【シルクロード】7日目(その1)厳戒態勢のカラコルム・ハイウエイ

10連休のシルクロード弾丸旅行。残すは、本日を含めて5日。折り返しを過ぎました。

現在いる場所は、カシュガル。中国最西端といってもいい町。ずっと訪れたいと思っていた町なので、感慨にふけりながら、ホテルの窓から町を見下ろします。

文明の十字路 カシュガル

カシュガルは、かつてシルクロードの十字路、あるいは文明の十字路と呼ばれた、中央アジアと中国の交易の要衝でした。

地図で見ればわかるように、タジキスタン、アフガニスタン、パキスタンなどの国境にほど近く、たとえば、シルクロードの主要な都市、ウズベキスタンのサマルカンドまで約800キロ、ガンダーラ最大の古代都市パキスタン・タキシラまでも約700キロ、玄奘三蔵が目指した、天竺 インドまでも数百キロの位置関係です。

ただし、それは直線距離であって、各々の国境には、天山山脈、パミール高原、カラコルム山脈など、世界の屋根と呼ばれる、地球上もっとも標高の高い難所がひかえています。

想像するに、古代シルクロードを西から歩んできた旅人は、この世界の屋根を越えてたどり着いたカシュガルで、旅装を解き、オアシス都市の恵まれた産物で、峠越えで酷使した身体を癒されていたことと思います。

言ってみれば、シルクロードというのは、砂漠の中、水を求めてどのようなオアシスを辿るかは別として、「世界の屋根」をどのように越えるかが、洋の東西を結ぶ鍵だったような気もします。

 

ところで、このカシュガルに代表される新疆ウイグル自治区のエリアが、中国に取り囲まれるようになったのはいつ頃からであろうか?

現代では、中華人民共和国成立からということになるのだろうけど、古くは漢の時代に西域都護府を設置したのが、漢民族の西域支配のはじまりと思われます。

その後も、中国が、唐、宋、元、明、清と国の形が変わっていく傍らで、カシュガルはイスラム文化を軸としたウイグル人の都市として成長し、何度か独立国を造るものの、国としての体制をアピールできぬまま、いつの間にか、中華人民共和国の自治区になってしまった。カシュガルの歴史をひも解くと、そんな風に見えてきます。

顔つきも、言語も、生活スタイルも、信仰する宗教も、漢民族とはまったく違うウイグル人。

中国での生活は、困難を極めていることは、容易に想像できます。

おりしも、1991年に旧ソ連が解体され、中央アジアに5カ国の独立国ができると、独立への機運は高まり、2009年ウルムチ市で起きたウイグル騒乱は、それが最悪の形になって現れた紛争の一つです。

他民族同士が、一つの国家の中で共生していく。これが、どんなに大変なことか、一応単一民族国家とされている日本に住んでいると、わからないことも多い。

カシュガルの人口は120万人。そのうちウイグル人系は80%を占めます。この、新疆ウイグル自治区という多民族国家で、人はどのように生活を営んでいるのか。

私は、ぜひとも、それが見たくて、カシュガルにやってきたわけであります。

クルマをチャーター カラクリ湖へ出発

多民族国家論など、エラそうに論じましたが、本日の予定は、郊外の景勝地カラクリ湖を訪れる観光旅行。

カラクリ湖は、カシュガル市街から200キロほども離れているので、郊外ですますような距離ではありませんが、万年雪を抱いた山々のはざまに浮かぶ青い湖は秘境そのもので、せっかくカシュガルを訪れるならと、無理して行程に盛り込みました。

カシュガルには2日滞在します。なので、多民族国家の観察は明日の町歩きで楽しめばよし。今日は、無数のシルクロードの旅人が歩いたとされるカラコルム・ハイウエイのドライブです。

 

昨夜というより、朝4時半の就寝。そして7時半に起床。眠くないといえばウソになりますが、ホテルの窓から見えた昇ったばかりの太陽の美しさで目が覚めました。

カラコルム・ハイウエイのドライブとはいっても、そもそもクルマがチャーターできなくては、話になりません。

7時半にフロントに行くと、まだロビーは真っ暗。あらためて8時過ぎにフロントをたずねると、10分くらいあちこち電話してくれてましたが、ようやく運転手がみつかり、めでたくカラクリ湖往復のクルマがチャーターできました。

いろんなブログを読むと、800元から1,000元でチャーターしているようですが、今回のチャーター料は1,200元(19,200円)。2万円と聞くと高い気もしますが、せっかく西の果て、カシュガルに来ていて秘境を訪れない法はありません。

いずれにしろ、チャーターできなかったら、タクシーで行こうと考えていたので、めでたくゲットできてほっと胸をなでおろします。

ホテル前には、中国人観光客が溢れてました。その中国人たちに交じって、立っていたのが今回チャーターしたクルマの運転手。

さっそく挨拶して、スマホの画面を見せて、私の旅の趣旨を理解してもらいます。スマホの翻訳アプリには「私は、写真を撮ることが好きなので、景色のいい場所では、クルマを止めて、写真を撮らせてください。」

それを見た運転手は、少し怪訝な表情をして、私をホテルの中に戻し入れ、フロントまで連れて行きました。そして、ホテルのフロント嬢となにやら話しています。

(???  何が起きた??)

私は、写真を撮らせてね、と頼んだだけです。何が起きているのか皆目見当がつきません。まさに、トルファン北駅で起こった、あのときと同じ、狐に包まれるとは、こういうことを言うんだろう・・・

しばらくして、フロント嬢は、なにやら自分のスマホを操作し、画面を私に見せました。そこには、「道沿いには、たくさん検問所があります。そこでは、絶対に写真を撮らないでください。逮捕されます。」と、ありました。

運転手は私に、わかったか、いいな、という感じで理解を求めます。

なるほど、そういうことでしたか・・

ようやく合点が行きましたが、もちろんそんなことするつもりありませんが、この神経質な対応、ベールに包まれた新疆ウイグル自治区の現在の状況を物語っているのかもしれません。

私は、カメラをカメラバッグに仕舞い、運転手を安心させてから車に乗り込み、出発です。午前9時でした。

ちなみに、気温は暑くも寒くもなく、日本の5月と同じくらいな感じです。

 

日の出が午前8時のカシュガルは、まだ、町は起きたばかり。交差点を掃除するおばさん。

いきなり出現する検問所

市街から郊外に出る橋を渡ります。ここで、運転手が、私のほうを振り返り、カメラを隠せ、仕舞え、と身振りで訴えます。

この先に検問所があるんでしょうか。素直に従います。

※この時点で私は、「検問所」とはいっても、トルファンの火焔山のふもとにあったような、クルマのトランクやエンジンルームをチェックして爆発物がないかどうかのチェックで、乗ったまま抜けられるんでしょ、ぐらいにしか考えていませんでした。

橋を渡って少したったところで、巨大な料金所ゲートのようなものが現れ、私は、荷物をまとめてクルマから降りるように、運転手から言われました。

そして、ある書類を渡され、それを持ってゲートに併設してある詰め所のようなところに入って行けと。

その詰め所は、トルファン駅にあったような、プレハブで後からとってつけたようなものではなく、基礎からコンクリートでできている頑丈なもの。

中に入ると、待っていたのは、ウイグル系の女性警察官が数人と漢民族の男性警察官。物々しい金属探知機が並び、荷物をすべて、そこを通すように言われます。

西洋人と東洋人が、一緒になって警備にあたっている、なんか不思議な気分。

そして、パスポートと、運転手からもらった書類を渡すと、どこかに連絡。(ホテルにかけていたんだと思う・・)

質問はないけど、そのまま待て、という警官の指示。ほどなく、クルマの検査が終わった運転手が現れ、さっきの書類内容に関して、運転手に対して2、3質問。運転手も、なにか自分の証明書のようなものを出して、質問に答え、ようやく検問を通過できました。

 

上記は、概ねこんな感じだったという記憶によるものですが、ほとんど国境を越えるぐらいの厳格さ。クルマに乗るまで気づきませんでしたが、カラクリ湖に行くために、ホテルがある種の証明書を作っていてくれたらしいんです。

つまり、身分が明らかになっている日本人を、身分が明らかになっている運転手が、観光目的でカラクリ湖を往復する、というパミッションのようなもの。

行動に少しでも食い違いがあれば、検問は通れないし、そもそも認可を受けた運転手がついてないと、外国人は通り抜けることはできないのではないだろうか。

ということは、今朝「チャーターできなかったらタクシーで行ってやろう」などと、軽く考えていましたが、それはできない相談だったんですね。

たしかに、この道は、この先でパキスタンと繋がっている。パキスタンからイスラム過激派や、そいつらにくっついて爆薬などが大量に持ち込まれないとも限らないし、このくらいの大規模な検問所を造らないと牽制にならないかもしれない。

私は、このとき、カシュガルが文明の十字路であると同時に、四方を異国、異民族に囲まれたエリアであることを、あらためて悟りました。

ちなみに、中国人も例外なく、全員検査されています。

検問所が続くカラコルム・ハイウエイ

運転手とクルマに戻り、再スタート。運転手は、いつもの行事だと、あっけらかんとしています。 

私は、運転手に言われなくても、カメラなど取り出せる雰囲気ではなかった検問所の物々しさに、若干驚きモードです。

カシュガルの標高は、すでに1300mを超えています。こらから標高3000m以上の高地に登って行くわけですが、それまでに、いくつの検問を通過することやら。

さっきの検問所も通過するのに、たっぷり20分はかかっています。

その検問所で、兵士が銃をこちらに向けるのは、イスラエルを思い出すな・・

ルートはこんな感じです。カラクリ湖は、カラコルム山脈へ分け入り、タジキスタンとの国境は目と鼻の先。アフガニスタンやパキスタンとの国境もすぐという、パミール高原に差し掛かるあたりに位置する湖です。

これは、積載重量の検査。だと思っていたら、やはりパスポートチェックもありました。

それに、オービスかな、と思ったら監視カメラ。これが、道路に等間隔に設置されています。

途中、ウイグル人の集落といった町も通ります。

ポプラ並木の道をひたすら南へ。

  

学校があるよ、というサイン。道路にも段差が設けられ、否応なしに減速を要求しています。

このような措置は、世界各国に見られるようです。少なくとも、私が外国で車を運転したアルゼンチン、カナリア諸島、南アフリカ共和国では、スクールゾーンには必ずありました。

日本も、学校の周りは、段差だらけにすればいいのに、本当にそう思います。

ポプラ並木のかなたに、雪を抱いた山の影がかすかに望めます。

と思ったら、いきなり道路上に。びっくり・・

検問所をすでに3ヶ所通過。最初はビクビクしてましたが、若干ぶっきらぼうだけど、運転手がいることだし、言葉は通じなくても、アプリで会話はできる。少しづつ、気持ちにゆとりが出てきました。 

 

前方に登場する7,000m級の山々

カシュガルから50キロは来たでしょうか。前方に、万年雪を抱いた山が連なります。 

検問所の連続で、うんざり気味だった気持ちが一気に晴れます。

 

ぶっきらぼうと感じていた運転手も、私の「写真を撮りたい」期待にこたえてくれました。

 

こりゃすごいわ。運転手いわく、これからあの山に向かって登って行くんだぞ。

けっこう交通量の多いカラコルム・ハイウエイ。

記念撮影に興じる中国人観光客。この人たちとは、検問所でも一緒でした。検問所の中でタバコを吸おうとして、怒られてる奴もいたなあ(笑)

 

現在の標高は1,733m。あと2,000mほど登ることに。

道中には、道の駅、ドライブインもあります。

道路の状態は非常によく、快適なドライブ。

 

なんか、すごいところに道を通したよね。さすが中国マネー。

 

途中、いくつも撮影スポットがあります。

奇勝?

 

赤い崖。

  

7,000m級の山を、実際に見るのは生まれて初めて。感動します。

これから、「世界の屋根」に分け入っていくんですね。なんか武者震いします(^^)v

 

天気もよくて最高です。1,200元(19,200円)もしたけど、やっぱり来てよかった。

 

このあとは、ここで感動したことが、早まった評価であったと思える絶景が展開します。

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