、なにか自分の証明書のようなものを出して、質問に答え、ようやく検問を通過できました。
上記は、概ねこんな感じだったという記憶によるものですが、ほとんど国境を越えるぐらいの厳格さ。
クルマに乗るまで気づきませんでしたが、カラクリ湖に行くために、ホテルがある種の証明書を作っていてくれたらしいんです。
つまり、身分が明らかになっている日本人を、身分が明らかになっている運転手が、観光目的でカラクリ湖を往復する、というパミッションのようなもの。
行動に少しでも食い違いがあれば、検問は通れないし、そもそも認可を受けた運転手がついてないと、外国人は通り抜けることはできないのではないだろうか。
ということは、今朝「チャーターできなかったらタクシーで行ってやろう」などと、軽く考えていましたが、それはできない相談だったんですね。
たしかに、この道は、この先でパキスタンと繋がっている。
パキスタンからイスラム過激派や、そいつらにくっついて爆薬などが大量に持ち込まれないとも限らないし、このくらいの大規模な検問所を造らないと牽制にならないかもしれない。
私は、このとき、カシュガルが文明の十字路であると同時に、四方を異国、異民族に囲まれたエリアであることを、あらためて悟りました。
ちなみに、中国人も例外なく、全員検査されています。
検問所が続くカラコルム・ハイウエイ
運転手とクルマに戻り、再スタート。運転手は、いつもの行事だと、あっけらかんとしています。
私は、運転手に言われなくても、カメラなど取り出せる雰囲気ではなかった検問所の物々しさに、若干驚きモードです。
カシュガルの標高は、すでに1300mを超えています。こらから標高3000m以上の高地に登って行くわけですが、それまでに、いくつの検問を通過することやら。
さっきの検問所も通過するのに、たっぷり20分はかかっています。
その検問所で、兵士が銃をこちらに向けるのは、イスラエルを思い出すな・・
ルートはこんな感じです。カラクリ湖は、カラコルム山脈へ分け入り、タジキスタンとの国境は目と鼻の先。アフガニスタンやパキスタンとの国境もすぐという、パミール高原に差し掛かるあたりに位置する湖です。
これは、積載重量の検査。だと思っていたら、やはりパスポートチェックもありました。
それに、オービスかな、と思ったら監視カメラ。これが、道路に等間隔に設置されています。
途中、ウイグル人の集落といった町も通ります。
ポプラ並木の道をひたすら南へ。
学校があるよ、というサイン。道路にも段差が設けられ、否応なしに減速を要求しています。
このような措置は、世界各国に見られるようです。
少なくとも、私が外国で車を運転したアルゼンチン、カナリア諸島、南アフリカ共和国では、スクールゾーンには必ずありました。
日本も、学校の周りは、段差だらけにすればいいのに、本当にそう思います。
ポプラ並木のかなたに、雪を抱いた山の影がかすかに望めます。
と思ったら、いきなり道路上に。びっくり・・
検問所をすでに3ヶ所通過。最初はビクビクしてましたが、若干ぶっきらぼうだけど、運転手がいることだし、言葉は通じなくても、アプリで会話はできる。
少しづつ、気持ちにゆとりが出てきました。
前方に登場する7,000m級の山々
カシュガルから50キロは来たでしょうか。前方に、万年雪を抱いた山が連なります。
検問所の連続で、うんざり気味だった気持ちが一気に晴れます。
ぶっきらぼうと感じていた運転手も、私の「写真を撮りたい」期待にこたえてくれました。
こりゃすごいわ。運転手いわく、これからあの山に向かって登って行くんだぞ。
けっこう交通量の多いカラコルム・ハイウエイ。
記念撮影に興じる中国人観光客。この人たちとは、検問所でも一緒でした。検問所の中でタバコを吸おうとして、怒られてる奴もいたなあ(笑)
現在の標高は1,733m。あと2,000mほど登ることに。
道中には、道の駅、ドライブインもあります。
道路の状態は非常によく、快適なドライブ。
なんか、すごいところに道を通したよね。さすが中国マネー。
途中、いくつも撮影スポットがあります。
奇勝?
赤い崖。
7,000m級の山を、実際に見るのは生まれて初めて。感動します。
これから、「世界の屋根」に分け入っていくんですね。なんか武者震いします(^^)v
天気もよくて最高です。1,200元(19,200円)もしたけど、やっぱり来てよかった。
このあとは、ここで感動したことが、早まった評価であったと思える絶景が展開します。